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その20
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●毎日新聞朝刊・国際面 2005年7月19日から
テロ背景にイラク参戦
英王立研究所が報告書

[ロンドン 山科武司]
 世界有数のシンクタンク英王立国際問題研究所は18日、英国の治安に関する報告書を発表し、「アフガニスタンやイラク戦争に参戦したことが、英国をテロの危険に陥れた」と結論付けた。その上で、ロンドン同時爆破テロについて「懸念が現実となった」と述べ、イラク戦争が背景にあるとの見方を示した。
 報告書は、ロンドンが中東や他の地域での資金集めや計画立案の舞台となったことに、警察や情報機関は「90年代後半に気付いたが、英国の脅威とはみなされなかった」と指摘。
 しかし、イラク戦争が国際テロ組織アルカイダによる宣伝、人員拡充の活動に拍車をかけた一方で、英国が米国の対テロ戦に相乗りし、英国でのテロ攻撃の危険が高まっていたにもかかわらず、有効な対策を取れなかったと批判した。
 報告書について、ストロー英外相は「米国と手を切れと言うのか。今やテロは世界中にまん延している。テロの言い訳を聞く時期は過ぎた」と強く反発。リード国防相も「受け入れられない」と語り、ブレア政権に波紋を広げている。

 「王立研究所」といえば、その名称からもお分かりのように、ほとんど国立に近いようなシンクタンク。しかも、国際情勢の分析では世界でもトップクラスの権威を誇る研究機関なのです。
 その「権威」が、「イラク参戦が、自国にテロの危険を招いたのだ」と断定したのです。これが英国民や英政府に大きな衝撃を与えたことは、容易に想像できるでしょう。早速、政府は反論を試みているようですが、どう考えても王立研究所の指摘に分があるように思えます。

 
昨年のスペインの「列車爆破テロ」の際はどうだったでしょう。このときにスペイン国民は、「テロの原因がアメリカに同調してのイラク派兵にあったのではないか」という判断をし、直後の総選挙で「派兵反対、即時撤兵」を掲げる野党に勝利させたのです。  

 さて、わが日本国の場合はいかがでしょうか。
 「自衛隊の派遣される場所が、非戦闘地域」という、あの小泉首相のスバラシイ答弁を、私たちはまだ忘れてはおりません。その「非戦闘地域」に、迫撃砲やロケット弾は撃ち込まれ、自衛隊の移動車列を狙った爆弾攻撃までが発生しています。なんとも騒がしい「非戦闘地域」なのです。
 どう考えても憲法上疑義がある「派兵」だったことは、先週の『マガジン9条』の「この人に聞きたい」の中で、あの姜尚中さんもおっしゃっていたではありませんか。

 
「次に狙われるのは、イタリアか日本である」というのは、すでに多方面から指摘されているとおりです。実際、イタリアは凄まじいほどの警戒態勢を敷き、そして近い時期の「イラク撤兵」を真剣に考え始めています。

 それなのに、私たちの国ときたら…。
 「まあ、なんということでしょう」(『大改造!!劇的ビフォーアフター』風に、なんてふざけている場合ではありません)。いったいいつまで、アメリカの言いなりになって「自衛隊イラク派兵」を続けるつもりなのでしょうか。

 国民が切実な関心など持っていない「郵政改革」とやらにウツツを抜かし、この暑さにもかかわらず「参院で自民18人が反対に回れば、小泉は衆院を解散する!」などという、
国民不在の政争ゴッコに大はしゃぎ。
 どう考えても「憲法違反」であった「自衛隊海外派兵」についての真剣な議論も反省もない。自衛隊員に死者が出たらどうするのだろう。小泉さんの大好きな「靖国にお祀り」すればそれで済むとでも言うのでしょうか。そんな危険な事態が、もうすぐそこまで迫って来ているのは、最近の自衛隊に対する攻撃を見れば明らかなはずです。
 さらに、もし、日本国内があのイギリスのようなテロ攻撃にさらされたとき、いったい誰がその責任を取ってくれるというのですかっ!
 
責任者、出て来―いっ! なんて叫んでもムナシイ、のですが……。

 それにしても、まだイギリスは「王立国際問題研究所」を持っている分、うらやましい。私たちの国に、そんな指摘をきっちりしてくれるシンクタンクは見当たらない。

 テロは、どんなに警戒したところで防げるものではない、ということが何度も何度も繰り返し実証されています。そのテロの根っこを断つしか、方法はないとまで言われています。しかし、私たちの国はその根っこを断つような外交努力をほとんどしていないとしか思えません。
 
まずアメリカ追従をやめ、イラクから撤兵するのが、とりあえずの「日本に対するテロの根断ち」ではありませんか。
 それをしないということは、つまり、私たち日本国民に、ただ黙ってテロ攻撃の日を待て、ということなのでしょうか。

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