今週の「マガジン9」

 週末にはときどき料理をします。といってもバリエーションは限られており、家族にとってはマンネリメニューなのですが、定期的に複数のスーパーマーケットに通っていると、食料品の物価はたいてい頭に入ってきます。最近、卵の値段が高いのは、鶏の餌になる飼料の輸入価格が上がっているからだとか、コーヒーの値上がりも原料の輸入価格の上昇だから仕方がないが、食肉は輸入品より国内産の方が高いのはなんだかなあなどと考え、財布と相談しながら、カートを押しているのですが、先ごろ、カレーチェーンの「CoCo壱番屋」が廃棄食品として出した冷凍カツが、産廃業者の手で再び市場に出されたというニュースを聞いたとき、私は店内に陳列されるお弁当の値段の安さについて考えました。

 自分が学生だった30年以上前には300円のお弁当など売っていませんでした。ひとり暮らしの学生が出費を抑えてお腹一杯食べるには、自炊するしかありません。下手な手つきで鍋やフライパンを握り、大味なチャーハンなどをつくっていました。ところがいまは材料を買う方が高くつく。

 町を歩いていれば、牛丼やラーメン、最近はステーキでさえ、手ごろな値段で食べることができます。そうでないと売れないからでしょう。

 アベノミクスはデフレ脱却を掲げていますが、デフレがいまも続いているから、冷凍カツが横流しされる隙は生まれる。

 ちなみに市場での競争と技術の向上により、安くて質の高い衣料も買えるようになっているように、消費者の「衣食」に対する満足度は高いと思うのですが、生活の3大要素のもうひとつ「住」、さらに「教育」に目を転じると、首をかしげざるをえません。

 マンションの購入や大学の入学金・授業料に、どうして私たちは大枚をはたいているのか。前者は、購入した直後から価値が下がり、快適に住めるのはせいぜい30年程度の商品なのに、数千万円。後者は、入学して2~3年が経ちようやく本腰入れて学問に取り組もうと思う頃に就活が始まる。そんな学生生活への対価に数百万円がかかります。

 私たちはお金の「価値」や「対価」というものについて、もう少しバランスよく考えるべきではないでしょうか。

 冷凍カツの横流しのニュースの先には、先進国で上位に位置する日本の相対的貧困率の数値(16%超で6人に1人が貧困層)も見えてきそうです。

(芳地隆之)

 

  

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