マガ9備忘録

筆者は東京新聞を購読しているのだが、6日付朝刊1面下に『翁長知事と沖縄メディア―「反日・親中」タッグの暴走』なる書籍の広告が掲載されていた。

曰く、「“知事の暴走”を生んだのは誰か」「沖縄に「言論の自由」はない!」。つまり、沖縄の地元紙である琉球新報と沖縄タイムスの両紙が、翁長雄志沖縄県知事を焚きつけていると言いたいのだろう。

実際に書店で手にとってページをめくってみた。なるほど、「はじめに」では、両紙の「脚本・演出」に忠実な「主演俳優」に見立てている。これは翁長知事、さらには彼を選んだ沖縄県民に対して、実に失礼だ。知事を両紙の操り人形と言っているのも同然だからだ。

保守政治家である翁長知事がなぜ安倍政権と対立しているか。その「黒幕」を地元メディアとしたいのだろうが、おかしな“中立”に毒されない琉球新報・沖縄タイムス両紙は、非民主的な政権に対し「権力の番犬(ウォッチドッグ)」という立場を果たしているだけだ。

先日の週プレNEWSに掲載された、アイルランド出身で英紙「エコノミスト」や「インディペンデント」に寄稿している外国人記者デイビッド・マックニールさんのインタビューを思い出す。

私を含む外国特派員のほとんどがそのこと(「報道の自由」の危機に対して大手メディアはあまり強い抵抗を示していないこと)をとても心配しています。この夏の安保法制を巡る議論では、政府が明らかな「憲法違反」を犯しているという見方が大勢を占めていたにもかかわらず、メディアは英語でいう「ウォッチドッグ=番犬」、つまり「権力の監視役」という役割を十分に果たすことができなかった。

(メディアは「権力の監視」という役割を持っているという認識を)社会全体でしっかりと守ることが報道の自由を守ることであり、それが民主主義を守るためには欠かせないものだということを日本のメディアや日本人がもっと理解する必要があると思います。

翻って、全国紙やテレビの東京キー局幹部が安倍首相から会食などの接待を受けていることはご承知の通りだ。こんなことで「番犬」が務まるとはとても思えない。

さて、『翁長知事と沖縄メディア』の版元は産経新聞出版、つまり産経新聞の関連会社だ。安倍政権べったりで知られる産経が同業他社である沖縄の両紙をなぜターゲットにするのか。それは産経が、「権力の番犬」ならぬまさに「権力の忠犬」だからだろう。

(中津十三)

 

  

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