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レポートno012
社民党が開催している「憲法学校」に、『マガジン9条』でおなじみの伊藤真さんが講師として登場しました。自民党憲法草案についての批判・解説を聞いてきました!
伊藤さん

 伊藤先生登場の前に、社民党の辻元清美衆議院議員と近藤正道参議院議員の「憲法調査会ライブ報告」(衆議院憲法調査特別委員会・参議院憲法調査会)がありました。辻元氏の言葉を借りれば、事態は「緊迫している」とのこと。自公両党はこの国会で、国民投票法案を成立させたがっている。場合によっては、強行採決される可能性もあるとか。国民投票法案って、どうしちゃったんだろう?と思っていたみなさん、今国会ということは6月中です。報道が少ないからといって、気を抜いてはいけません。

 さて、伊藤さんです。自民党新憲法草案と日本国憲法を対比して掲載した新聞のコピーが配られ、次々と問題点を指摘していきました。

 最初に指摘されたのは、この草案が「新憲法草案」だということ。改正草案ではないのです。ということは、日本国憲法の根本にある「一人一人を大切にする」個人の尊重と、積極的非暴力平和主義いう価値基準が「新憲法」で継承されるとはかぎりません。改正は現行憲法の96条〈改正〉の範囲内で、現行憲法の連続性を保ちつつ、マイナーチェンジをするもののはず。新憲法を作るということは、新たな憲法秩序を作るということになってしまう。これは、一種の政治的なクーデターともいえる。なぜなら、今の憲法は国会議員、国務大臣を含む公務員に憲法を守る義務を課しているのだから(99条)……というわけです。

 また、「憲法調査会ライブ報告」にあったように、今とりあえず法案化されそうなのは、国民投票法案です。この審議に反対すると、「これは国民投票をするための手続き法だから、そのくらいいいじゃないか」と言われることがありますが、伊藤さんは「価値中立の手続き法はありえない。何か目的があるから、一定の実現したい価値があるから、手続きを決めようとするのだ」とばっさり。目的とは憲法改正に決まっています。

加えて伊藤さんは、
 国民の多数意見に従うことが常に正しいわけではない。誰もがムードに流されたり、目先の利益に流されることがある。多数意見に従っても過ちを犯す危険がある。多数決も絶対ではなく、そこに歯止めをかける必要がある。また、多数決でも奪ってはならない価値もある。その時々の多数決で奪ってはならない価値を明文化したものが憲法なのだ――といった基本的な考え方を力説しました。
「多数決に従う理由は、多数意見は少数意見より『まだましだ』という考え方があるから。その前提には、十分に審議・討論がなされ少数意見を吟味してこそ、まだましと言える。十分な討論があってはじめて、多数決は正当性をもつ。強行採決はよくない。国民投票法の審議は十分できているのか?」と、憲法調査会の現状にも苦言を呈します。

 その後は、順に自民党草案の「気になる点」をピックアップ。ここでその一つ、一つに触れていくと、レポートが膨大になってしまうので、伊藤さんのあげた自民党草案の条文を列挙します。

前文/9条の2―1,2,3/12条/13条/19条の2―3/21条の2/25条―2/25条の2/25条の3/54条/64条の2/72条/91条の2−2/92条/96条/現行憲法の95条の削除などなど。(みなさん、自民党法案をよく読んで、伊藤さんが何を指摘したのか考えてみてください。手抜き報告で、ごめんなさい。伊藤さんのお話が猛スピードでメモを取るのが大変でした!)

「憲法とは国民が国家権力に対して枠をはめるためのものである」とか、「人権を制限するのは、別の人の人権しかない。(環境権やプライバシー権を新憲法に盛り込むことの必要性を主張することに対して)新しい人権を明文化することは、別の人の人権を制限する根拠を与えてしまう」「個人が尊重されるべきであり、公益、国益といった言葉を使って、それをあいまいにしようとするのはおかしい」など……たくさんの論拠をあげて、伊藤さんは自民党憲法草案批判を展開。

たった1時間あまりの、ものすごいスピードでの中身のこいエネルギッシュな講演に、500人近い聴衆が伊藤さんの話のどこに共感し、感心し、賛同(もしくは反発した?)したかはそれぞれだと思います。でも、こういった指摘をもっと多くの人に聞く機会をもってほしいと感じました。

改憲に反対する野党は、さらにより広く一般にこの自民党草案がもつ危うさ、現在の状況を喧伝していくべきでしょう。
thanks1

伊藤さんが講演で言っていたように、
「自分の問題として今の憲法が変わったら、自分の生活がどう変わるのか?」
――それに対する想像力を刺激するためにも、耳を傾けるべき内容だったと思います。
『マガジン9条』の「けんぽう手習い塾」での、今後の伊藤さんの意見も要注目です。

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