雨宮処凛がゆく!

 もうすぐ2013年も終わりである。

 毎年の「今年の抱負」を、「今年も1年、面白可笑しく呑気で愉快に生きること」とかなり低めに設定してあるので、今、達成感に包まれている。皆さんも、「1年の抱負」を低レベルにしておくと、年末にいろいろ悔やまなくていいのでオススメしたい。

 さて、そんな今年は、やっぱりたくさんデモをして、たくさん書いて、たくさん活動し、いろいろな人と共謀しまくった1年だった。

 そんなこの1年でもっとも大きな出来事は、やはり「真夏の参院選」だろう。

 毎日が、とにかく熱すぎたあの日々!!

 本連載でも公言したように、私は山本太郎氏を熱烈応援。なんだか連日バタバタであまり記憶がないのだが、「参院選」という言葉で思い出すのは、ズバリ「肉」である。作戦会議や打ち合わせなんかで、選挙事務所のあった高円寺のやたらと安い焼き肉屋にしょっちゅう行っていたのだ(その時間帯、その辺で空いてる店がそこくらいしかなかった)。が、そのせいで選挙後はしばらくの間「焼き肉恐怖症」になり、「肉」という字を見るだけで吐きそうになっていたというどうでもいい思い出が懐かしい。

 そんなことを思うと、今、山本氏が「参議院議員」となり、様々な活動をしている人の「声」を質問主意書という形で国に届け続けてくれているという現実に、なんだか胸が熱くなる。

 ちなみに山本太郎氏が参議院議員となってから内閣に提出した「質問主意書」一覧は、こちらで読むことができる。

 で、これがレベル高くてむちゃくちゃ面白い! しかも、国会議員の中でも山本氏がダントツの提出数!

 8月の国会で出した質問主意書は、原発問題、TPP問題、貧困問題など6本。

 そして秋の臨時国会では、特定秘密保護法やブラック企業問題、奨学金問題など実に16本の質問主意書を提出。

 これらの質問主意書、いくつかで作成を手伝わせて頂いたのだが、その過程そのものが、ものすごく勉強になるものだった。

 そんな山本議員の誕生で、自分の「活動家としての動き方」も、確実に、変わった。

 以前、彼について「私たちが生み出した議員」と書いたが、「自分たちが国会に送り込んだ、空気読まない飛び道具」みたいな人がいると、こんなにいろいろと情報が入り、いろいろと便利なことがあるのだ、という発見の連続なのだ。

 これが「権力好きなオッサン」だったりしたらそういうことが即「既得権益」につながったりするのだろうが、幸いなことに、山本議員の周りにはそんなオッサンが入れる余地はない。多くの人が、いい意味で彼の立場を「利用」し、この国を少しでも「マシ」な方向に軌道修正しようと日々奮闘している。そんな熱気を、夏以降、ずっと感じている。

 そう思うと、この1年で、自分も、そして同じ方向を向いてさまざまに声を上げている人たちも、随分パワーアップしたように思うのだ。

 だって、1年前の今頃、私たちの目の前にあった現実は、衆院選で山本太郎氏が石原伸晃氏に敗れ、都知事選で宇都宮健児氏が猪瀬直樹氏に敗れるといった苦いものだった。

 それが今は山本氏は議員、都知事となった猪瀬氏に至っては、今や「日本で一番苦しい言い訳に終始している」人である。

 同時に、この1年は安倍政権によって様々なことが破壊された1年でもあった。ずーっと前からなんとかみんなで守ろうとしてきた「最後の砦」である生活保護法が改悪され、年の瀬に、「特定秘密保護法」も成立。その上、派遣法も「労働者保護」とは真逆の方向での改悪に向かって突き進んでいる。

 でも、悲観はしていない。今、そういう流れをなんとか「変える方法」を、すごいスピードで学んでいるのだ。だから、「俺に任せとけ」って気分である。で、一人一人が本気でそういう気持ちになって、いっぱい学んで動いていけば、意外といろんなことって変えられそうな気がする。

 とりあえず今、そんな根拠のない自信に満ちているので、来年もいろいろやらかすつもりだ。楽しみにしていてほしい。

 

  

※コメントは承認制です。
第282回 2013年、確実にパワーアップした私たち!!の巻」 に3件のコメント

  1. magazine9 より:

    とても「いい1年だった」とはいえそうにない2013年。でも、たくさんの人がずーっと集まり続けている国会前の光景を筆頭に、「パワーアップ」を感じる部分もいくつもありました。それを結集させつつ、来年もたくさん「やらかす」しかない! 雨宮さんに負けず、私たちも、そしてあなたも。

  2. 多賀恭一 より:

    猪瀬知事が辞任しました。
    都知事選に打って出るべきです。
    私も全力で応援します。

  3. TokiNoKawa より:

    > 即「既得権益」につながったりするのだろう
    その通り!

    日本で最大の既得権益って、高級官僚とそれに依存・体制護持している自民党議員族ってのは、常識。
    官僚は自分たちの利権拡大にしか能がなく、政治家は選挙しか能がない。
    そういう自分たちの金儲けや権力にしか興味がない人間が政治をしているから、
    国の借金1000兆円もこしらえて何ら効果がないだけでなく、既得権益に税金が還流するだけっていう。

    そういう既得権益を熱心に支持し、逆に、差別を受けている沖縄、アイヌ、在日の人々を「既得権益」とか
    曲解して差別している人間が、ネトウヨと、似たような考えを持つ多くのネトウヨ予備軍の日本人だってこと。

    ここら辺から変えていかない限り、日本で「国民のための政治」ってのを取り戻すことは不可能だろう。

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雨宮処凛

あまみや・かりん: 1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。オフィシャルブログ「雨宮日記」

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