2012年憲法どうなる?どうする?

井口秀作(いぐち・しゅうさく) 1964年生まれ。一橋大学大学院博士課程満期退学。現在、大東文化大学大学院法務研究科教授。専攻は憲法学。フランスの国民投票制度を研究。著書に『いまなぜ憲法改正国民投票法なのか』(蒼天社出版)など。主な論文として、「国民投票法案」に浮上した新たな問題点『世界』/「国民投票法案」の批判的検討『法律時報』/憲法改正国民投票法案をめぐって『法学セミナー』など。

Answer

日本における武器輸出の問題は、本来憲法問題として考えるべきもののはずです。それが、諸外国並みに政策問題の一つとして相対化された上で緩和されていく。それが今、起こっていることだと思います。

 海外への武器輸出を認めるかどうかというのは、諸外国においては単なる一つの政策問題に過ぎません。その中で、日本において武器輸出三原則が法制化されていなくても、これまで国是としてあり得たのは、また政府が国会でわざわざそれを表明したりしたというのは、やはり憲法9条の存在がなければ考えられなかったことでしょう。
 である以上、日本における武器輸出の問題は、本来憲法問題として考えるべきもののはずです。それが、諸外国並みに単なる政策問題の一つとして相対化された上で緩和されていく。それが今、起こっていることだと思います。だから、この問題を憲法審査会で議論しようという声はない。

 それも、政府がこの問題を憲法問題に「しないようにしている」というよりは、憲法問題ではないと思っているということでしょう。例えば、かつては自衛隊の存在そのものが合憲か違憲かと言われたのに、ある時期からは「自衛隊を海外に派遣するかどうか」が憲法問題だとされるようになった。さらにその次には、自衛隊が海外に行くのは当たり前で、そこで武力行使をするかどうかが問題だということになってきましたよね。それと同じで、三原則の緩和に賛成か反対かは別として、「武器を輸出しない」というのは憲法と関係する問題だという意識が国会議員の多くにある時代から、そうではない時代に変わってきてるということなんだろうと思います。せいぜい20年前だったら、大問題になっていたのではないでしょうか。

 かつてであれば、日本の武器輸出はアメリカ自体が警戒していたし、アジア諸国の視線もあって抑制的であったということがあります。これらの要因が弱くなっている点からすると、単なる政策問題と位置づけられる限りこの動きが進むのは不可避であるように思います。しかし私は、これが憲法問題あるいは外交問題であることを確認することが重要だと考えます。もっともそれ以前に、国民の大半は三原則緩和のこと自体を知らないし、それがなぜ問題なのかもわからないというのが現状ではないでしょうか。粘り強く訴えていくことが何よりも必要なことでしょう。

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