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日本の憲法9条のこと、海外からはどう見られているのでしょう。
今回は、第3回で韓国の徴兵経験者の声をレポートしてくれた
ユン・ヒランさんが、 今度は兵役を間近に控えた若者たちにアンケートをとってくれました!


第9回
韓国
「徴兵制のある国・韓国から見た改憲」ユン・へラン
ユン・ヒラン1972年ソウル生まれ、南原育ち。
大学卒業後、会社勤めを経験。その後、
語学への関心が高まり、
日本語を勉強するために二年間留学。
帰国後、通訳の仕事をしながら大学に入りなおし、
日本文化を勉強中。ソウル在住。
ユン・ヒラン
韓国の工場にて、日本人の技術者を招いての
ビジネスセミナーで通訳をするユンさん
今回の反日運動がもたらしたもの
 まず、第二回目のアンケート調査の結果を掲載するまでに時間がかかってしまったことをお詫びいたします。
 個人的なことで恐縮ですが、この間の韓国と日本との問題が、日本語の通訳を仕事としている私にとってもいろいろな意味で降りかかってきてプレッシャーになったようで、非常に珍しいことなのですが、急性胃痙攣を起こしてしまいました。そのため、しばらく入院することになったのです。
 まさか、こんな風になるとは思っても見なかったので意外でした。ただ、独島(トクト。編集部注:竹島の韓国名)問題ではこれまでにない反日感情を引き起こしたのは事実です。独島問題は好き嫌いや感情的なものではなく、国権を侵す、領土的侵略行為と韓国では考えられているからです。
 そのために一時的には反日デモが激しく起きましたし、マスコミでも大きく取り上げられました。でも一方ではこれまでとは違い、慎重さと理性的な問題解決を望む人も多くいたのです。過去の反日のものとは違う風景をうかがうことができたのです。
 こんな話もありました。日本人が多く住んでいるソウルでは、デモが激化した当時、 日本人会が外出を控えるようにとか、慎重に行動するようにといったことを日本人に求めたようです。それに対して、ソウルに住むある韓国人は、中国のように日本人の施設や食堂などを襲うようなことはありえないとはっきり言っていました。事実そうでしたし、これからも起きにくいと思います。そんな心配をするよりも何が問題なのかをしっかりと考えて欲しいという彼の主張は印象的でした。

 独島問題が起きるまで、韓日両国の関係は韓日ワールドカップと『韓流』の影響で 過去の感情がかなりおさまったかと思えるほどの友好的な関係が出来上がり、とても肯定的な状況でした。
 世代を飛び越えた両国の活発な交流によって、かなりその傷は癒えて、過敏に反応 せずに済んでいるようでした。特に活発な文化的な交流は、『韓流』という名前の下に、若い世代だけではなく彼らの両親の世代まで含め、大きな発展とも思えたのです。
 しかし、今回の独島問題は、このような友好関係を築けたことで、独島問題のよう な日本と韓国に厳然として横たわる問題や傷を忘れようとしていた人たちに冷水を浴びせたようです。
 今回のような日本の行為は、日本自身が犯した過去の行為に対しての反省のない傲慢な態度であるし、むしろそうした行為を犯した時代に回帰しようとしているのでは ないかと思わせるものがあります。
 こうした行為はこれまで日本の過去の行為をまったく知らない子どもたちにまで、深刻に受け止められました。日本を身近に感じていた文化マニアの人たちや子どもたちにとっても、日本の韓国国権を侵す行為への怒りに近い感情は、短期間に解消される事は残念ながらないと思います。
 しかし、未来を見据えた発展的な両国の関係を作るためには、「誰か」が先に何かを実践しなくてはいけないことはご理解いただけるのではないかと思います。
 と同時に、日本の皆様がすべて過去の日本への回帰を望んでいるとは思えません。未来への思いを持っている人たちが、もっと声を出してくれることを望みます。その声が大きくなればなるほど、傷は早く回復すると思いますから。
 今回のアンケート調査は大学生と兵務庁(入隊前に身体検査を行う所)で行いまし た。
兵役を控えた若者たちはこう考える
ファン・スンヒョン(22歳)大学生
◎韓国の徴兵制について
 個人的には、わが国の現実と立場を考えてみると軍隊に行かなければならないと思うし、とにかくやっぱり義務なので・・・。

◎現在の兵役制度について
 強制力をもっている以上、それなりの補償をしなければいけないと思う。

◎日本の自衛隊について
 日本の状況が詳しくわからないから、国家でいくら支援をするのかとか、
補償はどうなっているのか、知らないので答えられません。

◎改憲によって徴兵制や軍隊が顕在化することについて
 わが国に対してそれなりの補償があれば、そんなに反発はないと思う。
イ・ムチェウ(20歳)大学生
◎徴兵制について
 良いと思う。

◎現在の徴兵制度について
 国は小さいし、まだ統一もならないので今の制度は仕方がないと思う。

◎日本の自衛隊について
 義務ではない選択事項だというのは、本当に良い国だと思う。

◎改憲によって徴兵制や軍隊が顕在化することについて
 チォックパリドル(日本を蔑視するときに使う言葉)、別に関心はない…。
パク・チンホ(23歳)フリーター
◎徴兵制について
 先進国のように兵士は志願制にして、月給制にすれば増えると思う。
 また職業で軍生活をするのだから国防力も上がると思う。

◎現在の徴兵制度について
 非常に不満。どんな人も行かなくてはいけない軍隊ではあるけど、自分自身にとっては、一番全盛期の時に二年間も軍隊で過ごさなければいけない時間がとても惜しいと思っている。
 軍隊に行った人の中には、行けばまともな人間になって戻ってこられるというけど、自分はもう十分にまともな人間だと思うんで・・・。

◎日本の自衛隊について
 日本は第二次世界大戦に敗れて軍隊をもつことができないと聞いている、しかし言葉だけをかえて自衛隊と呼んでいるけど、もう十分に軍隊じゃないか。
呆れている!

◎改憲によって徴兵制や軍隊が顕在化することについて
 日本が国防力を上げるようなことはいけないと思う。
 日本人は腹の中で何を考えているのかわからないし、いつまた戦争を起こすかもしれないのだから、強力な軍隊を持つことに関しては世界中が阻まなくてはいけないと思う。
キム・ナムソック(19歳)プロレスラー、リングネーム「CROW」
◎徴兵制について
 兵役制度自体は良いと思うが、期間が長すぎる。軍事訓練も不合理だと思う。訓練に割り当てられる時間がやたら長いが、そのわりには効率が良いとは思えないからだ。
 入隊を目の前にしている私にとっては、兵役によって生じる空白期間が問題で、除隊後も現在のように国内外で活躍できるのか不安がある。どうしても制約ができてしまうし、一から出直しというところもあるので、打撃であることは間違いない。

◎現在の徴兵制度について
 服務期間縮小が必要。長ければよいのではなく、短い期間でも国への貢献度や何かをなしえたという成就感は得ることができるのだから、それを最優先事項として考えてもらいたい。

◎日本の自衛隊について
 別に問題はないと思う。自分が考えての職業選択なのだからそれに対する感情はない。
  しかし、近頃日本の右翼団体がやっている独島問題などを目の当たりにすると、反日感情が湧いてくる。

◎改憲によって徴兵制や軍隊が顕在化することについて
 誰が何のためにやるのかによって違う。仮に右翼的な主導のもとに行われるのならしないほうが良いと思う。
イ・エソン(18歳)フリーター “空軍志願”
◎徴兵制について
 現在の徴兵制は強制が間違っている。その理由としては、自分の夢を放棄しなくていけないこと、自分の家族の生計を維持できなくなることなどが起きうる制度だからだ。(実際、暮し向きが厳しい人は軍隊に行くことすらできない)これはまさに言葉だけの制度だ。
  さらに基準、条件の頻繁な改変によって、不合理が生じている。私個人の場合でも、家族の生活を支える一人としてその一貫性のなさに被害を受けている。それでも志願して入隊を選択した。こうした制度を補完するものの必要性を切実に感じている。

◎現在の徴兵制度について
 制度を補完するもの、各家庭の都合などを考慮することのできる選別制度などを用意して、徴兵と募兵とを併用することができたらより合理的な兵役制度になると思う。

◎日本の自衛隊について
 自衛隊の現在程度の規模と状態なら、別に意見はない。

◎改憲によって徴兵制や軍隊が顕在化することについて
  一度変えるとさらにエスカレートする可能性があるので、その点は心配だ。
過去にも軍事的な被害をこうむっているし、隣国は当然のことながら、世界的にも不安感が拡大する可能性は高い。
9条を変えると、日本は「怖い国」になる?
 次回は女性に訊いてみようと思っています。
 女性は志願して軍隊に行く人もいますし、ボーイフレンドが軍隊にいる間に、違うボーイフレンドをつくってしまう例もあるといいます。同世代が実際に徴兵に行く、当事者とも言える20代前半の女性たちに訊いてみますのでご期待下さい。
人生で最も輝いている青春時代の2年間を、
軍隊で過ごさなければならないという現実。
日本の10代、20代のみなさんはどう考えますか?
 ぜひ編集部までご意見、ご感想を送ってくださいね。
ユンさんにみなさんの声をお届けしたいと思います!
ご意見募集!
ぜひ、ご意見、ご感想をお寄せください。
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