「希望のエリア」のあきらめない人々

2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響で、福島第一原子力発電所事故が発生。事故後、国会前や首相官邸前には、多くの人たちが集まり、抗議の声をあげました。一人ひとりが自分の意思で集まり、それぞれ独自のスタイルで行う抗議行動が生まれていったのです。事故から数年が経ったいまも、毎週金曜日には脱原発を求める人々が全国各地で集まっています。国会前「希望のエリア」も、そうした「金曜行動」のひとつ。「希望のエリア」のスタッフが、そこに集まる人々の思いを連載で伝えます。

第16回

戦争法反対! 愛と希望の多幸(たこ)焼きパーティー

 9月19日。あの安保法制の強行採決から1年。

 この日、毎週国会前「希望のエリア」で声をあげているカップルが遂に結婚しました。新郎、新婦からの「希望のエリアみたいな結婚式をしたい」という強い要望で、私と二朗さんは喜んでこの企画と司会を引き受けさせていただきました。大阪出身でタイガースファンの新郎自身が作るフワフワのたこ焼き、そして、新郎がいつもホームレス支援の時に配っている「チキンラーメンおむすび」も、みんなでいただきました。

 たこ焼きを温めて運ぶ係をやってくださったのは新郎のお友達のホームレスの方でした。どれも手作りの温かい結婚式で、参加者が持ち寄った美味しいお料理がずらりと並びます。プチトマトで飾られた可愛い「9」のマークのポテトサラダ。「これが正装だからね(笑)」と、デモの時と同じ「PEACE」Tシャツを着ている方もいました。受付では9条バッジが渡され(これも参加者からのプレゼント)、みんなお揃いのバッジを胸につけました。手作りのベールやブーケを身に着けた新婦はキラキラ輝いて見えました。

 足立のママの会のみなさんは、お二人の馴れ初めクイズ。ごとう真左美さんのフラダンス、希望のエリアでいつも頑張っている男性のコント、親戚のお子さんによるソーラン節、新婦の働く保育園の先輩や、北海道から駆けつけられたお友達のスピーチ。お子さん達もいるので現役保育士さんによる絵本の読み聞かせも。また、東本願寺の僧侶・鈴木君代さんのライブは、平和のために憲法を守ろうというオリジナルソングで感激でした。

 新郎新婦がいつもデモでご一緒されている仲間の国会議員さん達からも、ボイスメッセージが届いていました。二朗さんのギター、恵さんのピアニカ演奏で、いつも希望のエリアで歌っている「主権在民」をみんなで大合唱。そしてこの日、同じ時間に行われている国会前での安保法制廃止のための抗議行動に連帯してコールもしました。

「平和を守ろう!命をまもろう!」
「頑張れ 頑張れ 民主主義!」
「頑張ろう 頑張ろう 私たち!」

 手には「NO WAR」のプラカード。こんな結婚式は生まれて初めてです。皆さんの愛のつまった心温まる結婚式でした。

 「みんなの笑顔が広がる事こそ平和」。この日は、安保法制に反対する人たちが国会前に2万3千人集まりました。こんな日に結婚パーティーなんて、と思われる方もいるのかもしれません。だけど、私たちが毎日を生きているのは、幸せになりたいから。その幸せや暮らしを守るため、もっと良くしていきたいと願っているからこそ、みなさん抗議をしているのだと思います。本来なら、毎日の暮らしが最優先なのです。だからこの日は盛大にお二人の結婚をお祝いしたかったのです。

 こんな雨の中、国会前に人が集まって2万3千人が声をあげなきゃいけないような日常がおかしいのです。理不尽なこと、 悲しいこと、辛いことが多い中、お二人のご結婚は久しぶりにおめでたい嬉しい出来事でした。みんなでたくさんたくさん笑いました。こういう幸せは武器や核兵器では絶対に作ることが出来ません。

 きっとみんながこんな気持ちで、笑顔で暮らせる日常が広がる事こそが「平和」なんだなぁと思える一日でした。そして素敵な仲間たちと幸せを喜べる日常を心から大切に守りたいなと思いました。

 2次会には、国会前行動から駆けつけた方も…。そして、これは後で新婦に聞いた話なのですが、新婦のご両親もその昔、市民運動で知り合い、結ばれ、仲間たちがお祝いの会をしてくださったのだそうです。ご両親やご家族の方が「いい仲間に恵まれ、こうして祝っていただけることが本当に嬉しいです」と仰ってくださった事も忘れられません。

 お二人がデモや抗議行動の現場で出会い、信条もイデオロギーも乗り越えて愛を育んできたこと、その中で出会った多くの人たちと一緒にお二人をお祝い出来た、本当に幸せな1日でした。

 長く続く抗議抗議ですが、こんな嬉しい事もあるのです。

(国会前「希望のエリア」スタッフ 紫野明日香)

 

***

追伸…【司会をさせて頂いた二朗です】
 こんなに幸せで素敵で温かで愛に溢れた披露パーティの司会をさせて頂いたこと、心から感謝しています。何回も披露宴やパーティに出たことがあるのですが、ご家族親族の皆さんはじめ、出席者の方全員が笑い、泣き、歌ったパーティは生まれて初めてでした。お幸せに! ありがとう! これからもよろしく!

 

  

※コメントは承認制です。
第16回 戦争法反対! 愛と希望の多幸(たこ)焼きパーティー」 に2件のコメント

  1. magazine9 より:

    読んでいるだけでも、心が温かくなるようです。平和や日常の幸せの大切さを知っているからこそ、国会前で声を上げ続けることができる…本当にその通りだと思います。安心して笑い合える時間がずっとずっと続くようにと思わずにはいられません。

  2. ゲバラ焼肉のタレ より:

    こういったのはいいですねえ。お堅い運動だけでは関心の薄い人達を振り向かせるのはなかなか難しい。
    楽しく、笑えるような運動に期待しています。

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希望のエリア:原発に反対する官邸前抗議行動として、2012年3月から毎週金曜夜にスタート。当初は、子ども連れでも参加しやすいよう「ファミリーエリア」として国会前の歩道横に設けられたスペースだったが、その後「希望のエリア」と名称を変え、幅広い世代が参加する独自の抗議エリアとして、毎週金曜の夜に活動を続けている。

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