「希望のエリア」のあきらめない人々

2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響で、福島第一原子力発電所事故が発生。事故後、国会前や首相官邸前には、多くの人たちが集まり、抗議の声をあげました。一人ひとりが自分の意思で集まり、それぞれ独自のスタイルで行う抗議行動が生まれていったのです。事故から数年が経ったいまも、毎週金曜日には脱原発を求める人々が全国各地で集まっています。国会前「希望のエリア」も、そうした「金曜行動」のひとつ。「希望のエリア」のスタッフが、そこに集まる人々の思いを連載で伝えます。

第19回

希望のエリアに参加して、
1年目を迎えて

 私が希望のエリアで初めてスピーチをしたのは、昨年の10月30日。希望のエリアに参加してから1年目を迎えました。長いようでアッという間に時が流れた1年。あらためて振り返ると、毎週金曜日の18時半から20時、定期的に行う国会前行動にほぼ毎週参加してきた自分に対して、我ながらよく続いたなぁと思います。

 昨年8月、安保法制反対に揺れ動いた国会周辺。私も、安保法制反対や川内原発再稼働反対の路上行動に参加していたなかで、希望のエリアに巡りあったのは8月21日の金曜日でした。最初は車道側で見ていましたが、じっくり見ていると、他の抗議行動とは異なる特色を持っていると感じました。

 まず、誰でも、原発以外でも、スピーチできる場があることです。抗議行動や集会等で、参加者が「自分」の意見を発信できる場は多くないと思います。希望のエリアは様々な人が登壇して、多様なスピーチが拝聴できて、そこから新たな事実を得られ、時に自分も考えさせられる問いが投げ掛けられ、みんなで想いを共有することもあります。

 また、表現方法が多彩であることにも興味を覚えました。強く語る方もいれば、緻密に福島原発の現状を報告する方、話だけに留まらず音楽で訴える方もいます。人は一人ひとり異なるからこそ多岐に及ぶ表現方法があります。だからこそ、自分のできる形で参加できることを大切にしていることが伝わります。「個」を大事にしているから個人が力を発揮して、「個」同士が寄り添うことで、他者との共感・連帯の意識が自ずと培われているのが希望のエリアです。

 毎週、登壇者や表現が変わるので、来週も楽しみだから来たいなと思えるし、自分も何かできることはないかという気持ちも芽生えてきました。私が希望のエリアで行っているのが、スピーチと鍵盤ハーモニカの演奏です。希望のエリアで歌われる「ふるさと」「主権在民」等々の音楽。音楽で場を盛り上げるだけではなく、歌を通して訴える姿に自分も演奏したいと思い立ち、昨年の10月16日に初めて、ヒッソリと演奏に加わりました。

 演奏のみならず、私も原発に反対していると意思表示をしたいと考えるようになり、スピーチも始めました。スピーチを始めて変化したのは、日々のニュースをジックリ吟味しようと心掛けるようになったことです。原発・政治・社会の動きに対して納得できない部分があれば、スピーチにして多くの方に伝えることで自分の考えをまとめたり、微力ながらも情報発信ができればと思いました。

 希望のエリアにほぼ毎週参加している、と私の知人に話したら「凄い」と言われましたが、そんなに凄いと自分は思っていません。1年も参加していると、金曜日の18時半から20時までの参加が生活習慣の一つと化しているので苦に感じません。それに、毎週様々な出会いや楽しさがあるから、自分もそれに期待して、また参加しようというモチベーションが持てたと感じます。

 将来の社会はどうなるか一抹の不安を覚えますし、日常生活の中でも辛いことがあります。でも、希望のエリアを想い、参加すると気分が癒されて、次も頑張っていこうと思えるのです。それは、みんなでお互いの存在を認めて尊重しているからこそ、自分も受け入れて貰えて、頑張る気力が生まれるのだと思うし、自分の不安なんかちっぽけなものだとも思えるから。

 かけがえのない出会いが生まれ、見識を深められる学びがある。その希望のエリアに出会えたことこそ「希望」そのものであり、毎週金曜日に国会前で行動を継続していることも「希望」になっています。 希望の灯を消されないようにと「反原発・いのちを守ろう」を訴えてきた希望のエリアのみんなに、言葉では表現できないほどの敬意を覚えます。

 過言かもしれないけど、生きていてよかった。そう想えます。希望のエリアのみんなにこの場をかりて、感謝申し上げます。ありがとうございました。そして、これからも宜しくお願いします。また金曜日、希望のエリアでお会いしましょう。

(国会前「希望のエリア」参加者/大学生・佐藤光祈)

 

 

  

※コメントは承認制です。
第19回 希望のエリアに参加して、1年目を迎えて」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    一人ひとりの思いを否定せず、大事にするからこそ「希望のエリア」には幅広い世代が集まっているのだと思います。理不尽な状況や大変な出来事はたくさんあるけれど、週1回、同じ思いの人たちに出会える金曜行動は、それに立ち向かう元気をくれる場所なのかもしれません。

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希望のエリア:原発に反対する官邸前抗議行動として、2012年3月から毎週金曜夜にスタート。当初は、子ども連れでも参加しやすいよう「ファミリーエリア」として国会前の歩道横に設けられたスペースだったが、その後「希望のエリア」と名称を変え、幅広い世代が参加する独自の抗議エリアとして、毎週金曜の夜に活動を続けている。

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