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2013-05-29up

佐藤潤一の「カエルの公式」

第26回

インドに原発、売っていいんですか?――インフォグラフで一目瞭然! 安倍政権の原発二枚舌外交

 こんにちは。

 インドのマンモハン・シン首相が来日していますが、今日29日、安倍首相と日印原子力協定の交渉再開を約束するらしいです。

 今回は、話題の原発輸出を例に、最近話題のインフォグラフを使って情報を拡散するという事例についてお話します。

原発の二枚舌外交

 ゴールデンウィークからはじまった、安倍政権の原発を含むインフラ輸出の大合唱。

 東電の福島第一原発事故の現場では、たまり続ける汚染水に悩まされるなど綱渡りの状態なのに、海外では「原発は安全」と原発を売り込んでいるわけです。

 この安倍政権の二枚舌外交、どう思いますか?

一目瞭然! 原発の売り込み先はこちら

 日本の原子炉メーカーは、東芝、日立製作所、そして三菱重工の3社です。
 そして政府がその原子炉メーカーと一緒に原発を売り込もうとしている国々は、以下の通り。

(クリックで拡大します)

 今回のシン首相の来日が、今後の日印原子力安全協定の締結ということにつながれば、もちろん日本企業はインドにも原発を売り込みに行くでしょう。

 このようにインフォグラフに現状をまとめてみると、海外で二枚舌外交を続けている様子が一目瞭然ですよね。問題を一瞬で伝えられるインフォグラフはフェイスブックなどでも拡散されやすいのでNGOや市民団体の味方です。

原子炉メーカーに責任を問うべき

 そもそも被害が現在進行形で続いているにもかかわらず、その事故を起こした原子炉を設計・製造した東芝、日立などが、堂々と海外に原発を販売しようとしていることが不自然ですよね。

(東電福島第一原発の原子炉メーカーについてもインフォグラフでまとめてみました。日立、東芝、GEがどの原子炉を設計・製造したかがすぐにわかります)

 以前にも、カエルの公式で取り上げましたが、日立、東芝、三菱重工などの原子炉メーカーは原発事故の責任を問われないという強固な仕組みに守られています。原子炉メーカーが原発事故の責任をまったく感じていないから、原発輸出ができてしまうのです。

原発輸出で「安全神話」が復活?

 インドは、2010年に、世界でも珍しく原発事故の際に原子炉メーカーに責任を問える法律をつくりました。その法律のために、2月21日、原子炉メーカーであるGEインドの元CEOが以下のように述べています。

 「GEは(原子炉メーカーが事故責任を問われる)法律がある間は、インドで原発ビジネスを追求しないだろう。我々は民間企業で、そのようなリスクはとれない」(『Forbes India』誌)

 一方で、5月20日、インドとの原子力協定の交渉開始を伝えた一面記事(日経新聞)でインドには原子炉メーカーに責任を問える法律があることについて聞かれた政府関係者のコメントがこちら。

 「世界トップクラスの日本の技術を堂々とアピールできる」(日本政府関係者)

 「もしもし?」と言いたくなるコメント…。たとえどんなに技術がすごくても、万が一のことを考える必要性があるというのが原発事故で学んだ教訓のはず。

(このGEインドの元CEOのコメントと、日本政府関係者のコメントの対比もインフォグラフにしたいかも…。日本政府や原子炉メーカーがリスクについて安易に考えている様子が一目瞭然になりますよね)

 先日も東海村で放射性物質が外部に放出された事件がありました。
 原発輸出を通じて復活しようとしている「安全神話」。絶対に復活させてはいけません。

 グリーンピースでは、世界中で10万人以上が参加している「原発にもメーカー責任を!」というキャンペーンを行っています。

 詳しくは以下をクリック

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インフォグラフとは、「インフォグラフィックス(infographics )」の略。
「情報、データ、知識を視覚的に表現したもの 」だそうです。
長々と文章だけで説明するよりもインパクトがあって、
多くの人に短時間で伝わりやすいというメリットがあります。
これもまた、佐藤さんが以前に重要性を指摘していた<社会問題を「見える化」する>ことにつながるのでしょう。

こちらのページなども参考になりそうです。

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佐藤潤一さんプロフィール

さとう じゅんいち グリーンピース・ジャパン事務局長。1977年生まれ。アメリカのコロラド州フォート・ルイス大学在学中に、NGO「リザルツ」の活動に参加し、貧困問題に取り組む。また、メキシコ・チワワ州で1年間先住民族のタラウマラ人と生活をともにし、貧困問題と環境問題の関係を研究。帰国後の2001年、NGO「グリーンピース・ジャパン」のスタッフに。2010年より現職。twitter はこちら→@gpjSato