マガ9レビュー

(『マガジン9条』編集部/集英社新書)

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「日本国憲法9条を守ろうという趣旨のウェッブサイトを立ち上げるんだけど、手伝ってくれない?」

 知人からそう言われ、スタッフの一人として「マガジン9条」編集部の末席に加わったのは、今から二年前(二〇〇五年二月)のことだった。

 9条を守る――そう聞いたぼくは当初、社民党や共産党が掲げる護憲のような、ちょっと堅苦しそうなイメージを抱いた。

 ところが、ライター、デザイナー、編集者などを本職とするスタッフと会ってみると、雰囲気はどことなく緩く、「憲法9条は変えさせない」との意思を強くもちながら、駄洒落やギャグを連発する人々なのである。

 そうした彼(女)らの仕事は職人技だ。サイトを見ていただければわかると思うが、文章構成やデザインはもちろんのこと、市井の人々の目線を外さず、サービス精神も欠かさない。

 だからこそ、かくも多彩な人々がインタビューに応じてくれたのだろう。巻頭連載の「この人に聞きたい」を集めた一冊の新書として読み直すと、「戦争をしない。軍隊をもたない」とうたう9条が実に様々な語られ方をしているのがわかる。たとえば、外交能力の問題として(橋本治)、異文化共生の手段として(辛淑玉)経済成長神話の限界として(辻信一)、生きにくい時代の閉塞感として(雨宮処凛)……。

 たった数行の条文が人々を饒舌にさせ、読む人の想像力をかきたてる。それが私たちの国の理念なのだ。

しかし、イラクへの自衛隊派遣、北朝鮮の核実験など、ここ数年、9条にとっては逆風が吹き続けている。それに乗じて、「9条は非現実的」と言ってはばからない政治家や評論家もいるが、私たちの想像力が「現実」という地平に引きずりおろされれば、本書に登場するゲームクリエーター、広井王子さんの「サクラ大戦」のような作品だって生れないだろう。

 本書のタイトルがどうして「みんなの9条」なのか?

 そこに、いろいろな考え方を育む豊かな土壌があるからだとぼくは思う。

(芳地隆之)

 

  

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