「希望のエリア」のあきらめない人々

2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響で、福島第一原子力発電所事故が発生。事故後、国会前や首相官邸前には、多くの人たちが集まり、抗議の声をあげました。一人ひとりが自分の意思で集まり、それぞれ独自のスタイルで行う抗議行動が生まれていったのです。事故から数年が経ったいまも、毎週金曜日には脱原発を求める人々が全国各地で集まっています。国会前「希望のエリア」も、そうした「金曜行動」のひとつ。「希望のエリア」のスタッフが、そこに集まる人々の思いを連載で伝えます。

第23回

「きみとぼくのラブソング」再び

 年が改まって早半月が経ちますが、あらためまして明けましておめでとうございます。

 昨年もたくさんの方に「希望のエリア」にお出でいただき、ツイキャスで応援していただくなど、本当にありがとうございました。今年も、金曜夜の18時半から、原発をはじめ安保法制、TPP、基地、平和憲法の破壊など、人々の平和な暮らしを脅かすものに対して「命を守ろう!」と希望の声を上げてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、年を越して初めての連載となりますが、このコラムの第4回でも触れた曲「きみとぼくのラブソング」について、再び個人的な思いを織り交ぜながら書きたいと思います。

 もう5年近く昔になりますが、当時の私は特別支援学校の教員でした。中には、障がいが重くなかなか学校に来ることができない子どもさんもいましたが、その子のためにクラスでビデオメッセージをつくってみんなで届けようということになったのです。

 一人ひとりのメッセージや写真、動画を撮り、パソコンで一本のビデオメッセージをつくっていきます。BGMに何がいいかな? と思った瞬間に、頭に浮かんだのがこの「きみとぼくとのラブソング」でした。

 「希望のエリア」の二朗さんが描いた優しいメロディ、そして明日香さんが描いた素晴らしい詞。クラスの子どもに聞かせたら、なかなか会うことができない友だちに自分たちの気持ちを伝えられると、大喜びです。自宅でビデオメッセージを渡した子も、本当に嬉しそうにしていた事を、今でも昨日のように思い出します。

 この曲は「パパママぼくの脱原発ウォーク」のテーマソングであり、子どもたちに原発のない安心して暮らせる社会を手渡したいという願いがモチーフになっています。

 ・・・が、例えば「きみに会えたこと きみと見つめ合うこと 繋がっていく命を ぼくは伝えたいよ」という歌詞、例えば「ぼくはきみと歩いてゆくよ ゆっくりゆっくり歩いてゆくよ」という歌詞から、皆様はどのような事を感じ取られるでしょうか。

 親から子へ、友だちから友だちへ、命の尊さ、人の繋がりの大切さ、一緒に歩むことの素晴らしさを伝える、脱原発にとどまらない普遍性のある歌詞となっていると私は感じます。子ども達が喜んでくれたのも、そのためでしょう。

 振り返ってみると「希望のエリア」がここまで続いているのも、命の尊さ、人の繋がりの大切さ、一緒に歩む事の素晴らしさという文化が、毎回表現されているからなのだとあらためて思います。

 まだ見ぬ子どもたちに、そして今を懸命に生きる全ての方に、精一杯のエールをこめて、今年も「希望のエリア」は「命を守ろう!」と希望の声を上げてまいります。皆様のご参加を心からお待ちしております。

参加者の愛犬、ピースの「ピーちゃん」

(国会前「希望のエリア」スタッフ/佐藤真)

 

 

  

※コメントは承認制です。
第23回「きみとぼくのラブソング」再び」 に2件のコメント

  1. magazine9 より:

    寒さが続く中ですが、「希望のエリア」では今年も毎週の金曜行動を行っています。脱原発の根底にあるのは、平和への思いや家族や身の回りの人への愛情。その思いで、さまざまな活動がつなっていければ、と思います。

  2. 谷澤公彦 より:

    あれあれ?
    私たち家族と明日香さん、後ろには松平さんでしょうか、の写真が掲載されていますね。
    恥ずかしながら今日(2017年4月20日です)気が付きました。
    お使いいただいて光栄ですが、お恥ずかしい限りでもあります。
    原発事故の年に生まれた写真のTwinsも間もなく6歳になります。生意気盛りでやんちゃででも笑顔がたくさんあふれる毎日をおかげさまで過ごしております。この写真の当時はたぶん2歳になるくらいのころではないかと思います。この何かを注視する顔は初めて見たコールとかに驚いているのでしょうか。何にしても懐かしい。
    なかなか国会前まで伺えませんが、皆様の活動に心からの敬意とエールを送ります。
    そしてこの写真を見て私たち家族も皆さまとつながっているのだなと改めて実感しました。
    ありがとうございました。

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マガジン9

希望のエリア:原発に反対する官邸前抗議行動として、2012年3月から毎週金曜夜にスタート。当初は、子ども連れでも参加しやすいよう「ファミリーエリア」として国会前の歩道横に設けられたスペースだったが、その後「希望のエリア」と名称を変え、幅広い世代が参加する独自の抗議エリアとして、毎週金曜の夜に活動を続けている。

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