マガジン9
憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。
2011-1-12up
出版記念対談:日本で韓国で「のびのび大作戦」!
│その1│その2│
松本哉さんの人気コラム「のびのび大作戦」が、なんと韓国で本になりました!
題して『貧乏人の騒動ショー』。
その出版を記念して、前作『貧乏人の逆襲』(筑摩書房)から続いて翻訳を担当した、
翻訳家の金京媛さんと松本さんとのスペシャル対談が実現!
松本さんの人気のヒミツ、翻訳にあたって苦労したことなど、
笑いの絶えない対談になりました。
2回連続でお届けします。
金京媛(キム・キョンウォン)さんプロフィール 1964年ソウル生まれ。ソウル大学校人文大学国語国文学科卒。同大学院博士学位取得。専攻は韓国近代文学。北海道大学文学部外国人研究員、仁荷大学校選任研究員、漢陽大学校HK研究教授などを歴任。*著書:『国語の実力が飯の種─単語編』1、2(共著, ユートピア、2006‐2007)*論文および評論:「韓国文学の近代性を問い直す─李人稙の『血の涙』と李光洙の『無情』を中心に」(『日本近代文学』第75集、2006)「21世紀、新しい理論と思想:柄谷行人の批評」(『ネクスト』中央日報社、2005.8)その他、翻訳書多数あり。
「隙間」があると感じた高円寺の街
編集部 今回、キムさんは高円寺に、そして「素人の乱」にも初めて来られたんですよね。
キム そうなんです。それで、高円寺の駅まで松本さんが迎えに来てくれるはずだったのに…
松本 二日酔いで寝てて、電話に気づかなかった(笑)。
編集部 えーーーっ。
キム 事前にもらっていたメールには「仕事中ですが駅まで迎えに行きます」とあって、ああ、ありがたいなと思ってたんですが。
松本 なんとか自力でたどりついてもらって。メールで一応行き方を伝えておいて、よかったです(笑)。
編集部 大変でしたね(笑)。ご自分が訳された本の主な「舞台」を見て、どんな印象を持たれました?
キム 一つ思ったのは、「ここには“隙間”があるなあ」ということでした。韓国の若者には、なんというか「逃げ場」がない、抜け出す隙間がない、という感じを強く受けているので。
編集部 それはどうしてなんでしょう。
キム 経済状況も日本とは違うし、「普通」じゃないとダメという考え方が日本よりも強いということはあるかもしれません。日本はもう、バブル崩壊から20年が経っていて、その中で新しいものの考え方ができてきてるのかなと感じるけれど、韓国はアジア通貨危機を経験したのが1997年。そこから若者を取り巻く状況などが大きく変わってしまったわけで、まだまだ新しい、今までになかった「経験」をしている最中なんだと思います。
編集部 松本さんの本が韓国で受け入れられた背景にも、そうした状況があるんでしょうね。
キム
そうですね。行き詰まってしまっているところに、ちょっとその鬱屈を解消してくれるような感じがあるんだと思います。
それに、韓国社会って、冷戦が終結して社会主義国家が終焉して、マルクス主義などの力がなくなって以降、その「先」が見えなくなったところがあるんですね。松本さんのやっていることは、理念とか主義とかと対照的で、何にも縛られない、「イズム」ではないからこそ受け入れられたのかな、と思います。
「単なるバカ騒ぎ」ではない魅力がある
キム
実は私自身は、1冊目を翻訳していたときは、「ちょっとこれはどうなんだろう、ふざけすぎじゃないか」と思っていたところもあったんですよ。でも、直接松本さんに会ってみたら、ふざけてるだけじゃないんだな、と。ちゃんと自分の考えがしっかりあって、自分でいろんなことを判断して、自立している。ソウルでやった出版記念イベントでも、読者からの質問にとても誠実に答えていたし、それを見て安心したんです(笑)。それで、本の訳者あとがきにはこう書きました。
「私は子どもでも大人でも、ふざけるのは大嫌いである。しかし、この本を通じて、ふざけるのも一つの切実な表現であり、戦略的武器にもなりえることを認めるようになった」。
松本 僕も、バカなこととかくだらないこととかは大好きなんですけど、ただのバカ騒ぎは嫌いなんですよ。まったく意味もなく騒いでるだけで終わっちゃう、みたいな。
でも、「騒いで何かをやること」には、今の世の中すごい意味がある。それが一番言いたいことなので、「バカ騒ぎできればいいんでしょ」みたいに言われると、「違う違う」って思いますね。ただ、やってることはバカ騒ぎにしか見えないし、別にすごい戦略を練ってるわけじゃなくて、思いつきで勝手に騒いでるだけだし…。とは言っても、自分で「ちょっと違うな」と思うことはやらないんですけど、周りにその線引きを説明するのはなかなか難しいんです。
編集部 でも、それはちゃんとキムさんには伝わったってことですよね。
キム
そうですね。そうじゃなければ2冊目の翻訳はやらなかったと思います。
今回の本も、読んでいて本当にいろんなことをやってるなあ、と感心しましたよ。ワールドツアーとか、「なんとかフェス」とか。長野のジローさんにも一度会ってみたいし…お正月の書き初めの「人間筆」にはびっくりしました。
編集部 私たちもびっくりしました(笑)。
キム
友達に「こういうことをやった人がいる」って話したら、息もできないくらい笑ってましたから(笑)。
そういえばこないだ、『貧乏人の逆襲』を知人にあげようと思って、1冊持って出たんですよ。で、電車の中で読むものがなかったのでぱらぱらめくって読んでたら、乗り過ごしました(笑)。
編集部 自分で訳した本なのに!?
キム そう。自分で訳しておいて言うのもなんですが、それだけ面白いんです(笑)。
編集部 じゃあ、今回の本も、きっと。お2人とも、ありがとうございました!

*
私たちとは違う視点からのキムさんの指摘は、
ただ読んでいるときには気付かなかった、
松本さんの文章の新たな魅力に気付かせてくれます。
これを機会に、今後も日本で韓国で、
もっともっと「のびのび」面白いことができれば、と思います。
松本さん、キムさん、ありがとうございました。
マガ9のメルマガ

↑メールアドレスを入力して、ぜひ『メルマガ9』にご登録ください。毎週、更新ニュースを送らせていただきます。/Powered by まぐまぐ
登録解除はこちらから↓
マガ9対談
「マガ9」コンテンツ
- おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」
- 川口創弁護士の「憲法はこう使え!」
- 中島岳志の「希望は商店街!」
- 伊藤真の「けんぽう手習い塾」リターンズ
- B級記者、どん・わんたろう
- 伊勢崎賢治の平和構築ゼミ
- 雨宮処凛がゆく!
- 松本哉の「のびのび大作戦」
- 鈴木邦男の「愛国問答」
- 柴田鉄治のメディア時評
- 岡留安則の『癒しの島・沖縄の深層』
- 畠山理仁の「永田町記者会見日記」
- 時々お散歩日記
- キム・ソンハの「パンにハムをはさむニダ」
- kanataの「コスタリカ通信」
- 森永卓郎の戦争と平和講座
- 40歳からの機動戦士ガンダム
- 「沖縄」に訊く
- この人に聞きたい
- ぼくらのリアル★ピース
- マガ9対談
- 世界から見たニッポン
- マガ9スポーツコラム
- マガ9レビュー
- みんなのレポート
- みんなのこえ
- マガ9アーカイブス


雨宮処凛さん×
中島岳志さん×
伊藤真さん×
鈴木邦男さん×
蓮池透さん×
堤未果さん×
伊勢崎賢治さん×
雨宮処凜さん×