こちら編集部

 いつもの編集会議のやりとりから、スタッフの一人が文章を寄せてくれました。こんなやりとりから、企画を作ったりしています。

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 マガジン9の企画・編集会議で一人の編集スタッフが、「これまでのマガ9は東京発の情報に偏っていた。これからは地方からの発信、『東京的な価値観』ではないものを増やしていきたい」と言いました。
 私は「東京的価値観とは?」とたずねると「例えば、お金が一番とする考え方」とのこと。私はすぐさま、かつてライブドア社長だった堀江貴文さんの「世の中、お金で買えないものはない」や、元村上ファンド代表の村上世彰さんによる「お金儲けは悪いことなんですか?」といった言葉を連想しました。
 ただ、こうした拝金主義的な発想は、東京に限らず、どこにでもあります。これに「東京的」という視点を加えることで見えてくるのは何か? 私には、お金以外の交換手段をもたずに生活している人たち=つまり大多数の私たちの姿が浮かび上がってきました。
 自分の家で採れた野菜を近所にお裾分けしてあげたり、お隣の家のちょっとした修理を大工仕事で直してあげたり、そんな「お互いさま」の関係が成り立ちにくいところ。そのメタファーとして「東京」という言葉を使うと、しっくりしたのです。たとえば都市の高層住宅では、上記のようなことはしたくてもできないでしょう。
 お金の存在を軽視してはいけないと私は思います。「貧すれば鈍する」や「衣食足りて礼節を知る」といったことわざがあるように、お金は人の精神のありように影響を与えることがある。
 おそらく問題は、私たちの社会で、お金でしか解決できない事柄が増えてしまったことにあるのではないでしょうか。ならば逆に「金にものを言わせない」場や機会を少し増やしてみればいい。
 そんなふうに考えつつ、マガ9編集部の面々を見まわしてみました。
 マガ9の会議には、仕事や家族、パートナーをもった各人が、手弁当で集まってきます。「キナくさい世の中を少しでも変えられるよう、自分のできるところから始めてみようよ」がきっかけです。おかげさまで、マガ9サポーターの方々の善意のお金にも支えられ、サイトの更新を8年以上続けることができました。
 何かの目的をもちつつ、無理せず、メンバー各自の得意とするところで手を貸して、活動を続けていく。これって、ひとつのコミュニティではないか。
 マガジン9は、平和憲法を守るためには、平和を築くためにはどうすればいいか、を考えるサイトであると同時に、都会であっても「こんなコミュニティづくりがありますよ」と、自らをモデルとして提示する役割も担えるのではないか。これを参考に全国各地にいろいろなコミュニティができたら面白いんじゃないか。
 私はそんな想像をして、しばし楽しんでおりました。(芳地隆之)

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◎「地方発」のコンテンツをただいま企画中です。よく言われることですが、どうしても情報が東京一極集中になっているように思えて仕方ありません…。地方の「おもしろい動き」などについても、紹介できるコンテンツがあれば、楽しいかなと思っています。情報を発信してくれる人も、絶賛募集中です! コメント、書いてくださいね。

 

  

※コメントは承認制です。
地方でおもしろいことやっている人、募集中!」 に6件のコメント

  1. 昔と違って地方って意外なぐらい多様性がなくなってきてるんですよね。理由は東京みたいな外部から来る人が持ってくる雑多な情報がなくて、世間話以上の情報は恐ろしいぐらいマスコミ(特にテレビ)だよりだから。着るものなんかもさ、東京じゃ恥ずかしくて着られないようは雑誌そのまんまがまかりとってるし。だから、地方に行けば何か目新しいものがあるだろうという態度じゃだめで、こちらがその地方が忘れてしまって良さを再発見してやって、それを生かす手助けをしてやるぐらいの気持ちがないとたぶん企画だおれになる気がします。

  2. 宮坂亨 より:

    信州諏訪地域には毛利正道弁護士を中心とする「すわこ文化村」があります。
    2009年に発足して村民(会員)数は約100名。
    こころ豊かな文化を築き広め、暖かいつながりをつくる、NPO非営利活動任意団体です。
    映画の上映会やコンサートなどで、2013年6月の段階で3246名の参加者を集めまています。

    http://www.lcv.ne.jp/~mourima/09.4.1bunkamura.html

  3. 芳地隆之 より:

    秀野さま まったく同感です。いま多くの地方が置かれているのは、多様性とは反対の状況だと思います。ロードサイドに大手チェーンの店舗が並ぶさまを「ファスト風土化」と名付けたのは三浦展氏ですが、むしろ大都市の方に新たなコミュニティへの渇望は強いのではないか。地方の小さくても、面白い試みを紹介するだけでなく、マガ9がそれに新たな価値を見出すくらいのことをしなければならないと、個人的には思っています。

  4. 芳地隆之 より:

    宮坂さま ご紹介ありがとうございます。「うちでもこんなことしてみたい」と思わせる素晴らしいご活動ですね。

  5. 花田花美 より:

    原発マネーを積まれても「原発反対」と言い切れる人が増えてほしい。軍事利権をチラつかされても「戦争反対」「平和を守れ」と言い切れる人が増えてほしい。人間には欲望がある。資本主義社会は、カネへの欲望を刺激し、拝金主義の弊害を生みやすい。そこをどう、カバーしていけるのだろうか?コミュニティの持つ力にひとつの可能性があると思う。
    「人とつながりたい」これも欲望のひとつ。
    「金持ちになりたい」これも欲望のひとつ。「地域全体を経済発展させたい」これも欲望のひとつ。
    「有名人になりたい。」これも欲望のひとつ。「人に好かれたい」これも欲望のひとつ。
    「かわいいと思われたい。」これも欲望のひとつ。「年が若くみられたい」これも欲望のひとつ。
    「役に立つと思われたい。」これも欲望のひとつ。「人の役に立ちたい」これも欲望のひとつ。
    「いい人だと思われたい」これも欲望のひとつ。「いい人になりたい」これも欲望のひとつ。
    「平和を守りたい」これも欲望のひとつ。「原発を全部廃炉にしたい」これも欲望のひとつ。
    「欲望」というと、悪いイメージをもたれてしまうかもしれないけれど、人間は、ほとんど「欲望」で行動している。
    その「欲望」を認識し、行動を良い方向に向けられないか?マスコミの多くは、魅惑的なエンタメ技術を使って、人間のもつ「欲望」を変な方向(拝金主義)に引っ張っている。それに無自覚な人が多いことが心配です。

  6. magazine9 より:

    みなさま、たくさんのコメントありがとうございます! 地方の良さって、私はなんと言っても美味しい食べ物! だと思う。今や流通が発達しているから、東京にいながらにして、「おとりよせ」できちゃうということもありますが。余談ですが、今年の夏に高知県の三原村を訪れた時、そこで飲んだどぶろくの美味しさが忘れられず。クール宅急便で取り寄せたけど飲み干し、また注文しようと、ホームページhttp://www.vill.mihara.kochi.jpを開いたら、なんと11月3日から「どぶろく祭り」じゃないの。い、行きたい! というか、やばい、今年のどぶろくが売り切れる! 山間にある三原村は、四国でも屈指の美味しいお米の産地。そこのお米を使ってつくる、どぶろくなので絶品。で、「どぶろく祭り」の時は、酒豪で有名な県内の人たちが、やってきて、箱買いするそうです。そう、まさに地産地消。でも、やはり過疎化が激しくて、お米を作る人たちがどんどん減っているという心配な状況でした。こういう、美しくて美味しい村がなくなって欲しくない、と都会から思ったり言うことって、勝手なのかな〜どうなんだろう・・と思いつつ、明日の朝一番で、農家民宿のお母さんに、電話してどぶろくを注文しようと思うのでした。

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