マガ9備忘録

沖縄への旅で、高江に足を延ばしてきた。

高江は、連載中の「三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記」にもある通り、米軍ヘリパッド(オスプレイパッド)建設に揺れる沖縄北部の東村にある小さな村だ。建設に抗議して座り込んだ住民を「通行妨害」だとして国が起こしたSLAPP(スラップ)訴訟も、三上さん監督の映画『標的の村』で知られるようになってきた。

この高江に、カフェ山甌(やまがめ)というお店がある。開店はちょうど10年前。国道から脇道に入り、「こんなところに店があるんだろうか」と思うほどの谷底に位置している。店の名前は、かめのようなこの土地の形からだ。「森カフェ」として、観光雑誌にもたびたび登場している。

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建物は、すべてオーナー安次嶺現達さん(現さん)の手づくり。谷底を流れる小川のへりに建っているのだが、設計図なしと聞いて驚かされた。地形を利用して、その小川を跨ぐような客席もあり、注文を待つ間もそのせせらぎを眺めていられる。

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カレーが名物で、これは現さん夫人・雪音さんのレシピ。窯で焼きたてのピザやパンも実に美味しい。ジャングルのような木が生い茂り、鳥のさえずりに包まれて食後のコーヒーを飲んでいると、心から癒される。世に溢れる「癒し」が陳腐に感じられるほどだ。

しかし、今年の12月22日で閉店してしまうとのことだ。今後は未定とのこと。ブログにはこうある。

今後はゆっくり温めて次のステップへ飛び立とうと思っています。
「宿?銭湯?またまたカフェ?」
どんな形になるか今はまだはっきりしませんが
必ずこの美しい森の中でリニューアルしますので
それまでみなさんしばらくの間お待ちください。

カフェ山甌は、ただのカフェではなく、さまざまな出会いの場だった。高江の置かれている現状を知った人、『標的の村』を見てやって来た人たちが、山甌で言葉を交わす。また、たくさんのミュージシャンがこの地を訪れ、山甌で歌い、演奏した。高江から、山甌からの輪は、確実に広がった。

閉店は残念だが、現さんご一家の新たな飛躍に期待したい。(中津十三)

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