マガ9学校やりました。

講師:
柳澤協二さん(元内閣官房副長官補)
伊勢崎賢治さん(東京外国語大学教授)

2014年5月25日(日)13時半~16時
@新宿NPO協働推進センター

これまで違憲とされてきた集団的自衛権行使の容認に向けて突き進む安倍政権。それが実現すれば、日本は他の国と同じように「海外に出かけて行って戦争のできる国」になります。そして、その「出かけて行く」のは、まずは現場の自衛隊員たちです。
憲法9条を持つ日本が、そして自衛隊が国際社会の中で果たすべき役割とは何なのか。安倍首相のいう「積極的平和主義」は、本当に世界の平和に、日本の「国益」に貢献するのか。元防衛官僚で、内閣官房副長官補としてイラクへの自衛隊派遣を監督した柳澤協二さん、アフガニスタンや東ティモールなどで紛争後処理にかかわってきた伊勢崎賢治さん、安全保障や国際協力の現場を知るお2人のお話から考えました。

柳澤協二●やなぎさわきょうじ 1946年東京都生まれ。大学卒業後の1970年に当時の防衛庁に入庁。防衛大臣官房官房長、防衛研究所所長などを経て、2004~2009年まで内閣官房副長官補(安全保障担当)。イラクへの自衛隊派遣などを監督する。2009年の退官後はNPO「国際地政学研究所」理事長などを務める。著書に『検証 官邸のイラク戦争——元防衛官僚による批判と自省』(岩波書店)、『「国防軍」私の懸念』(伊勢崎さん、小池清彦さんとの共著/かもがわ出版)、『亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠』(岩波書店)などがある。

伊勢崎賢治●いせざきけんじ 1957年東京都生まれ。大学卒業後、インド留学中にスラム住民の居住権獲得運動に携わる。国際NGOス タッフとしてアフリカ各地で活動後、東チモール、シェラレオネ、アフガニスタンで紛争処理を指揮。現在、東京外国語大学教授。紛争予防・平和構築講座を担 当。著書に『東チモール県知事日記』(藤原書店)、『武装解除 紛争屋が見た世界』(講談社現代新書)、『伊勢﨑賢治の平和構築ゼミ』(大月書店)、『国 際貢献のウソ』(ちくまプリマー新書)、『紛争屋の外交論-ニッポンの出口戦略』(NHK出版新書)など。

 5月も終わりに近づくころ、新宿NPO協働推進センターにて第32回マガ9学校が開催されました! 当日は初夏のおとずれを告げるような陽気にもかかわらず、若者からご年配の方まで会場を満杯にするほどのたくさんの参加者にお越しいただきました。今回のテーマは、今まさに日本政治の主要トピックとして議論される「集団的自衛権」や「積極的平和主義」について。元内閣官房副長官補の柳澤協二さんと、東京外国語大学で紛争予防・平和構築講座を担当する伊勢崎賢治さんを講師にお招きし、集団的自衛権をめぐる議論に対するそれぞれの見解をお話ししていただきました。

 第一部は、柳澤さんによる講演です。柳澤さんは、元防衛官僚としての見地を活かしながら、現在安倍政権によって進められている憲法解釈による集団的自衛権容認のための議論が、いかに「ありえない想定」のうちになされているものなのか、具体的な例を挙げつつ、非常にわかりやすく解説してくださいました。そもそも集団的自衛権とは何なのか、警察権や個別自衛権との関係はどうなのか、現在の容認論者の主張に対してひとつひとつ丁寧に反証をなさる姿がとても印象的で、普段国会でなされる議論がいかに表面的で、本質に迫るものでないかということを思い知らされました。5月15日には、安保法制懇の報告書提出を受けての安倍首相による記者会見の様子が中継されましたが、私たち一般の国民に伝えられる情報が、本質から大きく逸れた誘導的なものであったことに非常に危機感を覚えます。

 また柳澤さんは、日本のナショナルアイデンティティの喪失についても繰り返し言及されました。戦争を体験した世代が現役を引退していき、慢性的な経済不況に見舞われる現代日本で失われたアイデンティティとは、一体何なのでしょうか。戦争を知らない政治家が平和を語ることを憂慮する前に、それは現代に生きる私たち一人ひとりが考えなければならない問題なのかもしれません。柳澤さんが講演の最後に口にされた、平和を実現する一つの道筋としての「日本のブランド力」という言葉が非常に示唆的だと感じました。

 第二部は、伊勢崎さんと柳澤さんによる対談です。 ここではとてもフランクな雰囲気のなか、お二人の馴れ初め(?)の話から専門家同士ならではのディープな議論まで、幅広い内容が展開されました。集団的自衛権について議論をする前に、実際に自衛隊派遣が行われたイラク戦争の総括を行う必要があるという前提に立ち、お二人の間で当時の様子が振り返られました。自衛隊はイラクやアフガニスタンでどのような働きをしたのか、そもそもどのような目的、経緯で送られたのか、今いちど振り返って見ることは、集団的自衛権の議論をする際に非常に重要であるにもかかわらず、それがなおざりにされているのが現状です。

 また、一部に引き続いて、国連PKO部隊を統括した経験を持つ伊勢崎先生からは、先の会見で安倍首相が提示したパネルの解説は、国際社会においては「議論すること自体がタブー」の内容であり、重要なごまかしであると、改めて指摘がなされました。
 そして対談の終盤では、国際社会が日本に求める役割とはどんなものなのか、さらにはそれを履行する際に付きまとう責任やリスクという難しさが語られます。現行の集団的自衛権や「積極的平和主義」をめぐる議論は、果たしてそこまでを見据えた上で成されているものなのでしょうか。現場を知るお二人の骨身に迫る内容の対談とは対照的に、現行の集団的自衛権容認の主張がいかに楽観的で場当たり的なものか、改めて痛感させられる貴重な時間となりました。

※講演及び対談の詳しい内容はこちらからお読みいただけます。
→「集団的自衛権と自衛隊」(その1)柳澤協二さん講演レポート
→「集団的自衛権と自衛隊」(その2)柳澤協二さん×伊勢崎賢治さん対談レポート

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●アンケートに書いてくださった感想の一部を掲載いたします。(敬称略)

専門的な内容もあり、大変ためになる議論でした。「護憲を超えて」というスローガンを柳澤さん、伊勢崎さんが考えられたように、今、いわゆる「護憲派」と呼ばれる人々には、自分自身の考えに基づいた、新たな提案がもとめられていると思います。本日のお二人方を見習い、私も独自の提案ができるよう、次世代を担う若者の一人として考えたいと思います。(小山森生)

集団的自衛権について勉強を始めた所なので、詳細がわからない所もありましたが、これをきっかけとして学んでいきたいと思います。(匿名希望)

テレビ、新聞では見られない本音の話が聞けたことが良かった。安倍総理の記者会見について、疑問はいくつもあり、柳澤さんの話で認識が高まった。(宇野登志樹)

柳澤さんのお話で、集団的自衛権を巡る論議は的外れ、ごまかし、すり替えばかりなんだと改めて思いました。ウソで固めて戦争に荷担して、後に引けなくなっていったら、日本国内がぐしゃぐしゃになる。何より人口減なのに、若い人がますます過酷な状況におかれて、ボロボロにされていく様に思えてなりません。あと、中国憎しだけじゃ、現実的じゃないという、質疑応答での話は、ためになりました。(匿名希望)

いざ有事となると、一番先に現場に行くのは、自衛隊なのですから、そういう観点で考える事をしないといけない、それを強く感じました。(合羅敏夫)

柳澤氏の講演は、分かりやすかった、現場の体験談が面白く参考になりました。トークセッションは、非常に具体的な話で考える上で大変役に立った。質疑応答は、事実に基づいた議論の必要性を感じました。(匿名希望)

私自身、集団的自衛権に関しては行使容認という考えを持っていましたが、柳澤さん、伊勢崎さんの講演を通して、突き詰めたとらえ方、考え方ができていないのを痛感しました。今、話題になっている事柄に対し、貴重な機会を得られた事に感謝です。(匿名希望)

防衛省や国連、国際NGOという、実際に現場で活躍していた人から集団的自衛権についての話を聞くことができて、とてもいい勉強になりました。(匿名希望)

タイムリーな話ばかりで、大学の授業よりずっと面白かったです。来て良かったです。
(匿名希望)

現場を知っている人の話なので、具体的で、言葉の定義などもかなり意識していて、とても理解しやすかったです。「日本は悪い過去を振り返らない」という言葉が、とても印象に残りました。より良い未来のためによく学びたいと思いました。(匿名希望)

まずは、予想以上に若い方の参加が多いのに一安心しました。柳澤さんの説明は、具体例を示しながら、45分間があっという間でした。私は小学校に勤務していますので、職場の教職員にどうわかりやすく、この問題を説明していくか、大変参考になりました。ありがとうございました。(古川英彦)

 

  

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