雨宮処凛がゆく!

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7月5日、札幌では「SOUND ACTION MOVEMENT
WHY?G8 SUMMIT」も開催される。

 そろそろ本当にG8サミットが迫ってきた。ヤバい、まだテントを買ってない。飯盒も用意してない。その他もろもろの野外生活グッズの準備もまだだ。

 って、なんでG8で「テント」の心配をしているのかって? よく聞いてくれた。それはG8に駆け付け、洞爺湖近くでキャンプをするからだ。ギャー! 本格的なキャンプって初めてだ! 考えてみれば10代をバンギャとして過ごし、その後は左右の団体やサブカル界隈をうろついていた私にとって、「キャンプ」はもっとも遠いものだった。だいたい太陽の下に出ること自体が滅多にない。活動時間はもっぱら夜。アウトドアとか「海でバーベキュー」とか山にのぼるとか、そういう健康的なものには生まれてこのかた一切無縁だったのだ。それがG8でキャンプをするとは思わなかった。

 で、なんでキャンプかというと、G8でキャンプというのは、「世界の常識」らしい。03年のサミット以降、G8ではキャンプが定例化し、数千の人が生活をともにしてきたという。キャンプでは音楽祭や映画祭、世界サッカー大会などが開かれ、共同炊事なんかも行われるそうだ。そんなキャンプの地は「オルタナティブ・ヴィレッジ」と名付けられている。世界中からG8に疑問を持つ人々が集まり、交流する。なんてワクワクするんだろう。

 で、なぜG8に疑問を持つのか。それには以前も紹介した『G8 サミット体制とはなにか』(以文社 栗原康)を読んでほしい。私も最近読み終わったばかりだが、プレカリアート問題とG8の関係について、ものすごーく整理された。で、その著者の栗原さんが「週刊金曜日」6月20日号で、『「もうひとつの世界」を「いまここで」』という原稿を書いているのだが、それが非常にわかりやすいので引用させて頂こう。


 まず、なぜ世界各国でG8に反対する運動が起きているのか?

 「世界人口でみると一四%にすぎない八カ国。なんの正当性もないトップエリートたちが世界を支配している。G8サミットはきわめて非民主的だ」

 そしてもうひとつの理由は、G8サミットが「新自由主義」にもとづいているから。

 「新自由主義の政策には、五つの柱がある。農産物の輸入自由化、公共部門の民営化、労働の柔軟化、規制緩和、警察国家化一一少し眺めていれば、ほんの数年前に小泉純一郎氏が『構造改革』と呼んで推進していた政策とまったく同じであることがわかるだろう。こんにち、日本でもネットカフェ難民、ワーキングプアなどの貧困問題が注目されているが、その背景には、たとえば労働者派遣法の改正のような一九九〇年代半ばの『労働の柔軟化』政策がある。主要国の大きな企業の利益を守る一方で、大多数の人びとを貧困におとしいれる仕組み、それが新自由主義である」

 そうして大企業がボロ儲けする影で、そこで働く派遣労働者はネットカフェ難民となっているという現実。そんな貧困を作り出すG8は、警備だけで160億円以上の資金投入が決まっているという・・・。G8なんかやらないでこの金配れば国内の貧困問題は少しは解決されると思うんだけど。

 そんなふうに、「世界の矛盾」が超高濃度で詰まったG8、放っておくわけにはいかない。ということで、私は3日から現地入りし、様々な企画に参加予定だ。5日、札幌で行われるデモにも参加する。そして6日からキャンプ。北海道では3日から9日まで、G8メディアネットワークTVにて、毎晩10時からのライヴ放送にも出演し、キャンプなどの様子を伝える予定だ。

 さて、それに先駆けて、東京でも6月29日にデモが行われる。「G8サミット直前東京行動〜SHUT DOWN!貧困と環境破壊のG8サミット」による新宿サウンドデモだ。詳細はこちらで。
 また、同じ日の18時からは、5月3日の「自由と生存のメーデー」のアフターイベントも開催される。四谷地域センター12階多目的ホールだ。詳しくはこちらで。全国各地のメーデー映像やベルリンのユーロメーデーの映像を見つつ、今年のメーデーはなんだったのか、来年以降どうするか、みんなでトーク。「とにかく仕事や生活のことを話せる場が欲しい」「似たような境遇の人と話したい」という人たちは、ぜひぜひ「語る場」「交流する場」「ガス抜きの場」として参加してほしい。

 ということで、29日、東京でデモしてその後アフターメーデーでみんなで語り、7月、テントを背負って洞爺湖に集合!

 と、景気良く終わりたいところだが、本当はもうずっと秋葉原の事件のことばかり考え続けている・・・。考えすぎて、何がなんだかもう・・・状態だ。はぁ・・・。

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佐藤優さんと中央公論で対談。なんと葉山嘉樹全集を
貰ってしまった!
超貴重・・・。蟹工船の次に葉山ブームが来るか?

 

  

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雨宮処凛

あまみや・かりん: 1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。オフィシャルブログ「雨宮日記」

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