この人に聞きたい

「人任せ」から脱却しよう

編集部
 でも、その「日常」を過ごす中でも、自分ではどうしようもない、納得のいかないことが起こって、心が折れそうになったりすることもありませんか。

枝元
 去年の総選挙での自民党圧勝とかね。もう、折れ続けてる(笑)。でも、そういうことに潰されずに自分の中のバランスをとっていくためには、やっぱりめげずに、まず自分から方向を見つける、動きはじめることしかないんだと思うんですよ。

 私は「原発」国民投票(注)の賛同人にもなっていて、去年は原発都民投票の請求代表人として、あちこちで署名集めをやったりもしていたんですけど…声をかけてもらったきっかけが、やっぱり国民投票の賛同人になっている社会学者の宮台真司さんのおっしゃっていた言葉なんです。

(注)「原発」国民投票…3・11後に結成された市民グループ〈みんなで決めよう「原発」国民投票〉が、今後の日本の原子力政策についての国民投票や地方自治体での住民投票を実現させようという呼びかけを行っている。昨年は東京都と大阪市などで、住民投票条例制定を求める直接請求のための署名集めが行われた(いずれも必要署名数に達したが、議会で否決)。

編集部
 どんなことですか?

枝元
 「〈任せて文句をいう社会〉から〈引き受けて考える社会〉へ」という…。それを聞いたとき、ほんとにそうだな、原発のことだけじゃなくて、農業のことも食べ物のことも、みんな人に任せて文句を言うだけになっちゃってるな、と思ったんです。そのことを『ビッグイシュー』の連載に書いたのが縁で、賛同人をやることに。

編集部
 その『ビッグイシュー』は、いわゆる「ホームレス」の人たちへの支援を目的に創刊された雑誌ですが、枝元さんはかなり以前から連載をもたれていますよね。こちらはどんな経緯で?

枝元
 かかわりは、インタビューを受けたのが最初だったと思います。でも、その前から存在は知ってたんですよ。すごく明快で、わかりやすいシステムだなと感心したの。ホームレスの人たちが雑誌を売って、1冊売ったらその約半分が自分の収入になるわけでしょう。

 私、前に路上で寝てる人に「何かしてあげたい」と思って、お金を渡そうとして断られたことがありました。たしかに、お金を渡すって失礼な行為だったかもしれない。『ビッグイシュー』はそうじゃなかった。お金を渡すのじゃなくて仕事をつくる。それも、やりたいという人を拒まない。それこそお金があれば解決すると考えがちだったり、人任せにして自分は何もしないのに裏で文句を言うとか、長いものに巻かれるとか、そういういかにも「日本型」のシステムとは違う、明快で希望のあるシステムだと思ったのでした。それで、何か手伝わせてもらいたいと思って、連載をはじめることになったんです。

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枝元なほみさんに聞いた(その2) 「希望のシステム」を作りだそう」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    ツイッターなどを拝見していても、
    本当にパワフルに全国を飛び回っていらっしゃる枝元さん。
    「まずは自分が動きはじめること」という言葉が、説得力を持って響きます。
    ともすれば心折れてしまいそうなことばかりですが、
    そんな中でも希望は忘れずにいたい。
    そう思わせていただいたインタビューでした。
    枝元さん、ありがとうございました!

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