カエルの公式

 昨日で、あの日から3年が経過しました。

 東日本大震災直後、スタッフの安全を確認してからすぐにネット通話ができるSkypeを通じて、オランダにあるグリーンピース本部と連絡をとったのを思い出します。

 「ニュースでは、原発は大丈夫と言っているが、心配なので緊急対応チームを用意してほしい」と伝えましたが、その後、津波が町をのみ込む状況がライブ中継され、刻々と状況は悪化していきました。

 グリーンピースは、原発事故の3年目を前に、海外から原発反対活動を行う市民を招き、福島を訪れました。そこで原発事故の被害者が口にしたのは、「忘れてほしくない」という事故の風化を恐れる声でした。

「証言」が人の心を動かす

 東京電力福島第一原発事故から3年。いまだ約14万人の方々が避難生活を余儀なくされています。

 グリーンピースは、生まれ故郷を奪われて避難している方、原発を止める活動に一生をかけていくと決意をした5人の方に、「福島の証言者」として「いま感じていること」や「多くの人に訴えたいこと」をお聞きしました。

 まずは、下記のビデオをご覧ください。

 原発事故に苦しんでいる被害者の方々の生の声を伝えること、そして聞くことはとても重要です。そして、当事者としての被害者の声は、人々の心を動かす力を持ちます。

 今回の原発事故に限らず、社会において弱者、そして被害者とされる方々の声を伝えることで、社会を変える必要性を認識してもらうことができます。

 実際、被害者の方々の「忘れてほしくない」という言葉は、私にも響いています。

「経済成長」という印籠

 さて、最近の政治動向を見ると、時間の経過が原発事故を忘れさせる原因だとは思えません。

 むしろ、 経済破綻や安全保障の問題など、市民への恐怖や不安を煽ることで、国家主義的な大型公共事業や言論統制を進め、原発事故を忘れさせようとしているのでしょう。

 「経済成長」「安全保障」という印籠(いんろう)を示され、「原発事故は忘れろ」と言われているのが実情だと思います。

 その動きが具体的に表れているのが、秘密保護法、エネルギー基本計画での原発のベース電源化、原発輸出、そしてさらには集団的自衛権の行使を可能にしようとする動き。

 これらの政策を並べると、戦前戦後の「言論統制」、「富国強兵」時代にタイムスリップしたかのようです。

「グリーン」で「ピース」な社会を

 「グリーンピース (Greenpeace) 」という団体は、「緑豊かで平和な社会」を目指したいと言う普通の市民が集まってアメリカの核実験に反対するという活動からはじまりました。

 それから43年が経過しますが、人口増加や気候変動による資源や環境への圧力は高まるばかりです。

 資源をめぐって紛争が多発しそうな国際状況をみても、今ほど環境(Green)と平和(Peace)の問題が密接に関係する時代はないかもしれません。

 すでに紹介した原発事故の被害に苦しむ方々の声を胸に、「グリーン」で「ピース」な社会のためにあなたができることを1つでも実行し始めませんか。

▼「福島原発事故 3年」関連情報
グリーンピース特集ページ1:「福島の証言」世界が聞いた福島のいま
グリーンピース特集ページ2:グリーンピースの3年間の取り組みから見る東京電力福島第一原子力発電事故

 

  

※コメントは承認制です。
第39回 福島を忘れない、過去にすべきは原発 ―「証言」が動かす人の心」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    震災や原発事故に限らず、自身の経験を振り返って語ることは、当事者にとって身を引き裂かれるようにつらいことである場合もあります。それでも 「証言」してくれる方たちがたくさんいるのは、「聞いて、知ってほしい」「行動してほしい」という思いがあるからではないでしょうか。その思いに どう応えられるのか、小さなことでも自分にできること、考えたいと思います。

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佐藤潤一

佐藤潤一(さとうじゅんいち): グリーンピース・ジャパン事務局長。1977年生まれ。アメリカのコロラド州フォート・ルイス大学在学中に、NGO「リザルツ」の活動に参加し、貧困問題に取り組む。また、メキシコ・チワワ州で1年間先住民族のタラウマラ人と生活をともにし、貧困問題と環境問題の関係を研究。帰国後の2001年、NGO「グリーンピース・ジャパン」のスタッフに。2010年より現職。twitter はこちら→@gpjSato

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