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その32
今週のネタ↓
2005年10月 21日の毎日新聞より
民主憲法調査会
武力行使を限定容認
安全保障の素案大筋了承

民主党の憲法調査会(枝野幸男会長)は20日開いた総会で、改憲論議に向け同党がまとめる「憲法提言」のうち9条の安全保障に関する素案を提示、大筋で了承された。自衛権行使や国連の集団安全保障に参加した場合の武力行使を限定的に容認するなど「4原則・2条件」の理念を示したのが特徴。一部修正したうえで、月内にも表現を確定する方針。

素案では(1)平和主義に徹する(2)「制約された自衛権」を明記する(3)国連の安全保障活動への参加を明記する(4)民主的統制(シビリアンコントロール)の明確化を図る――の4原則を提示。国連の下での集団安全保障への積極協力と、集団的自衛権行使の限定容認を示した。その上で【1】武力行使は最大限抑制的である【2】憲法の付属法として「安全保障基本法」を定める――の「2条件」を示し、限定的ながら海外での武力行使を容認した。自衛権の行使については「国連の集団安全保障活動が作動するまでの間の緊急避難的な活動」に限定した。

ついに出てきた。
何が?
海と溶け合う太陽が----。

などと気取っている場合じゃありません。
出てきたのは太陽ではなく「民主党改憲お化け」だったのです。
改憲派の右代表である前原氏が党首になったのだから、民主党からこのような案が出てくるのは時間の問題と思っていたのですが、「やっぱりなあ---」であります。
まあ、昨年6月に出された中間報告の表現とほぼ同じですから、内実は何も変わっていないのですが、これが堂々と「素案」という形で姿を現し、民主党の「改憲政党」としての立ち位置がはっきりしたわけです。
この記事のすぐ後に、「解説」がありました。見出しは「合意優先で党内対立再燃は確実」です。(しかし、この見出しはヘンですよね。合意優先で、なんで党内対立再燃確実、なのでしょう?)
まあ、疑問はさておき、その解説文には、

<----素案は、「自衛権」「集団安全保障」に立脚しつつ自衛隊の武力行使を容認することで自民党と共通の土俵に立ちながら、より限定的な面を強調することで一線を引こうとしたのがポイントだ。ただ、武力行使の歯止めのかけ方があいまいなうえ、改憲自体への反対論も根強い中、合意優先で肉付けを先送りした印象は否めない。---->

と書かれています。
つまり、自民党と民主党はすでに「共通の土俵」に立っている、と毎日新聞は認識している、ということです。
前原氏が民主党の代表選挙で勝ったとき、『マガジン9条』のトップページは次のように書きました。

<「総理、あなたは、憲法九条二項を改正して、自衛軍の保持と集団的自衛権の正当性を明記するというお考えはありませんか?」「私は以前からそう申し上げ、そう主張しておる。お互いに協力して、旧くなった日本国憲法を改正しようじゃありませんか」「総理、意見が一致しましたね」
こんな「党首討論」が実現しそうな気がします> まさに、その悪夢が現実になりそうな気配ではありませんか。

また、この「ツッコミ」コラムでも、 <かくして、旧い(?)民主党は消滅します。多分、消滅の前に大分裂が起きるでしょう。まったく、小泉総統の思うがまま。かつての社会党が辿った運命を、今度は民主党が、もっと右側で演じて見せようというわけです>

と指摘しました。
上の記事にある(2)や(3)などは、自民党の新憲法案とほとんど区別がつきません。なんだかんだと理屈はつけても、結局のところ、「自衛軍」と、国連を隠れ蓑にした「集団的自衛権」を憲法に明記することを目指しているのです。
このように国の根幹に関わる「憲法問題」でここまで近い考え方に立つのなら、別々の政党でいる必要もないでしょう。大連立です。

大分裂で、護憲派・リベラル勢力を党内から駆逐してしまえば、あとは何の遠慮もいりませぬ。晴れて「結納の儀」から「ご成婚」へと進む段取りでしょう。こうして、全体主義的巨大政党の出現と、反論を許さぬ小泉的強権政治が大手を振ってのし歩く、切なく、厭な時代の到来です。

素案では、武力行使の「限定的な面を強調する」のですが、こんなもの、一度武力行使に踏み込んでしまえば、あとはなし崩し、どんどんエスカレートすることは、少しでも歴史を知っている方なら、誰にでも分かりますよね。
そして、上記の「解説」でも、「歯止めのかけ方があいまい」と書かれています。ほんとうに、普通に考える人ならば、普通に出てくるはずの結論=これはかなり危ない、ということがどうして国会議員のみなさまにはお分かりいただけないのでしょうか。
悲しくなります。

「党内対立再燃は確実」なのだそうですから、こうなりゃいっそのこと、大分裂をこちらから提案したいものです。
憲法問題を軸にして、特に9条を護り育てていくべきだと考える勢力と、改憲して強い国家の再構築を夢見る側とに、ここら辺できっちりと分かれるべきではないでしょうか。
民主党から追い出される前に、乾坤一擲!編集部注:(けんこんいってき)運命をかけて大勝負すること。リベラル派が自ら民主党を飛び出し、社民党や共産党にも声をかけて大同団結を目指さなければ、とんでもないことになりかねません。もう、つまらぬ仲間割れには終止符を打ってくださいよぉ。

特に共産党は、そろそろ党名を変えるべきではないでしょうか。その党名に固執するから、なかなか共同戦線を組めないのです。ある種の「共産党アレルギー」は、国民の中に確かに存在するのです。いくら否定しようが、存在するものは存在する。アレルギー対策を本気で考えなければ、ジリ貧病は重症化しますよ。 自分たちだけが正しい、分かってくれないのは分からないお前が悪いのだ的態度はもう捨てましょうよ。連帯、歩み寄る時期が来ているのですから。

そうして一つの勢力にまとまってくれなければ、例えば選挙のとき、私たちには、ほとんど「選択の自由」がなくなってしまいます、まさに現在がそうであるように。

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