松本哉ののびのび大作戦

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 こりゃ、大変だ! 数日前、大阪のマヌケな友達から「橋下のアホ選挙に付き合いきれないから、投票日に東京で大阪人優遇のボイコットBARとかやってもいいですか?」という連絡が来た! おお、なるほど! これは面白い!! こっちは東京人ってこともあって今回の大阪の選挙などは全く興味がなく、「また橋下がくだらない一人芝居打って、総スカン食ってマヌケだな〜」ぐらいに思ってた。ところが、大阪の奴らから今回のこの話。いや、確かに我々よそ者からしたら完全に人ごとだったけど、当事者からしたら確かにたまったもんじゃない。都合悪くなったらすぐ選挙やって、とんでもない税金を使いまくるって、ほんと「冗談じゃねー」って話だ。そもそも、選挙で勝ったらなにやってもいいだろって発想があるから、「困ったら選挙」的な発想になるんだろう。あ、そう言えば我らの安倍首相もこの間そんなこといってたね。まったく、どいつもこいつも! よっしゃ、じゃあここはひとつ大阪人のために一肌脱ごう!!!

 さあ、元々ノリノリの大阪人が、さらに調子に乗り始めたもんだから、これがまたとんでもない。続々と連絡が来て、トントン拍子に話が進んで来る。いや〜、景気いいね! 大阪人の計画では、選挙の当日に東京で大阪人超優遇BARをやるという。「選挙!? にげろにげろ〜!」って感じで、どんどん東京に大阪人を呼び込み、飲みまくるらしい。場所は東京だけど、店主も大阪人、客も大阪人という謎のイベント、いや、居酒屋!! すごい、画期的だ!! ちなみに、場所は毎度おなじみ高円寺・素人の乱16号店「なんとかBAR」。
 ここは、毎日違う一日店主が日替わりでBARを開け、値段もテイストも毎日違うという謎の飲み屋。せっかくなので、ちょっとだけ紹介しておこう。コンセプトとしては、誰かの所有の店って感じじゃなくて、みんなで店をシェアしてる感じの場所。遠くから来た人も、信頼できる人なら任せて一日店主やってもらってる。これがまたすごい。ちょっと遊びに来るだけより、店をやってしまうと本当にいろんな人と仲良くなったりするので、交流手段としてはかなり面白い場所。ま、興味がある人は自分の街に「なんとかBAR」を作ってみて下さいー!!!
 さてさて、そんな「なんとかBAR」に大阪人御一行様がやって来る訳だが、大阪人超優遇ってことで、選挙から逃げて来た大阪人には大優遇するらしい。聞いたら、メチャクチャな大サービスをもくろんでるらしくて、ここで言ってしまうとお客さんが殺到して行列が大阪まで長蛇の列をなして選挙に行けてしまうかもしれないから、ここでは言わない。当日のお楽しみ!!! とりあえず、大阪市民は来て損はない!! まあ、詳細は大阪人BAR情報が入り次第twitterfacebookでお知らせするので、乞うご期待!!!!

 しかし、よく考えたら、選挙のボイコットって日本じゃあまり聞かないね。とりあえず「選挙に行こう」というキャンペーンはよく聞くけど、「行かない方がいいよ」という話はほとんど聞いたことがない。でも、海外では意外とよく聞く話で、権力者がやたらと自分たちに都合のいい環境を作りまくった挙げ句に、アリバイ作りみたいな感じで選挙に踏み切ったりする時なんかに、野党が「今回の選挙はイカサマだ!」とか言って選挙ボイコットを呼びかけたりする。これ、意外と効果があって、「投票率5%で与党圧勝」みたいになるから、選挙後は与党の信頼度ゼロ。また選挙やり直すなり信頼を得るなりしなきゃならなくなる。まあ、選挙制度があまり整ってなかったり、やたら独裁的な奴らが支配してる国ではよくあるみたいだけど、日本も民主主義レベルがどんどん後退してる昨今なので、そろそろボイコット運動とかも場合によっては必要になって来るかもね〜。個人的には基本的に選挙には行くようにしてるんだけど、結構候補者がカス過ぎて選択に迷うこともたくさんある。「金持ちの手先vs権力を欲しがってる野心家」みたいな感じ。こんなのどっちにも入れたくねえよ、本当に。でも、やみくもに行け行けと言われてると、行かないことが悪みたいで、特に興味がなくても「じゃ、よく駅前で見かける愛想のいいあのお姉さんにでも入れとこうか」とか「いつも町内のお祭りで挨拶してくれる○×先生にしようか」みたいなことになってアホみたいな政治家が増えまくってる。本当は、投票率40%切ったら無効とか、白票も数えて相応分の空席を議席配分しちゃったりしたら面白いかもしれない。今回の橋下も白票との一騎打ちに負けて市長空位になったりして。白票の宣伝カーが駅前で清き白票を呼びかけてたり…。あるいは白票陣営と公開討論会とか。いいねー、これは盛り上がりそう!! ところが、今の制度では「全員ダメ」という意見はナシで、選挙行った人の中での多数決で決まる。これはズルい!!!
 投票を拒否することも本当は意思表示で、選挙権行使のひとつ。あまりにイカサマだったり茶番だったりした時はやったほうがいいよ、どんどん。「どうせ誰がなっても同じでしょ。だから行かない」みたいなのはあんまり好きじゃないけど、「今回はインチキだからやめよう!」と、投票率を減らしにかかるボイコットは時には重要。本当は、イカサマ選挙制度の元凶=小選挙区制が導入されたあたりに、巨大なボイコット運動とか起こって、「投票率15%・全議席自民党」みたいなことになったら面白かったのかもしれない。
 で、そう考えると、今回の大阪市長選は日本選挙史の中ではなかなかレアなパターン。橋下本人以外は全員バカバカしいと思ってる選挙。よーし、こうなったら選挙避難民、受け入れますよ〜。高円寺で!

 というわけで、大阪人の皆さん! 3月23日は高円寺なんとかBARで、大阪市民の大阪市民による大阪市民のための「大阪人BAR」が開催されてしまう! 「遠いよこんちくしょう!」って人にはちゃんとゲストハウス「マヌケ宿泊所」もあるので、安心!! う〜ん、これは駆けつけるしかない! 目指せ投票率5%! Welcome to TOKYO!!!!! 
 あ、もちろん、選挙権を持たない東京人などよそ者もどんどん遊びに行ってもいいとのこと。う〜ん、これは面白そうだ!!!

【イベントスケジュール】

3月21日(金)
映画『怒れ!憤れ!ーステファン・エセルの遺言ー』上映&トーク

15:15からの上映後
K’s cinema

3月23日(日)
大阪人の大阪人による大阪人のためのBAR in 東京

昼から夜まで@高円寺・なんとかBAR
東京都杉並区高円寺北3-4-12

 

  

※コメントは承認制です。
第81回選挙に行くのはやめよう!
大阪茶番選挙ボイコットBAR!
」 に15件のコメント

  1. magazine9 より:

    なんと前代未聞の「選挙ボイコット」バー。そもそも今回の大阪市長選の発端は、議会の反発で橋下市長の掲げる「大阪都構想」が行き詰まったこと。橋下市長は、選挙で勝てばお得意の「民意を得た」の台詞とともに、都構想を押し進める構えのようですが、野党は「出直し選には大義がない」として対立候補を立てず、ほぼ橋下氏の「独り相撲」状態に。こんなことで税金を無駄遣いされる有権者が一番の被害者なんでは? 松本さんの言うように日本の民主主義、〈そろそろボイコット運動とかも場合によっては必要〉なところまで来ちゃってるのかもしれません。

  2. くろとり より:

    選挙を棄権した人は選挙結果を無条件で信任したことになるという事を知らないのでしょうか。
    たとえそれがどんな結果だったとしても、文句を言う資格はありません。無条件で信任しているのですよ。
    ボイコットすることには何の意味も無いのです。無視すればいいだけなのですから。
    そもそも大阪都構想というのは橋下氏や維新の会の根本です。それを否定されるのであれば法律に違反しない限りどのような政治的手段を取るのは当然でしょう。
    大阪都構想に反対なら市長選に候補者を立て、正々堂々と橋下氏を選挙で倒せばいいだけのことです。
    選挙で橋下氏に勝てないからといって逃げる方が卑怯でしょう。
    大阪のことを知らない東京人が外野で勝手なことを言わないでほしいです。

  3. 勝ち目がないから不戦敗でいいや、とやっているのが今の大阪の反橋下陣営というわけだ。勝ち目があるなら擁立すれば良いのだから。圧倒的な猪瀬氏に立ち向かったかつての宇都宮氏に比べ、なんと矮小な連中なのか。

  4. ひとみ より:

    都知事選のときは投票に行かない人たちを批判してたのに。
    なんだか勝てそうな時とそうでない時で主張変えてるだけに思えてしまいます。

  5. 星野きらら より:

    あr,操作まちがえた。すみません、やり直します。
    えっ、「投票率5パーセント」だって一番の人が市長になるんでしょ、じゃ、また橋下市長になるんでしょ。いまどきはどんなにおかしいと思うことだって、権力者の意向が通るじゃありませんか。NHK会長とか委員とか・・、やめないよね。私は「白票」って無意味だと思う。それってカウントはされるだろうけど現実には有効でないのでは?大阪の人は、このさい、なってほしい候補をちゃんとたてればよかったのに、どうして?と私は思ってました。ボイコット運動を有効にするには、なんか、なんか、あと一歩ほしいような・・。「大阪人BAR」はすごく面白そうですが、やっぱり橋下が市長になっちゃうのを阻止するのには役にたたないのでは?

  6. 面白いんだけど、これやったらさ、タイとかウクライナになってしまうと思うんだけどな。内戦になったら、たとえ安倍政権潰しても、日本人同士が殺し合うことになるわけで、それは不幸この上ないでしょ。

  7. 弥生 より:

    うーん、ボイコット絶対支持! というわけではないけど、今回の大阪市長選は、橋下市長が子どものワガママレベルで言い出した、必要性も大義もゼロの選挙なわけで、先日の都知事選などと一緒にするのはあまりに乱暴では? 
    「当選してほしい候補を立てる」というのももちろんありでしょうが、それ自体が「注目を取り戻したい」橋下市長の土俵に上がっちゃうことだ、という見方もできるわけで。それよりも橋下市長の「独り相撲」っぷりを強調する結果に持っていこう(だから白票じゃなくてボイコット)、というのは選択肢としては十分ありじゃないですかね。

  8. 棄権主義者 より:

    民主主義とかいってあえて不毛な選択を支持させるのが本当の政治か!それが市民の意思か?
    本当の政治は台湾でやっている。あれこそ本当の意思表示!
    大阪人は県民だか市民だか知らんが、とにかく棄権せよ!!!

  9. たかはし より:

    選挙の投票をしない事や白票投票が、当選者を無条件に支持する、と言う事ではない事は(くろとり)さん、分かっているよね。
    私も今回「県知事選挙」で無投票当選という結果を味わって、悔しい思いをした。
    そう言うと君は、「対立候補を立てない方が悪い」と言うだろう。
    こういう状況になるのは何が悪いのか、私でもすぐに分かった、そう、選挙制度が悪いんだ、投票用紙に「不支持欄」を設けてその数を支持数から減じたり、(これは単独立候補の場合有効)、投票率の最低限度を設けたり、得票数が有権者数の、或いは有効投票数の何%以下は当選無効とする等、いろいろな事が考えられる。
    但し、これらの事を考え、決めるのが、それでもって選ばれる人達自身だから無理だろうね。
    <くろとり>さん、しかしながら、棄権した人、白票を投じた人、無効にされる投票をした人、全てが「当選した人」を「無条件に支持」したのではないし、「あなたの言う事には異議無く従います。」と言っているわけではないことを知ってください。

  10. くろとり より:

    たかはしさん。コメントありがとうございます。以下に反論させて頂きます。
    「当選者を無条件に支持する」ではなく「選挙結果を白紙委任する」です。
    選挙権は権利であって義務ではありません。選択する権利を放棄した以上、その結果に異議を唱える資格を放棄することになるのは当然です。義務でない以上、投票率の最低限度の設定や得票率の高低で当選の有効無効を決定することは出来ないし、その必要も無く、意味もありません。
    たとえば県知事選で単独立候補の場合、立候補者を落選させてどうする気ですか? 県知事がいないままでいいはずないですよね。 それこそ「対立候補を立てない方が悪い」のです。当たり前でしょう? 
    そもそも今回の選挙は大阪都構想という既得権益を崩す行為に反対する既存政党が原因で有権者に提示する都構想の案の作成すら出来なくなった事に端を発します。
    既存政党が選挙では橋下氏に勝てない為に候補者すら立てず、卑怯にも逃げたのです。
    文句を言うなら橋下氏にではなく逃げた既存政党に言うべきなのです。

  11. たかはし より:

    「選挙権は義務ではなく権利である」、その通りです、ならば今回の大阪市の場合や県知事選挙で単独候補だった場合に、どの立候補者にも「投票したくない権利」はどうしたら行使できるのでしょうか。
    いつの選挙でも、何の選挙でも、誰にも投票したくない場合があります、現行の選挙制度では、白紙投票するか適当な事を書いて無効投票するか、棄権するかしかないのです。
    その様な場合、私の「選挙する権利」はどうして保障してくれるのですか。
    自分が立候補すればよい、と言うかもしれません、がそれは不可能な事は分かりますね。
    当選した人に「白紙委任状」を手渡す意志は全くないのです。
    「選ばない権利」を行使する方法はありませんか。何か考えてくださいよ、私もいくつか考えたのですから。

  12. くろとり より:

    誰かが必ず就かなければならない地位であるにも関わらず、誰も選ばないという事ですか?
    自分が選びたい人がいないからと言って市長や県知事がいなくなってもいいというのはあまりに無責任じゃないですか?
    自分の権利を行使することを優先させるあまり、他人に迷惑をかけるはどうかと思いますよ。
    選択肢が無い状態であっても選ばなければいけない事など世の中にはいくらでもあるのです。
    どうしても自分の考えと同じ人しか選びたくないのなら非常に困難であることは百も承知の上で
    自分で立候補するか、同じ考え方の人を立候補させるかしかないのです。
    私が同じ立場に立つのなら選択したくない人の中から無理やり選ぶか、泣く泣く白紙委任します。

  13. たかはし より:

    誰かがしなければならない地位であるにも拘わらず、選ばないというのは無責任、ってことですか。
    適任でないと思う人に投票する事も無責任だと思いますが、自分が立つか自分の考えに賛同する人を立候補させる事も非常に困難どころか、不可能です。
    あなたのように選択したくない人から無理に選んで投票したり、泣く泣く白紙委任してきた、にほんの「選挙の歴史」が長い間続いてきたから、こんなに酷い「日本国」に似なってしまったのではありませんか。
    やはり、国民一人一人の意志を正直に反映できる「選挙制度」に作り直す必要を、ますます感じます。

  14. くろとり より:

    適任と思う人がいなくても選ばないといけないのですよ。誰も選ばずにどうするつもりなのですか?
    立候補した人が全員適任では無いと思っていても選択肢が無いのですから立候補した人の中で少しでも適任に近い人を選ぶしかないのです。
    「国民一人一人の意志を正直に反映できる「選挙制度」に作り直す」? どうやって? 無理でしょう。
    一人一人の考えはみんな違うのです。 あなたは橋下氏が市長にふさわしくないと考えておられるかもしれませんが私は橋下氏が市長にふさわしいと思い、投票しました。
    あなたと私の2人でさえ誰が適任であるかないか意見が分かれ、意思を正直に反映できないのです。
    日本国民全員の意思を正直に反映できる選挙制度など100%不可能です。
    ましてや立候補者がいない場合、どうするのですか? 適任である人を無理やりその地位につけるのですか? また、適任である人を誰がどうやって選ぶのですか? それは不可能と言うのではないですか?

  15. 花屋 より:

     世界には「投票率が○×%以下だとやりなおし」という国もあります。そういう国だと、次の投票が確定するまでは仮政府しかないという状況になることもありますが、現在の日本のように投票率が低いのに(支持者が少ないのに)誰かが当選してしまうのもおかしいと感じます。
     今の日本の状態で投票ボイコットをするのは、現日本政府を無視するということでしょうか・・・?
    私はマック赤坂に市長になってもらいたかったので、棄権せずマックさんに入れてもらいたかったです。
     
     ともかく、(今回の市長選ではないですが)日本の選挙には区割り、1票の差、鉛筆記入、投票時間繰上げ等おかしな点があるのは確かです。
     現代にあわせて、選挙方法もおかしな点を改善してアップデートしないといけないと感じます。

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まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

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