カエルの公式

 こんにちは。

 前回紹介した「『秘密保護法案』を廃案にするためにはマスコミに電話!? その理由は?」を読んで、「マスコミに電話しました」という声を多数いただきました。ようやく一部のマスコミも秘密保護法案の危険性を伝えるようになってきましたが、まだまだです。前回のカエルの公式を読んでいないと言う方は、ぜひそちらもご覧ください。

 さて、今回は少し話題を変えて「ランキングの持つ力」をご紹介したいと思います。

 買い物をするときには、何を目安にしますか?

 冬も目前で、クリスマス、年末・年始など、いろいろと買い物の季節です。

 さて服を選ぶとき、何を目安にしていますか?
 普通はファッション性や価格ですよね。

 でも、これからは、製造されるときアジアの国々など生産国の川を有害化学物質で汚していないかも、服を選ぶときの目安にしてほしいのです。

 この写真は、化学染料でピンク色に染まるインドネシアの川…
 すてきな服の裏側で、こんなことが世界中でおきています。

 でも、どのブランドが優れているのかわからないですよね。

 そこでグリーンピースは、どのブランドが有害化学物質削減への取り組みをしっかり行っているのかを調べて、みなさんにもわかりやすいようにランキングにしました。

ファッションランキング
「デトックス・キャットウォーク」

 グリーンピースが世界中で同時発表したこのランキングの名前は「デトックス・キャットウォーク」。

 キャットウォークとは、ファッションショーなどでモデルが歩く細長い舞台のこと。
 つまり、有害化学物質全廃(デトックス)へのファッションショーという意味です。

 グリーンピースが世界中で同時発表した「デトックス・キャットウォーク」(英語サイト)

 「デトックス・キャットウォーク」では、世界的なブランドを展開する企業24社の有害化学物質全廃への取り組みを調べた結果を評価していますが、その中でユニクロを展開する日本のファーストリテイリング社がリーダー入りをしています。

 今回の「デトックス・キャットウォーク」では、有害化学物質全廃への取り組みについて、各社の真剣度を以下の3つのグループに分類しました。

1、トレンドリーダー (流行発信ブランドTrendleader) : 14ブランド
(グリーンピースと2020年までの有害化学物質全廃を約束し、取り組みを進めているブランド)
ファーストリテイリング Fast Retailing (ユニクロ、gu)ベネトン Benetton Groupシー&エー C&ACoopエスプリ ESPRITジースター・ロゥ G-Star RawH&Mインディテックス Inditex (ZARA)リーバイス Levi Strauss & Co.リミテッド Limited Brands (Victoria's Secret)マンゴー Mangoマークス&スペンサー Marks & Spencerプーマ PUMAヴァレンティノ Valentino Fashion Group

2、 グリーンウォッシャー (見せかけエコブランド Greenwasher): 3ブランド
(グリーンピースと2020年までの有害化学物質全廃を約束したにもかかわらず、取り組みを進めていないブランド) 
李寧  LiNingアディダス Adidas Groupナイキ Nike, Inc.

3、 ラガード (流行遅れブランドLaggards): 7ブランド
(グリーンピースの2020年までに有害化学物質を全廃してほしいという要請を無視し続けているブランド)
ジョルジオ・アルマーニ GIORGIO ARMANIベストセラー BESTSELLERオンリー・ザ・ブレイブ ONLY THE BRAVE (Diesel)ギャップ GAPメタスバンウェイ METERSBONWEPVH (カルバン・クライン, トミー ヒルフィガーなど)VANCL

 グリーンピースとファーストリテイリング社は2013年1月に、2020年までに同社が有害化学物質を全廃すること(デトックス宣言)に合意しています。
 ちなみに、ユニクロはアジア最大のファッションブランド。

 その後も、グリーンピースとファーストリテイリング社は話し合いを重ねながら、着実に2020年の全廃目標に向けたステップを進めています。

 労働環境などの問題が取り上げられたりしますが、ここまでのファーストリテイリング社の有害物質削減への取り組みは、有害化学物質の厳しい監視基準を設けたり、情報公開を積極的に行ったりと、リーダーグループの「トレンドリーダー」の中でも業界トップクラスです。

ランキングが持つ力

 このような企業の環境問題に関する取り組みをランキング形式で発表する手法は、グリーンピースの他のキャンペーンでも多く取り入れています。

 なぜ、このような手法を取り入れるのでしょうか?それには大きく分けて3つの理由があります。

 一つ目は、消費者にどの企業がより良い取り組みをしているのかわかりやすいこと。二つ目は、企業にとって自社よりも上に他社がランキングされていれば「こんな無理なことはできない」と言いにくいこと。そして三つ目は競争原理が働くことです。

 つまり、ランキングという消費者にわかりやすい手法を取り入れることで、企業は「お客様」の面前で「他社」と競争しなければいけなくなるのです。こうすることによって、「グリーンピース VS ある企業」ではなく「企業 VS 企業」という仕組みができます。これが、継続的な改善を企業に促すことにつながります。

あなたもランキングを作ってみませんか?

 企業だけではなく、変えたい対象についてランキングを作って評価する手法を考えてみてはいかがでしょうか?意外と効果あると思いますよ。 

 例えば、市民グループのメンバーで集まって以下のようなランキングをつくるのも良いのではないでしょうか?

 ●地元のスーパーの有機農産物取り扱いランキング
 ●地元議員を対象にした「ちゃんと電話で質問に答えてくれました」ランキング
 ●こどもが遊びやすい周辺公共施設ランキング
 ●地元企業や大企業の働きやすさランキング
 ●周辺駅のバリアフリー度ランキング
などなど

 これを作ったら、その変えたい対象に配付するだけでなく、地元の方々にも広く配りましょう。そして、継続的にランキングをアップデートすると、いつのまにか良い競争がはじまります。もちろん、改善されたらしっかりと「良い評価」をしてあげてください。ぜひお試しを!

■ グリーンピースの「デトックス・キャンペーン」の概要は以下をクリック

 

  

※コメントは承認制です。
第36回 エコな企業はどこ?「ランキングの持つ力」~見せかけエコにご注意を~ 」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    柳井会長が「世界同一賃金の導入」を提唱、社員を酷使する「ブラック企業」だとの批判も多いユニクロ。一方で、販売した商品を回収してのリサイクル・リユースにいち早く取り組むなど、環境面では先進的な取り組みを続けてきています。「売名のため」という批判もできますが、逆に考えれば、注目さえ集まれば他の分野についても改善が進むのでは? ともいえそう。
    「こんな企業の商品は買わない」「こんな会社を応援したい」を消費者が積極的に伝えていくことは、企業にCSR(社会的責任)を果たさせるための基本中の基本。そのために、いろんなテーマで「ランキング」を作成してみるのも一案かもしれません。

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佐藤潤一

佐藤潤一(さとうじゅんいち): グリーンピース・ジャパン事務局長。1977年生まれ。アメリカのコロラド州フォート・ルイス大学在学中に、NGO「リザルツ」の活動に参加し、貧困問題に取り組む。また、メキシコ・チワワ州で1年間先住民族のタラウマラ人と生活をともにし、貧困問題と環境問題の関係を研究。帰国後の2001年、NGO「グリーンピース・ジャパン」のスタッフに。2010年より現職。twitter はこちら→@gpjSato

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