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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 72年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.011

16年ぶりに与野党逆転となった沖縄県議会

 当欄でも二回ほど触れてきた沖縄県会議員選挙投票が行われた。即日開票の結果、総議席48のうち、自民・公明の与党が22、野党・中立系が26で与野党逆転となった。沖縄県議会で、県政与党が過半数を割り込んだのは92年以来、16年ぶりなのだという。選挙前から、仲井真県知事は<今回の選挙は私の一年半の知事としての成果が問われるもので、与党が過半数を取れなければ県政の運営に大きな支障をきたす>と公言してきたが、県民は冷静に「NO!」を突きつけた結果となった。選挙前から危機感を持った自民党は、ハマコーこと浜田幸一元衆議院議員を沖縄限定のテレビCMに起用して、逆風となっていた後期高齢者医療制度を<自民党は見直すから安心しろ>という形のキャンペーンをはったものの、その効果は発揮できないままに自民党は大きく議席数を減らす結果となった。世界一の広告会社・電通の力を持ってしても、自民党の相次ぐ失政に対する沖縄県民の怒りをかわすことはできなかったのである。これで、山口二区の補選に次いで、福田政権は連敗である。霞ヶ関官僚と一体になって国民を舐めきってきた自民党政権に対する当然のシッペ返しの結果といえる。

 今回の県議会選挙には、民主党の菅直人、鳩山由紀夫、社民党の福島瑞穂、共産党の志位和夫らの党幹部が沖縄入りしたが、自民党は二階総務会長くらいしか見かけなかった。民主党が1議席から4議席に増加し、全員がトップ当選だった。共産党も3議席から5議席に増加。中央本部の力の入れ具合が今回の選挙結果にも出た感じだが、沖縄でもようやく全国的な民主党を中心とした政権交代への流れが出てきたということだろう。自民党にとっては福田内閣の支持率低迷・不人気で、尻に火が着いた状態なので沖縄県議選どころの話ではなかったのかもしれないが、投票率は57・82パーセントと過去最低の数字にも関わらず、ダントツの資金力・組織力を持つ自民党が惨敗したのだからダメージは大きいに違いない。

 ともあれ、県議会の与野党逆転によって、仲井真知事と自民党が牛耳ってきた沖縄県政も、大きく修正を迫られるのは確実だろう。とりわけ普天間基地の移転先として辺野古に新基地をつくろうという計画も、少なくとも与党が過半数割れした以上、今後4年間は日米両政府のやりたい放題で進行することはなくなるはずだ。これまで、県民の意思を無視して札束で頬っぺたを引っぱたく防衛省や外務省の名護市に対するヤリクチも、今回の選挙結果で大きな転換点を迎えるはずである。分かりやすくいえば、参議院が与野党逆転となったことによってもたらされた、あらゆるメリットが沖縄県議会においても実現できる体制が出来上がったことになる。元通産官僚の仲井真知事は中央政府にひたすら媚を売るような交渉しかやってこなかったが、これからは否が応でも県民党的な立場に立たざるを得なくなるだろう。沖縄県民にとっては将来的に見れば実にいいことではないか。

 今秋には自民・公明の推す現職の市長に対して、反自公の候補との一騎打ちが予想される那覇市長選挙もある。民主党などの野党が福田総理の問責決議案を参議院に提出する構えを見せており、一度も国民の信任を得ていない福田政権は衆議院の解散総選挙に踏み切らざるを得なくなる局面が年内には必ず出てくるはずだ。そうなれば、沖縄でも政権交代を賭けた戦いが行われることになる。そうしなければ、民意不在の自民党独裁政治は、国民に確実に見放されて、いよいよジ・エンドである。今回の県議選の結果が、経済界や土建業者に牛耳られてきた自民党県政に代わり、次世代に向けた新しい沖縄の政治潮流が胎動するきっかけになって欲しいものだ。

この結果が、沖縄県政を大きく変えるきっかけとなるのか。
そして那覇市長選挙は、衆院の解散総選挙は…。
引き続き、注目していきたいところです。
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