雨宮処凛がゆく!

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 二週間も日本にいないと、いろいろとその後が大変だ。〆切はもちろん、仕事がたまりにたまっていてとても追いつけない。休むために仕事し、休んだらそのツケを払うようにまた仕事に追われる。なんかやっぱり、こういうのって絶対変だ。みんなもそうでしょ?

 さて、インディーズ系(独立系)メーデー全国キャラバン、ゴールデンメーデーウィークが近づいている中、4月17日に阿佐ヶ谷ロフトで各地の主催者が集合し、「前夜祭」が開催された。出演してくれたのは、松本「立ち上がれない者たちのメーデー2008〜来年こそ立ち上がるために!」の八木さん、フリーター労組仙台準備会の「仙台メーデー 生きる、働く、オルタナティブな生き方の可能性」の清水さん、そして京都のユニオンぼちぼち、「恩恵としての祝日よりも、権利としての有給を!」の橋口さん。そして東京の「自由と生存のメーデー」からは私、QTさん、そしてガソリンスタンドユニオンの翔さんが登場。仙台の清水さんの言葉が印象的だった。現在フリーターの彼女は、パート先では同僚のオバサンから「いつまでもこんなことしてたらダメよ」と言われ、親戚などからは「結婚しろ」とか「ちゃんと就職して、ちゃんと生きろ」と言われるという。「ちゃんと生きろ」って、すごい言葉だ。全然ちゃんと生きてるのに、「非正規」というだけでいわれなきバッシングに晒される日々。じゃあお前はどれほど「ちゃんと」生きてるのか? と問いたい。というか、そもそも「ちゃんと」生きるってどういうことだ?

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 この日のイベントには、「みんながやってるからやりたくなった」という理由で高円寺でメーデーをすることになった「素人の乱」の松本さんも飛び入り参加してくれた。余談だが、松本さん、デモ申請の時にメーデーを開催する理由を問われ、「みんなやってるから」と答えたら警察に相当怒られたようだ・・・。

 さて、そんなふうにメーデーで盛り上がる中、私がメーデーの会議をサボってまで行ったところがある。ピースボート乗船直前、〆切の山を放り出してまで駆けつけたのは、X JAPANの東京ドーム、その名も「破壊の夜」だ。・・・って、今、クスッと笑った奴、前に出ろ! お前だって、お前だって中学生の時はYOSHIKIファンだっただろ? 

 思わず感情的になってしまったが、とにかく、行ったのだ、東京ドームに。そこには、あまりにも懐かしい光景が広がっていた。初期YOSHIKIや初期TOSHIコスプレの人々。HIDEコスプレは時代を感じさせないところがすごい。97年解散から11年。集まった人々の多くは私と同じく30代に達しており、中には特攻服に「YOSHIKI狂乱ママ軍団」とかいう素敵な腕章をした子連れの人もいて、時代の流れをつくづく感じたのであった。

 そうしてもうひとつ懐かしかったのは、バンギャという人々の素晴らしき「自治」っぽい感覚だ。小説「バンギャル ア ゴーゴー」に、コスプレ姿でごみ拾いをするバンギャたちの話を書いたが、やはり、いた。コスプレで大きなごみ袋を持ち、「ごみ拾いやってまーす」とよびかける人々。そうしてすでに「少女」ではなくなったコスプレの女性が、「紅用のポンポン」を五万人に配っている。コンサートで「紅」の時にみんなで振るもので、それを五万個も作るってすごいことだと思うのだが、バンギャたちは手分けしてそんなすごいことを当たり前にやっている。しかも、彼女たちはコンサートのたびにやってきたのだ。ずっと。

 10代後半のバンギャ時代、私もそんなバンギャ世界にいて、それは異様に楽しかった。なんかそういうのって、今やってるプレカリアート運動にも近い気がするのだ。詳しくは内緒だが、私たちは独自の通信手段を持ち、いろいろなものを物々交換し、独自の情報ネットワークを駆使し、自分たちの決まりの中で生きていた。それは、相当自由だった。

 そんな空間が出現した東京ドームで、10年ぶりに復活したX JAPANを見た。良かったとか悪かったとかじゃなくて、「Xが復活する」、そのこと自体が「祭」だ。今回の復活にあわせて別冊宝島から「X JAPANの全軌跡」という本も出版され、なんと私も「元バンギャ」としてインタビューされているのだが、この本に書かれている「X観」にえらく共感したので引用させてもらおう。

 「Xだけは、ベタを恐れず、とことんまで本気でベタを追求していったことで、まったくベタを超えた領域まで行ってしまったのだ。/そして、ただひたすら過剰に、ただひたすら限界まで一一。そこには『なんのために』という目的はない。ただ、限界を突破しようとする過剰さがあるだけだ。つまり、Xは『無意味』を追求したのである。(中略)この結果、Xは音楽やバンドという意識下の産物の枠を超え、無意識のエネルギーの運動体のようなものになっていく。いわばXは、だんじり祭りのような祝祭空間となって、日本中を熱狂の渦に巻き込んでいったのだ」(「意味を背負ったブルハ、無意味を追求したX」 奈落一騎)

 そんな祝祭空間が復活するのだから、万難を排して駆け付けなければならない。よくXはバンドではなく宗教と言われるが、私は喜んで肯定したい。いや、もう「祭」と言ってしまってもいいかもしれない。コンサートは2時間遅れで始まり(早めに行った私は5時間待たされた)、YOSHIKIが倒れて終了した。その「儀式」に立ち会えただけで意味がある。

 と、X復活で、改めて自分の「祭り好き」を確認する結果となったのだが、なぜ私は常にこんなにも「祭り」を必要としているのだろう、という素朴な疑問も募る。これはのちのち考えていこう。つか、意外と大きなテーマだ。脳の汁の関係とかもあるんだろう。

 そんなわけで、X復活の次はメーデーという祭りが待っている。

 以下、私の全国ツアー日程一覧である。これ以外にもたくさんインディーズ系メーデーはあるのでここの「全国メーデー」でチェックしてほしい。

 じゃ、メーデーで会おう。

「旅団ひとり 雨宮処凛の勝手にインディーズ系(独立系)メーデー全国ツアー」

★4月29日 札幌 自由と生存の連帯メーデー

 時刻  4月29日 10:00-16:00

 場所 大通公園6丁目(14:00デモstart、18:00より別会場にてアフターパーティー予定)

★5月1日 福岡 フリーター/貧民メーデー 五月病祭り2008 —危うい鼓動—

 ☆不安定貧民雑音旅団/FREETER NOISE BRIGADE

 ☆グローバル資本企業ドラム攻撃ツアー(雑音デモ行進!)

 時刻:5月1日(木) 17:00〜

 場所:警固公園出発(福岡市中央区天神2-2)

★5月3日 東京 自由と生存のメーデー2008 プレカリアートは増殖/連結する

  1. 宣言集会 16:00-17:30○大久保地域センター

  2. デモ   18:00-20:00○大久保→新宿

  3. パーティ 21:00-29:00○CLUB ACID

(同日午前中、岐阜でも何かやらかす予定)

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フリーターユニオン福岡の小野さん(右)と、フリーターズ
フリーの大澤さん(真ん中)と。反貧困フェスタで。

 

  

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雨宮処凛

あまみや・かりん: 1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。オフィシャルブログ「雨宮日記」

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