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森永卓郎の戦争と平和講座
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2006年の回顧に続き、2007年展望についてのコラムです。
支持率低下の安倍内閣ですが、
選挙の年である今年は、どうなるのでしょうか?

第18回“2007年の展望
 郵政造反組の復党、本間正明政府税調会長の公務員宿舎不正使用、佐田玄一郎行政改革担当相の政治資金収支報告書不実記載など、安倍内閣に続出するスキャンダルで、内閣支持率が急降下を続けている。このまま行けば、夏の参議院選挙で、安倍総裁率いる自民党は惨敗し、安倍総理の退陣が避けられなくなる。世間ではそうした見通しが有力になっている。
 しかし、本当にそうだろうか。私は、安倍内閣は長期政権になるのではないかと考えている。理由は3つだ。
 第1の理由は、安倍総理のほかに、自民党総裁になれる人がいないということだ。かつて自民党は、組織型の選挙を行っていた。支持団体が票をとりまとめ、自民党の候補者を安定的に支えた。ところが、小泉構造改革は、特定郵便局長会に代表される、そうした支持構造を破壊してしまった。もはや自民党の選挙基盤は、組織ではなく、浮動層になっている。浮動層は、ビジュアル重視だ。自民党の総裁候補者のなかで、安倍総理ほど背が高くて、イケメンの政治家はいない。支持率が下がったからといって、他の政治家に総裁を差し替えたら、さらに支持率が下がってしまうのだ。

 第2の理由は、安倍総理の「実行力」だ。小泉前総理との比較で、さも実行力がないようにも言われるが、現実はそうではない。3ヶ月足らずの臨時国会で、教育基本法と防衛庁の防衛省への昇格法案を成立させてしまっただけではなく、政府が提出した14本の法案・条約をすべて成立・承認させてしまったのだ。

 第3の理由は、参議院選挙で敗北しても、安倍内閣の政権運営に支障はないということだ。造反組の復党で、衆議院では480議席のうち与党が336議席と、3分の2を大きく上回る議席を確保した。仮に与党が選挙で惨敗して、参議院が過半数割れになったとしても、参議院で否決された法案は、衆議院に戻して3分の2以上で再可決すればよいのだ。
 安倍内閣が長期政権になるということは、それだけ平和憲法が危機にさらされるということだ。安倍総理は、通常国会で憲法改定のための国民投票法案を成立させると明言している。すでに、投票資格を18歳以上に与えるべきだとする民主党の意見に歩みよることで、法案の成立は、ほぼ確実な情勢になっている。
 もちろん、最終的に憲法改定を発議するためには、民主党の協力が不可欠だが、安倍政権が続く限り、民主党の協力を獲得すべく全力疾走をするだろう。2007年は、憲法改定に向けて具体的な手段が決まる重要な第一歩を記す年であり、同時に平和憲法を守るための正念場の一年になるだろう。

安倍首相の年頭の挨拶でも
「改憲」と「国民投票法案成立」をはっきりと口にしました。
しかし、憲法をどうするのかを決めるのは、私たち主権者である国民です。
「国が決めるのなら仕方ない」ではなく、一人ひとりが、責任と覚悟をもって、
この問題を考えていく年にしたいと思います。
森永さん、ありがとうございました!
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