松崎菊也の笑うニュース・クイズ：２
070425up
松岡農水大臣は語るよ
まつざき・きくや 戯作者 1953年、大分県別府市生まれ。劇団民芸の演出家を経て、88年、社会風刺コントグループ「ザ・ニュースペーパー」に参加。99年独立。現在、風刺コントの台本を書きつつ政治風刺ライブを展開中。ＴＢＳラジオ荒川強啓デイキャッチ・毎週月曜日の名物コーナー「あの人の独り言」で、権力者になりすます爆笑一人芝居を生放送中。『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでコラムを執筆。著書に『一瞬の沈黙』『巷は勘違いに満ちている』『男が捨てられた夜』（いずれも三五館）、『コメディアン』（実業之日本社）、『松崎菊也のひとり天誅！』（毎日新聞社）など。
のっけから漢字だらけの事件で読みづらいことはなはだしいが「緑資源機構の林道整備測量談合事件」が摘発されて、管轄責任者の農水大臣はメガネの奥の細い目をいっそう細くしてこう答えた。
「まことに遺憾なことであり、どういう事態であったのか、関係当局の捜査を見守りたい。今後、二度とこのようなことの起きないようにしたい」
ふん、人の起こした事件には優等生の発言だな。自分のことは棚に上げてよくもまあいけしゃあしゃあと……。
しかしまあ、この期に及んでまさか緑資源機構から献金なんぞ受けておるまい。キナ臭い噂が立つところにはすべて松岡あり、じゃ、いくらなんでもあんまりだ。だって、だって、総理大臣の任命した現役の大臣だぞ。
まさか……その、まさかだったのだ。こやつ、しっかりここからもカネを受け取っていたことが明らかになったのだ。
−質問−
「捜査が入った緑資源機構から大臣もかつて献金を受けていたが？」
と記者団に聞かれた松岡農水大臣が答えたことは、
次のうちのどれ？
- 1.健全な農林行政のために、さまざまな浄財をお納めいただいておったのは確かでございますが、私の方でもそれは（今は）いただいておりません。そういった談合が行われているのは残念だし、遺憾なことであります。
- 2.今から６、７年前にそういうところから（献金が）あったということはありますが、その時点で、私の方でもそれは（今は）もういただいておりませんので、そういった事も含めて残念だし、遺憾な事であります。
- 3.健全な農水行政のためにお使いをいただきたい、という献金があったわけで、わたくしは健全に使わせていただいた。私の方には、今となってはもういただいておりません。いずれにせよ強制捜査が入ったのは残念だし、遺憾なことであります。
正解は２（ TBSほか４月１９日夕方のニュースより）
「そういったことも含めて」とはなんだ？ 今はもういただいておりません、ということも含めて残念だし、遺憾なことである……。つまり、談合で強制捜査をされた団体からでも、くまなくいただく物はいただくべきであり、今はもういただいていないのが残念で遺憾なことである。
そう受け取れる発言ではないか。
松岡の言語感覚の正体見たり。言葉をもてあそぶのもたいがいにしてもらいたい。悪辣な談合を繰り返していた法人から受け取った汚れたゼニでさえ、もらい続けておくべきだった、ちくしょう、もったいなか！ と（地元の阿蘇弁で）言っちまうような男である。
こんなやつが、現行法に則って適切に報告している。事務所経費としてどう使おうが知ったことじゃない。と思っているほうのゼニは、汚れていない議員歳費という国民の血税なのである。清濁の区別もつかんやつが巨大省庁のトップで居続けられる。こんな政府が「美しい国づくり」だの「戦後レジームからの脱却」だのとほざいている。アホらしいこと。
