マガ9備忘録

「綸言汗の如し」という格言がある。出た汗を体内に戻せないように、君主の言葉は訂正したり、取り消したりできないということで、君主でなくとも政治家の言葉の重みについても言われることがあった。

あった、と過去形で書かざるを得ないのは、安倍首相のどうしようもない言葉の軽さが、今や閣僚、政治家だけでなく世の中を覆っているからだ。

伊勢志摩サミットで安倍首相は各国首脳を前に「現在の経済状況は、リーマンショックの前に似ている」と訴え、メルケル・ドイツ首相やキャメロン英国首相から反論されたが、それでも記者会見で「各国の認識は一致した」と強弁したことも記憶に新しい。

自身が主導したアベノミクスの失敗をこのような形で尻拭いさせようとは、各国首脳も開いた口がふさがらないだろう。

さらにその後、「私が『リーマンショック前に似ている』との認識を示したとの報道があるが、全くの誤りだ」と掌を返したが、首相官邸のホームページに載っているサミット議長としての記者会見でも、くどいくらい「リーマンショック」を連発している。

ここまで来ると、言葉の重み云々というより、その場凌ぎしか考えていないのではないだろうか。

これだけ破綻を来した安倍首相の言動に対してのマスコミの批判は鈍い。マスコミは「言葉を扱うプロ」であったはずだが、もはやその矜持すらなくしたか。

何よりも、最も国民をバカにした言葉は「約束とは異なる新しい判断」。つまり、「その時の都合で公約を破る」ということだ。公約を無意味化する…政治家としての存在理由すら無にしてしまう。

先ほど「記憶に新しい」と書いたが、こうした発言があまりにも多くて、実は記憶を辿ってしまった。その多さの中に“薄めて”しまおうという意図すら感じる。

自ら言葉の信用度を台無しにして恬として恥じぬ首相を、私たちはいつまでいただくのか。10日は参院選投票日だ。投票に行こう。一票を行使しよう。

(中津十三)

 

  

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その137)一票を行使しよう。これ以上
「言葉」を破壊させないために
」 に1件のコメント

  1. 島 憲治 より:

    言葉の軽さは一般人にも劣る安倍内閣総理大臣。批判精神の衰えが一段と進むマスコミ。そして、議院内閣制下での三権分立、司法の役割は重大。しかし、その鮮度も落ち始めていることに国民は気づき始めてきた。こんな常態を改善、改革できるのは主権者しかいない。
      もし、マスメディアが報じるように「改憲勢力が3分の2獲得」した場合。主権者が主権者を徹底的に検証しなければならない。このままでは主権者によって国民の為の国は滅ぶ。変わって登場するのは国家の為の国民である。私は北朝鮮のような国を望まない。

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