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今週のキイ

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 もう内閣はめっちゃくちゃ。

政権末期

 事務所経費を誤魔化した佐田玄一郎前行革担当大臣の首を切って、やっと一息ついたと思ったら、松岡利勝農水相、伊吹文明文科相、中川昭一自民党政調会長と、事務所経費の不正流用問題が続出。
 さらには尾身幸次財務相に、公費で長女を海外視察に同行させたという疑惑が発覚。
 そして今度は、逢沢一郎衆院議運委員長の宮崎知事選での選挙違反容疑。もう、とどまるところを知らない乱れカラクリ。

 このほかにも、数々の疑惑情報が今、永田町を飛び交っている。いずれ、それらが一斉に火を噴くはず。知人の週刊誌記者によれば「あと3名の閣僚の疑惑を追いかけている。そのうちの一人は、確実に進退問題に発展するネタだ」とのこと。多分、2〜3週間のうちに、ある週刊誌から発火するだろう。けっこうヘビーなネタらしい。
 ともあれ、ほとんど政権末期の様相だ。

 こうなればタガが外れちまった古い風呂桶みたいなもの。ジャブジャブお湯が零れるように、閣僚や要人たちから妙な「不規則発言」が飛び出す。これも、政権末期によくある現象だ。


 まず、柳沢伯夫厚生労働相が「女性は産む機械」発言。これにはさすがに与党の強面の面々もびっくり仰天。
 あの沖縄普天間米軍基地問題で地元の心情を逆なでするような発言で物議をかもした高市早苗沖縄北方担当相でさえ「子どもを生みづらい体を持った私は、機械で言えば不良品なのか」と不快感を表した。
 各野党の女性議員たちも合同で、柳沢大臣の辞任を求めている。当然の成り行きだろう。
 いやあ、少子化対策に取り組むべき厚生労働省のお大臣がこれだもの。ひどすぎる、と言うだけでは言葉が足りない。やはり即刻退陣すべきである。

 しかし、ここで佐田大臣に次いで柳沢大臣も辞任ということになれば、安倍内閣そのものの存立にも黄信号が灯る。安倍首相、それだけはなんとしてでも避けたいところだが、世の中の半分である女性を敵に回してしまったこの発言、ちょっとやそっとでは収まりそうもない。さて安倍首相、どうやって始末をつけるおつもりか。


 久間章生防衛相(おお、いつの間にか長官から大臣に格上げになってたんだ)は、しきりと「ブッシュ大統領のイラク政策は間違っていた」「アメリカはあんまり偉そうに言ってくれるな」とアメリカ批判を繰り返し、さらには普天間基地移転問題でも、アメリカの言い分に異を唱える。
 安倍首相との意見の違いを隠そうともしないのだ。これは「閣内不一致」の典型例であり、普通ならば首相が久間大臣をきつくたしなめ、それでも意見を改めないならば罷免しなければならない状況だ。
 ところが、アメリカ共和党でさえブッシュ批判に傾きつつあるというのに、いまだにブッシュ大統領に擦り寄る姿勢をとり続ける安倍首相は、久間大臣を強く叱ることもできない。
 なぜか? 久間大臣の言い分のほうが国民には受けがいいからだ。
 ブッシュのイラク政策が誤っていたことは、さすがに日本国民の間でも常識となっている。だから、久間氏を罷免したりすれば逆に「いまだにブッシュ追随なのか」と、安倍首相自身が国民の批判を浴びかねない。ただでさえ支持率ジリ貧に苦しむ安倍首相にとって、そんなことはできないのだ。


 安倍首相自身も、あのゾンビ法案「共謀罪」の「再チャレンジ」(ですか?)を言い出したが、あまりの拒否反応に、すぐにトーンダウン。結局、長勢甚遠法相が安倍首相の指示を良く考えもせずに発表してしまった勇み足、という格好で、うやむやにしてしまった。
 「撤回首相」(当コラム命名)の面目躍如。

 首相が首相なら大臣も大臣。
 この長勢法相とはどんな人物か。
 日本で長く暮らし、日本に生活基盤を築き、税金もきちんと納めて静かに暮らしていたイラン人親子の日本在住申請に対し、まるで鼻でせせら笑うように「お国へお帰んなさいということです」と言い放った冷血発言で有名になったお方だ。 

 内閣の要、番頭役であるべき塩崎恭久官房長官も人の尻拭いどころの話じゃない。自身の尻にも火がついた。
 「格差などではなく、新しい貧困ととらえたい」などと発言して、「争点隠し」「事態が分かっていない」と与党内部からさえ批判を浴びてオロオロ。首相を支えるどころか、その足を引っ張る始末。

 自民党総裁選挙で自分に味方してくれたお友達を、その資質とは関係なく論功行賞の大盤振る舞い、閣僚に登用したばかりにこの有様。
 本当に、政権末期の臭いがする。


 もっとも、攻める民主党にも角田義一参院副議長松本剛明政調会長、それ
 に御大・小沢一郎代表にも事務所経費に絡み、なんだかややこしい疑惑が発覚。政治資金の問題で、角田氏はしがみついていた副議長の椅子から引きずりおろされた格好。その有様たるや、みっともないの一言に尽きる。ああ-----。
 だから自民党の疑惑追及に、民主党もまるで迫力が出ない。絶好のチャンスを手に入れながら腰砕けになるのは、もう民主党の「芸風」になってしまったような気さえする。

 与党も野党も、「えーいっ! もう、みんなまとめて辞めちまえーっ!」 
 と叫びだしたくなるような惨状だ。
 そんな気配は、もう国中に蔓延しているようだ。

 産経新聞も、「安倍内閣の支持率が、ついに不支持率を下回った」と報じている。その記事の要約は以下の通り。
 「フジテレビ『報道2001』が1月21日に発表した世論調査結果では、安倍内閣の支持率は41.2%、不支持率は48.0%で、安倍内閣発足以来、初めて不支持率が支持率を上回った

 朝日新聞、毎日新聞の調査結果も、かろうじて支持率が不支持率を上回っているものの、ほとんど拮抗している。
 支持率が30%台にまで落ちれば危険水域といわれているのだから、安倍内閣はほぼ危険水域に近づきつつあるといえる。

 こんなときこそ、破れかぶれの一点突破、憲法改定に突っ走るかもしれない安倍晋三首相。私たちも警戒を弱めてはいけない。

NHKと政治家

 NHKの番組改変問題で、東京高裁は「NHKに賠償命令」を下した。

 これは、「戦時下の性暴力」を扱ったNHKの番組を巡り、その取材に協力した市民団体が「政治家たちの圧力によって、自分たちが受けた説明とは違った番組が作られ、異なる内容で放送されたことに対して賠償を求める」として裁判に訴えたもの。
 この裁判で、東京高裁は「NHK幹部たちが放送前に安倍晋三官房長官(当時)らに面談し、その際の安倍氏らの発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度(そんたく)して、番組内容を改編して放送した」と認定、NHKや番組制作に関わった二社に対し、計200万円を市民団体に支払うよう命じた。


 この件では、安倍晋三氏と中川昭一氏がNHKに対し、番組の内容に偏向があるとして、その内容を改変するように圧力をかけた、と朝日新聞が報じたことから事件が発覚。番組制作プロデューサーも「政治家の圧力があった」と涙の内部告発を行った。
 それに対し、安倍氏も中川氏も「そんな事実はない」として朝日新聞を非難、さらにNHKも「改編は独自の判断」だったとして、朝日新聞を訴え、泥仕合の様相を呈していたのだ。
 今回の東京高裁の判断では、政治家の圧力を明確には認定していない。しかし、NHK側が「政治家の意図を忖度」、つまり、政治家(安倍氏や中川氏ら)の意見にNHKが左右されたのだということを、はっきりと述べている。限りなく黒に近い灰色、といったところだろう。
< br> 予算を国会で承認してもらわなければならない立場のNHKにとって、政府中枢の政治家たちから強く意見を言われれば、それを圧力と感じても仕方ないことだろう。
 そして、「政治家の圧力があった」と認めてしまえば、その政治家たちの怒りを買うことになるから「圧力はなかった」と言い続けるしかない。安倍氏も中川氏も、NHKが口が裂けても「圧力があった」とは言えないことを見越した上で、「私は圧力などかけていない」と嘯くのである。
 まことに汚いやり口である。


 安倍首相は、この判決の感想を聞かれ、「これで政治家が番組改編に介入していない、ということが明確になったわけだ」と発言。さらには「NHKが会いに来たが、私はこの番組がいつ放送されるかも知らなかった」とまで語った。
 アッパレというしかない。
 会って話したことは認めているのである。そこで「意見」を述べただけだと言う。会って番組について話しながら、その放送日を知らなかったとは、いくらなんでも普通では通用しない理屈である。
一般には通らない理屈を平然と述べられることが、政治家の資質である、とでも勘違いしているのだろうか。
 意見を言うことが即ち圧力となりうる、ということを認識していない政治家。それが本当であるとするならば、それだけで政治家失格である。

 このような人が、いまや私たちの国の総理大臣なのである。
 この人に、このまま国を任せておいていいのだろうか。

 世論調査が示しているように、この人には早々にお引取り願いたいのだが、さて、ではその後を誰に託せばいいのか。
 考えれば頭が痛くなる。そして、悲しくなるのである。

(今週のキイ選定委員会)
 
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