マガ9備忘録

今や沖縄の6月の風物詩となった舞台「基地を笑え! お笑い米軍基地」は今年で11回目。その企画・脚本・演出を手がける小波津正光さんが咽頭癌であることを告白、8月から療養のため活動を休止すると発表した。

小波津さんは1974年那覇生まれ。1994年、お笑いコンビ「ぽってかすー」を結成。上京して活動していた2004年、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落したにもかかわらず、東京のメディアはアテネ五輪のニュースばかり。「これはいったい何だ」という怒りと疑問、そしてネタになるという芸人の直感から「お笑い米軍基地」は始まった。

現在では演芸集団FECに所属し、いさお名ゴ支部さんとの漫才ユニット「ウーマクーボーイズ」やピン芸人「まーちゃん」としても人気の小波津さん。もとから自身の声を「ガサガサ〜声」と言っていたが、今年に入ってからさらに声がつぶれていたのは気になっていた。

今年の「お笑い米軍基地11」後、週刊朝日に載った小波津さんの記事を読んだ人も多いだろう。今回、自身ではほとんど出演しなかった。声のこともあったのだろうか。それでも公演ラストの名護市民会館では、その前日の百田尚樹発言に素早く反応して、その日限りのコントをつくり自分は「ベストセラー作家・ひゃくたナオキ」役で登場、場内を爆笑の渦に巻き込んだ。

その時の心境を、彼はブログに次のように綴っている(文中「わん」は、「私」の意味のウチナーグチです)。

わんはあのベストセラー作家の格好をしながら
どうしようもない関西弁で舞台上でこう叫んでいた

「沖縄の2つの新聞社を潰すには、どないすればいいですかねぇー?」

旬なネタすぎて、そして
「こいつは何を始めるつもりだ?!」
という1000人を超すお客さんの戸惑いと笑いが
まさにあの瞬間と重なって思えた

わんが東京のライブハウスで沖縄の新聞をかかげ
「いぇー!お前ら聞けー!
アテネではオリンピックが開幕して聖火が燃え上がってるけど
沖縄では大学にヘリが墜落して燃え上がってるばーよ!」

東京のお客さんの間から
「こいつ、急に何を始めるつもりなの?!」
という戸惑いと笑いが起こった
まさにあのころと重なった気がした

声をつぶそうが何しようが、叩きつけずにはおれない風刺の精神に脱帽するしかない。

小波津さん、いや、まーちゃんが癌を克服して、元気になって帰ってくることを信じている。10年続けてもネタが尽きない米軍基地問題をはじめとする沖縄の現状に対して、まだ書き足りていないはずだから…。(中津十三)

 

  

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その93)「お笑い米軍基地」主宰の沖縄芸人
まーちゃんの快癒を祈る
」 に1件のコメント

  1. 立山たつあき より:

    本当に、私たちが知りたいというニュースをメディアは殆ど取り上げてくれないものだと思います。ただ、8月3日の報道ステーションのドローンについては、とても意義のある内容だったと思います。ドローンを使用して誤爆により中東などで民間人を多数殺害している現実をこの報道で初めて知りました。アメリカ軍が罪のない人を殺しまくっているのは、別段新しい事ではないのですが、やはり映像で、わかりやすく報道してもらえると、私の様に、外国語が出来ず、ケーブルテレビを見ることのできないものは助かります。報道ステーションの様なある程度影響力のある番組でその実態を知らしめてくれることを我々視聴者は、もっと要求すべきだと思います。抑々、世界最大の核保有国が何故遥かに貧相な核施設のイランに、核を持つことを禁止する要求を行う事が当然のように報道されるのかが理解できません。イランとアメリカの核開発についての合意が出来たというニュースには殆ど価値はなくて、イランに核開発の凍結の要求をのませたアメリカが何故大量に核兵器を持っていて、今も多くの人をドローンで殺し続ける様な恥知らずな振舞が出来るのか、そしてそのアメリカになぜ日本は追従して憲法違反を行おうとしているのかというこそ報道に値する「事実」だと思います。アメリカこそ最大のテロリストだというのは、一つ意見とかものの見方ではなく事実だと思います。

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