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2013-04-10up

佐藤潤一の「カエルの公式」

第23回

社会問題を「見える化」する大切さ

 こんにちは。いよいよ新年度ですね。
 学校でも仕事場でも、新しい場所で思いを新たにしている人も多いのではないでしょうか?

 学校と言えば(かなり無理なこじつけですが…)最近おもしろい写真をFacebookで見かけました。Occupy Wall St.さんのFacebookからシェアされてきた写真で、ある学校のプロジェクトで生徒たちが展示したものだそうです。

 それがこちら。

(出典:https://www.facebook.com/OccupyWallSt1

 写真一枚だけで、これが何を意味するかわかりますよね。
 飲料にどれだけ砂糖が含まれているかを示したものですが、見た人に深く考えてもらい、行動させる、そんな展示です。

 昔から「百聞は一見にしかず」と言いますが、まさしくその通り。
 ということで、前置きがながくなりましたが、今日の話題は「見える化」の力です。

社会問題はなかなか目に見えない

 説明していてもなかなか理解してもらえないという経験はありませんか?
 社会問題は、特になかなか目に見えません。だからこそ、社会問題を解決したいという人に求められるのは「見える化」する工夫です。

 例えば上でご紹介した例でも、飲料にどれだけ砂糖が含まれているかというのを口頭で説明しても、なかなか話を理解してもらえないでしょう。そんなときに「見える化」されていると会話の助けになりますし、行動を促すものにもなります。

ジェット13機分の網が魚を一網打尽

 魚介類は「獲られすぎ」の状態です。
 世界の漁業は、約90%の魚が「獲りすぎ」か「限界量まで漁獲」されている状態と言われています。

 最新鋭の超巨大漁船にいたっては、なんとジャンボジェット機が13機すっぽり入ってしまうぐらいの巨大漁網(底引き網)で、魚を乱暴に根こそぎ獲ってしまいます。最近は、情報やデータを可視化して環境問題や社会問題を表現する、このような「インフォグラフ」(インフォメーション+グラフィックの造語)がよく使われています。

 そして、商品化される魚介類だけではなく、その他のイルカ、ウミガメなどの生物も一緒に獲られそして捨てられることもあります。世界中で漁獲量のほぼ4分の1が、海に廃棄されて死んでいると言われているぐらいです。

 こちらがその実態。オランダの科学者が大型の底引き網漁船で写した写真です。

(© Greenpeace )



 最新鋭の漁船が魚を探しだし、集め、そして漁網で一網打尽にしながら、海を行ったり来たりし続けています。いくら広い海とはいっても、このような漁船にとってもう海は広くありません。

 掃除機のテレビCMで、ビーズを吸い込むデモンストレーションを良く見かけますが、まさしくあのイメージで最新鋭で巨大な漁船が、海の生物を種類も大きさも構わず"一緒くた"に吸い上げてしまっているのです。

 写真や映像も「見える化」の重要ツール。上の写真が公開されたことや、たくさんのオーストラリア市民や団体が声を政府に届けたことにより、オーストラリアは、2012年、オランダの巨大底引き網漁船による漁業を2年間禁止することを決定しています。

 さて、「底引き網ってなんだ?」という方も多いはず。そんな漁業の問題点を「見える化」したのがこちらのパンフレットです。10分で読めて「へー、なるほど、へー」と感じる点がたくさんです。ぜひご覧ください。(画像をクリックすると、ダウンロードのページに飛べます)

スーパーと海の関係を「見える化」

 それでは、「私たちにできること」はなんでしょう。

 スーパーで、私たちが魚と出会うとき、そのお魚のことを知るために表示を見ますよね。
 すると、こんな表示のものも。

(太平洋、大西洋、インド洋」というラベル表示がされている商品)

「おい、漁獲水域広すぎるだろ」と、つっこみたくなるお魚たちが普通に売られているのです。

 一方で、野菜やお肉売り場に行ってみると、生産者の方々の笑顔の写真が飾られ「私が生産しました」とのトレーサビリティーを訴え、野菜と消費者の出会いを大切にしている感じを出すお店が増えています。魚介類だけ、逆に「見せない化」がされていて、ひどい扱いですよね。

 そこで、グリーンピースでは、スーパーの魚介類を扱う姿勢について「見える化」してみました。どのスーパーが、より魚介類と消費者の出会いを大切に考えているかをランキングという仕組みで表現したのです。ランキングが上であるほど、商品の安全性や持続可能性について、良いポリシーを持っているというものです。

 「買い物に行くお店を選べる」という声をいただきます。こうやって、見える形で行動を促すことができるとやっぱりみんな動きやすいですよね。

 そして、このランキングで最下位だったイトーヨーカドーをはじめ、日本の食卓に並ぶお魚の約70%を販売するスーパーマーケットに、ぜひもっと真剣に考えてほしいという新しいキャンペーンを昨日から開始しました!

 楽しい仕組みもたくさんです。ぜひ上のバナーをクリックして「大復活祭」にご参加ください。詳細は、グリーンピースのWebで!

 このように「見える化」の方法を楽しく考えてみるのはいかがでしょうか?

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「見える化」されたスーパーマーケットランキング、
あなたの御用達のお店はどうですか?
自分が食べている(使っている)この製品が、
どこからどんなふうにやってきたのか? を知ることは、
安全の面からも、環境の面からもとっても大切なこと。
それを可能にしていくのは、消費者である私たち1人ひとりです。

ご意見・ご感想をお寄せください。

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佐藤潤一さんプロフィール

さとう じゅんいち グリーンピース・ジャパン事務局長。1977年生まれ。アメリカのコロラド州フォート・ルイス大学在学中に、NGO「リザルツ」の活動に参加し、貧困問題に取り組む。また、メキシコ・チワワ州で1年間先住民族のタラウマラ人と生活をともにし、貧困問題と環境問題の関係を研究。帰国後の2001年、NGO「グリーンピース・ジャパン」のスタッフに。2010年より現職。twitter はこちら→@gpjSato