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2011-07-20up

おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」

第12回

脱メディア、とか言わずに
一人一人がメディアになろうぜ、と言ってみる
~飯舘、福島大学、紛争審査会

 上杉隆さんの「ニュースの深層」に出して頂いたら、あら? なんか風当たりが強くなってきましたよ? あいつ、リスク分散しやがったな!!
 「嫌がらせされたら大声で報じて、脅迫状がきたらすぐに警察に行くといいよ☆」
 そんなアドバイス欲しくないっつの!
 私をハメるときは、ぜひダニートラップでお願いします☆ 声がいい方が好みです☆

 さてさて、先週のけぞった福島県の県民健康調査、7月12日に電話がかかってきました。
 「マコさーん、きたきた!」
 飯舘、川俣、浪江の住民を先行して健康調査するという話、12日に飯舘から600人ピックアップして調査をするということ。
 でも、同意書を書かないと受けられないんですって。同意書? 自分の検査結果を福島県と福島県立医科大に保管することに同意する、ということ。
 ま、それはね、後々の健康調査に必要なことかもしれない。でもね、住民に公表されるのは、核種のベクレル数と預託実効線量のみで、スペクトルピークグラフや生データはもらえないんだよね(ちなみに放医研から手に入れるのも苦労したけど)。
 (ちなみにちなみに生データが飯舘の仲良しに郵送されたのは7月13日。5月30日に検査を受けてから、どれだけ闘って交渉したか!!)
 なぜ、生データやスペクトルピークグラフが欲しいかというと、それがあると、他の専門家や研究者から、いわゆるセカンドオピニオンが取れるのです。そのWBC検査の正確性とか、精度とかも検証してもらえるしね。
 なので、簡単な検査結果しか頂けず、詳細データは県立医科大にいくこと、そして、前回書いたけど、内部被曝はセシウムが大量に検出されたときのみしか過去推定しないこと(つまり現在は過去推定する必要ない、という答えられたこと)、などから、県民健康調査には大変不安を抱いています。
 飯舘の600人もほとんどチビッコでさ! 人数が余ったら、若者なんだってさ。これも私、以前から質問していたのに! 子供のほうが代謝が早いから、放射性物質は早く排出されてしまう、なので、比較的代謝の遅い高齢者も測定するべきではないの? でも、実際にはチビッコばっかり。放射線被害が心配なのはチビッコでしょ? だから検査してあげますよっていう名目なんだけど、だまされてるよう… 放射性物質が早く排出されても、細胞が傷つけられたことには変わりないの。だから、傷ついたまま、因果関係を証明できなくなっただけ。
 なので、過去の被曝を推定する作業が肝心なのです!

 その、福島県立医科大の副学長に7月17日、山下俊一教授が就任しました(山下教授については前回書いたからご覧になって)。
 で、その山下教授関連で、福島大学教員有志から佐藤県知事宛てに要望書が6月6日に提出されました(この有志の中のお一人とも連絡を取り合っています)。
 でね、その回答も無いまま! 福島大学とJAEAが提携するのです。JAEAとは日本原子力研究開発機構。もんじゅくんとかやってらっしゃる原子力推進機関ですよ☆ そして、それは教授会などで審議されることなく、トップダウンで決定されていたとのこと。
 福島大学が除染、モニタリングの拠点としてJAEAと提携することはいいんですが、要望書の回答のないまま、審議の無いまま、原子力推進機関(経営理念として原子力推進は機構の目標と明言してあるのでございますの)は、いったい全体どういうことかしらね? と思いたったら聞いてみるのがわたくし。
 文科省の坪井審議官にお聞きすると、大学の独立性、自治性ということで、福島大学がどこと提携しようが、一切関知しないんですって、ふうん。
 でも、福島大学にメッシュ状のモニタリングをするための機械を買うための予算やら、東京大学の先生が小児甲状腺サーベイの報告もなさっていたので、坪井審議官には原発事故関連の予算が各大学にどのような名目で下りていったか、お調べ頂いてます。これくらいは教えてくださいませね?
 で、福島大学にもお聞きしてみました。一度、お電話して担当の方につながるまでの保留中に切れちゃったのは故意ではないですよね?

——福島大学とJAEAが提携されるということで、少しお聞きしたいのですが?
 「はい、まだですが、どこから聞かれました?」

——ネット上では7月20日調印ということですが、提携は文科省の関知するところではない、と坪井審議官にお聞きしたのですが、そういう認識でよいでしょうか?
 「はい、大学がどこと提携しようと、文科省に報告したり許可を得たりする類のことではありません。大学の自治で行なっています」

——その自治が守られていないのではないか、教授会での審議もなく、トップダウンで降りてきた、と聞いていますが?
 「学内評議会で報告したので、手続き的に問題ないと思っています」

——その学内評議会の報告のお日にちはいつでしょうか?
 「ええと、調べます、6月21日です」

——ではその議案が上がってきたお日にちはそれ以前ということですが、いつでしょうか?
 「そういうことはわかりません」

——6月6日に福島大学の有志の方々から佐藤県知事宛てに要望書が提出されていますが、それ以前ですか? それ以降ですか?
 「おこたえしかねます」

——提携はJAEA側からの要望でしょうか、それとも福島大学側からなのでしょうか?
 「わかりません」

——わかる方はどなたでしょう?
 「上のほうの判断なので」

——具体的にどなたですか? お答え頂ける方を教えて頂けませんか?
 「副学長のワタナベアキラは答えられるかと。でも今は電話に出られません」

——いつでしたらお話できますでしょうか?
 「17時半以降でしたら…」

——ではあらためてお電話差し上げます。

 どこの媒体の記事に載るのか? そしてJAEAは原子力推進機関ではない、と繰り返し繰り返しおっしゃられました。
 「そこのところよろしくお願いいたします」
 お願いされましたので、そのまま書いておきました☆  また、お聞きしてみよっと。

***

 7月15日の福島民報の朝刊に「第10回損害賠償紛争審査会」の合意が記事になっていました。ま、福島民報とってるわけじゃないから、飯舘から電話かかってきたんだけど。
 「なんかさー避難勧奨区域で、自主避難した人は賠償するけど、自主避難しなかった人はまだ検討中なんだってさ、同じ避難勧奨区域なのにね」
 へー、へんなの、賠償されるんだったら避難したいっていう方もいらっしゃるでしょうにねぇ、とか話していたら、同じ日に参議院会館で、紛争審査会と政府間交渉があるよーという情報がきて(どんなネットワークよ!)。んーでも、紛争審査会についてはイマイチ不勉強だから、調べなくちゃね、と思いながら気付いたこと。
 やっぱり、内部被曝の評価をきちんとしないと、自主避難の賠償はされないんじゃないの? その日の交渉は避難区域以外で、自主的に避難した方々もきちんと賠償してほしい、という交渉だったんだけれど、まず、本当に避難の必要性がある、ということを証明するために、内部被曝の評価が大切なのでは…?
 と思いながらボーッとしてたら、19日に第11回損害賠償紛争審査会があって、それに気付いたとき、傍聴の申し込み締め切りの5分前だったので、何も考えず慌てて申し込みました。で、行ってきました。
 損害賠償紛争審査会ってさ、文科省の中にあるんだよね、知らなかった! じゃあ、これから坪井審議官にどんどんお聞きできるわね。
 で、紛争審査会は、初めに延々、資料を読み上げられたあと、議論に入りますが、議論、というより確認ばかり。はっきり「確認ですが」っておっしゃってるし。
 あと、お話しされる方が名乗られないので、どなたが発言されてるかわかりません。なので、座席表を持って、顔の見える位置でずっと立って見ていて、委員の方々の名前と顔を一致させていきました。ほぼ、議論もなく、確認作業がスラスラ~と続くのですが、その中でも、比較的良い方では? という方をピックアップしましたので、また、いろいろお聞きしてみます。
 実際行った収穫はこれくらいかしらね?
 文科省の中で迷って、節電で薄暗くて、冷房ついてなくて蒸し暑かったという印象。なんのこっちゃ。
 今、資料とノートを見返しても、
 「マコちゃん、僕らの列、僕ら以外の記者さんみんな爆睡中だよ!」
 というケンパルの走り書きがある程度です。ま、損害賠償紛争審査会はこれからちょっと要注目ということで。

***

 最近、思うんだけど、私たちって情報に受動的だよね。わかりやすく教えてほしい、とか、そのまま受け取ったりとか。
 情報ってさ、一次情報じゃない限り、絶対どなたかの意図がはいっちゃうじゃない、そもそも、NUKE POWERを中国語みたいに
 「核発電」とせず「原子力発電」と訳す時点である種の洗脳だよね。
 なので、もっと情報に能動的になればいいのさ! 1つ情報があったら、
 「これの裏側はどうなの?」
 「この情報で誰かトクする方いない?」
 「目くらましの可能性はない?」
 「実際、一次情報まで掘り下げるとどうなってるの?」
 などなど、いろいろ疑っちゃえばいい。
 でね、メディアがどうだこうだ言う前に、自分がメディアになればいいよね☆ で、ガッツリ調べて(ネットとか電話とかどこでもできるしね)どんどん報じていこうぜ! ていうかみなさまいろいろ教えて☆
 今まで、シャンソンや刺繍やオシャレやふわふわしたことばかり考えてたけど、そして生きていくために素敵な美しいものは絶対必要だけど、それはご褒美で、癒しであって、そればっかじゃダメだよね。本当に考えないといけないことは面倒だから避けてたみたい。 玄米ゴハンやお味噌を食べずに、ケーキばっかり食べてちゃそりゃ偏るわ。
 自分たちの体を作るのにはケーキばかりではダメなように、自分たちの世界を作るのには、原発や記者クラブや政治や官僚や検察や裁判やいろいろ考えないといけないのでしょう。
 というようなことを、ケンパルのお誕生日会に友人と話し合いました。ケーキ食べながら絞首刑と死刑囚について3時間語り合った件。

***

追伸。
 7月16日のトークイベントにお越しの方々、どうもありがとう存じました☆
 8月7日の大阪でのトークイベント(おしどり&上杉隆)はまさかの会社からのキャンセルで今、会場探し中ですが、ギャフンと言わせたいので、どうぞ、凄まじい数のお客さまをお待ちしています!
 会場が決まり次第お知らせいたしますので、8月7日の午後は空けておいてくださいませね! で、お友達もたくさんお誘い合わせのうえ、いらしてくださいませね!

【今週の針金】
あらら、セシ牛(セ・シ・ボンのように発音のこと)の体の模様をよく見ると。

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おしどりプロフィール

マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。
ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。
マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。

ブログ:
 http://oshidori.laff.jp/
twitter:
 マコ:@makomelo
 ケン:@oshidori_ken
その他、news logでもコラムを連載中。

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