マガジン9:2012年1月25日vol.339のインデックスページです。

憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。

今週のマガジン9

首都機能移転論を再び

 大きな別荘みたいだな。旧西ドイツの首都ボンに立つ連邦議会(国会)を初めて見たときの印象でした。穏やかな流れのライン河湖畔に立つ建物のなかを見学すると、議場も質素なつくりで、日本の市町村のそれといったところ。人口30万人強の町ですから、散歩をしていて首相とすれ違っても何の違和感もありません。その前に見てきたロンドンやパリとの規模の違いに驚くとともに、なるほどこうした落ち着いた環境であれば政治家もじっくりと国の行く末について議論ができるだろう、と思いました。1980年代末のことです。

 その後、ベルリンの壁が崩壊し、統一ドイツの首都としてベルリンが返り咲いたのは周知のとおりです。ただ、東日本大震災以降、私は当時のボンの風景をときどき思い出します。

 3月11日、東京は機能が一時マヒしました。鉄道を中心とする交通機関はストップし、大量の「帰宅難民」が発生。物流は寸断され、多くの食品がスーパーの棚に届かなくなりました。そして福島第一原子力発電所のシビアアクシデント(過酷事故)によって首都圏への電力供給が支障をきたし、都会の人間は電気が止まると排泄も満足にできない状況にいることを思い知らされました。

 東京がダメになったら日本がアウト。この国はそんな脆弱な基盤の上に立っている。

 近い将来、マグニチュード7レベルの直下型地震が首都圏で発生すると予測されています。そんななか政治、経済、金融、情報、教育など主要分野の中枢が東京に集中していることのリスクはあまりに大きい。せめて政府機関は東京から離れたところに置かれるべきではないか。たとえば那須塩原市(栃木県)や仙台市(宮城県)への新首都構想は以前から議論されていました。

 政治を司るに東京は規模が大きくなりすぎたとも思います。コンパクトな都市ならば、政治家の動向や省庁での議論が見えやすくなる。業界との癒着などの弊害も少なくなる。そして政治に緊張感が生まれる。

 ちなみに首都がベルリンに移っても、ドイツの政治家が国民にとって身近な存在であることに変わりはないようです。私は2000年代初め、ベルリンのブティックで娘と連れ立った当時のシュレーダー首相と、街角の花屋さんでシリ―内相と出くわしたことがあります。周囲の人は騒ぎ立てるでもなく、SPは少し離れたところに立っている(シリ―内相にはついていませんでした)。私が「こんにちは」と声をかけると、2人とも気さくな笑顔で返してくれました。

(芳地隆之)

これまでの「今週のマガジン9」を読む→

「お知らせページ」へ
「お知らせページ」への掲載希望の方はこちらから→

googleサイト内検索 googleサイト内検索
カスタム検索
「マガジン9」のサポーター
「マガジン9」の
サポーター募集。

「マガジン9」の活動は、支援してくださる個人のカンパで成り立っています。この活動をより安定的で継続的なものにするために、「マガジン9」の活動を支援してくださる人や団体、企業を広く募集しています。詳しくはこちらからお問い合わせください。お待ちしています。

マガ9のメルマガ
メルマガ9

↑メールアドレスを入力して、ぜひ『メルマガ9』にご登録ください。毎週、更新ニュースを送らせていただきます。/Powered by まぐまぐ

登録解除はこちらから↓

マガ9のブログパーツ
マガ9ブログパーツ

「マガジン9」の更新項目がまるわかり!ぜひ、あなたのブログにも設置してください。