マガ9備忘録

パレード前の集会で、ブラスバンド隊が皆を鼓舞

 9月22日午後1時、東京・新宿中央公園からデモパレードが出発した。その名は「差別撤廃 東京大行進」。NHKテレビの午後7時のニュースや翌日の新聞でも取り上げられたので、ご存じの方も多いだろう。私は一参加者として約4キロのコースを歩きとおした。

 正直、「差別してはいけない」なんて小学生でも知っているような当たり前のことをわざわざ言わなくてはならないのか、と思わないでもなかった。しかし、翻って現状はどうだろう。同じ人間を生まれた国や人種で差別し、挙げ句の果てに「出ていけ」「殺せ」という言葉が飛んでくる。ヘイトデモが行われる日の東京・大久保界隈ではそんなことが繰り返されてきた。

 ヘイトデモなど少数派だからいずれなくなると無視を決め込んでいたら、自由な言論自体をここまで侵すようになってきてしまった。こうした空気が蔓延する社会はますます息苦しくなり、さらにその先には国粋主義と戦争までが射程に入ってくるだろう。ならば、そこに至るまでに何らかの行動に移さねばならない。そんなふうに考えて、私は参加した。

 何よりも、「差別をやめよう」「一緒に生きよう」とポジティブなメッセージを叫べたのは嬉しかった。私は第1梯団だったのであまり目撃することが出来なかったのだが、後で見た写真によると、コリアンタウンや歌舞伎町の繁華街では、在日コリアンやゲイの人々が温かく迎えてくれたようだ(一緒に参加した友人によると、警備していた機動隊員も笑顔を浮かべていたという)。

 それにしても思うのは、この「場」をつくる人々の地道な努力だ。ボランティアだから無報酬なのは仕方ないにしても、場所を押さえ、警察に申請し、当日朝から風船を膨らませ、あれだけの人数の集まりを仕切り、事故のないよう運営していく…だからこそ、私たちは声を上げられた。いや、声を上げることは場がなくてもできたかも知れないが、「東京大行進」は成り立たなかったのだ。

 当たり前のことを言い続けないと、その当たり前のことさえ侵食される。ならば言い続けよう。「差別をやめよう」「一緒に生きよう」と。

デモパレード出発直前。皆ちょっと緊張

 

  

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