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2013-06-26up

2013年参院選前に「改憲」を考える

やんばるの森に囲まれた
東村高江で私たちは暮らしています
石原岳

(いしはら・たけし)
音楽家。1971年神戸生まれ。沖縄県東村高江在住。
ソロの即興演奏やギター2本のユニット『PIRARUCU』(ピラルク)を中心に
さまざまな即興ユニットやセッションで、沖縄県内外で活動中。
2013年1月、2ndアルバム『発酵する世界』をリリース。
活動情報は公式ホームページ「発酵する世界」などで。
Twitter: @Takeshi319

 私はヘリパッド基地建設問題で揺れる沖縄県の国頭郡東村高江区に住む石原岳と申します。(おきなわけん くにがみぐん ひがしそん たかえく)と読みます。 職業は音楽家です。
 私はもともと日本本土、関西方面、神戸出身ですが、縁あって21年前から沖縄に住みはじめました。
 子どもが4名いまして全員沖縄で生まれ、すくすくと育っています。長男はもう19歳で家を出て那覇で働いています。
 以前は沖縄県の県庁所在地である那覇市に住んでいましたが、家族と田舎で住みたいという気持ちから2006年3月より東村高江区に移住しました。
 国頭郡 東村 高江区は人口、160名弱。54~55世帯の小さな集落です。
 地元の学校の「高江校」は小学校と中学校をあわせて13~14名。高江区では子どもは「集落の宝」なので子どもがいるいないにかかわらず、区の人間は全員PTA会員となります。そして集落全体で子どもたちを育てます。

高江の村の周囲に広がる、豊かなやんばるの森。希少な動植物の生育地でもある

 ちょうど高江に引っ越した頃に米軍基地ヘリパッド建設問題が、もちあがりました。
 沖縄県内では米軍基地問題は多いので、変に慣れてしまっていて、国の役人や雇われた作業員と衝突するまで、あまり深刻な問題とは考えていませんでしたが、しかしそれは大きな間違いでした。
 2007年、暑い夏のさなかに住民に対する説明や話し合いもなくヘリパッド工事は唐突に始まりました。
 しかし実際に座り込み行動に動けたのは高江 区の中でも比較的若い年代の5世帯だけでした。それまで市民運動や住民運動をした経験もないので、その少人数で試行錯誤しながら「話し合いの場を作りましょう」「説明もなく工事を進めることはやめてください」と呼びかけ、沖縄防衛局職員や作業員とぶつかることはとても大変なことでした。

 2007年7月からはじまったヘリパッド建設に反対する座り込み行動はやがて7年目を迎えます。
 今では、高江で起こっていることもインターネットなどを通じて少しは知られて来て、沖縄県内、県外から支援者が来てくれますが、まだまだ人数は足りておらず、ヘリパッド工事は進んでしまっている状況です。
 昨年10月1日、前代未聞の米軍基地のゲート封鎖までして、反対したオスプレイが普天間に配備され、3日後には、高江の空を飛びました。住民メンバーは この数年、こんなにがんばってやって来たのに、こんなにあっさりとオスプレイは来てしまうのかと茫然自失となり、絶望感を味わいました。
 そして今年の2月いっぱいで、4ヶ所に6個作られる予定のヘリパッドの最初のひとつができてしまいました。

「N4」と呼ばれる地区に建設されたヘリパッドを上空から見る。同じ地区内にもう一つヘリパッドが建設される計画になっている

 日本国内のどの場所でも無関係ではなく、また沖縄県内でも日常的に事件やトラブルが起こっている米軍基地問題。身近な問題であるはずですが、どこに行っても同じでしょうが、一般的市民の多くは政治的な話題を嫌います。
 ですから私は音楽家、演奏家として高江や沖縄県内だけでなく、東京はじめ全国をめぐってコンサートや音楽祭を通して高江で起こっていることを広く知らせたり、情報を共有したり、高江に協力してくれる人を増やそうとしています。

 座り込みをする高江住民は、そのほとんどが現在子育て中の家族です。家族を守るために座り込みを始めたわけですが、そればかりでは仕事が出来ず、家庭を維持できません。
 いろんな方の支援が必要です。
 高江は反対運動の拠点というばかりではありません。森のなかで子どもたちを育てる家族が住むくらしの場です。夏などは、うだるような暑さの午後に、子どもたちと冷たい川にざばーっと入ると気持ちがいいですよ。
 ぜひ沖縄に、ぜひ高江に一度遊びに来てください。そして僕たちに、あなたたちひとりひとりの小さな力を貸してください。つながっていきましょう。

豊かな自然に囲まれて育つ子どもたちの頭上をも、オスプレイは飛び回る

 今回は参議院選挙を前にして「2013年参院選を前に〈改憲〉を考える」という企画とききました。
 沖縄、高江に暮らしていて、果たして憲法ってなんだろうって思うことが多いです。
 米軍が本国アメリカでは法律に縛られてできない訓練を日本で出来るのは、日米地位協定、ひいては日米安保条約があるからですが、それらは日本国憲法よりも上位にあります。日常においても彼らは、軍務上は日本の法律に縛られていません。
 「戦闘機の早朝や深夜の訓練はしない」「住宅密集地の上空を飛ばない」など米軍にはいろいろなルールが設けられているものの、実際は米軍の演習メニューにそって物事は進められ、ルールは守られていません。
 そのルールも最終的には米軍側の裁量となっていますので、結論から言うと彼らは、なにをしてもいいのです。

 高江でヘリパッド工事を強行する沖縄防衛局職員と話しても、彼らはただの窓口であって責任者ではありません。
 では責任者はだれ? 沖縄防衛局局長? 防衛省の防衛大臣? 結局、国同士で決めた条約(日米地位協定)に関することであるし、それは日本国憲法よりも上位にあるので、ヘリパッド強行工事の責任者は、だれでもないということになるのです。
 でも工事は進みます。一般的な常識に照らしても不思議なことです。憲法ってなんでしょう?

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