マガジン9:2012年5月16日vol.354のインデックスページです。

憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。

今週のマガジン9変わる家族のかたち

 「『男性稼ぎ主』の安定雇用に依存した社会システムは機能不全に至っている。女性の就労率を引き上げ、育児と仕事の両立を支える施策なくして、将来の財源ももたず少子化も防げない」

 作家の大野更紗さんは、「日本型福祉の終わり 「家族の革命」が進んでいる」(4月15日付「朝日新聞」)のなかで、こう記しています。また、同じ記事のなかで、「『核家族』は『典型』ではなくなる。『核家族』というユニットの維持に必要な費用を1人で稼げる男性は、残念ながら、もうそう多くはいない」とも。

 サラリーマンのお父さん、専業主婦あるいはパートに出ているお母さん、そして2人の子供――これがもはや平均的な家族像ではなくなったということです。50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である生涯未婚率は、男性20.1%、女性10.6%(2010年時点)。東京都では1世帯当たりの平均人数が1.99人、総人口に占める65歳以上の割合20.76%と急速に少子高齢化が進んでいます。

 ゆえに「家族内福祉」と「企業内福祉」に支えられてきた日本型福祉はもはや成り立たないというのが大野さんの指摘ですが、それと並んで「核家族」を前提とした地域社会の在り方も揺らいでいるように思えます。

 地域の人々の交流において子供の通う学校が果たす役割は大きなものでした。PTA活動はもちろんのこと、町の美化運動や交通安全週間など、保護者たちの出番は少なくありません。一方、同じ地域に住む単身者や子供のいない夫婦は蚊帳の外(もちろん近所づきあいはしたくないという人もいるでしょうが)。また、子供がいても、地元の小中学校を卒業してしまえば、地域とは疎遠になってしまいます。

 とすれば、これからの地域社会は単身、同棲カップル、ひとり親といった世帯も想定していかないと、もたないのではないか。かといって、そのための場を新たに設けることは難しいでしょうから、たとえば自治体が小学校の教室をカルチャーセンターとして開放するとか、体育館を市民の様々なスポーツの場として提供するとか、小学校をつながりの場として活用できないかと思うのです。選挙の時は投票所になるくらい、地域における小学校の存在感は小さくありません。小学校から聞こえてくる子供たちの声に、ささやかな幸福感をもらったことのある人は少なくないはず。そんな気持ちも地域の人々と共有できたらなおのこといい。

 民主党が2009年の衆議院選挙で公約として掲げた「子ども手当」は、野党が批判するような「ばらまき」ではなく、社会全体で子供たちを育てていこうという理念の下に生まれました。そのことをあらためて思い出しています。

芳地隆之

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