「希望のエリア」のあきらめない人々

2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響で、福島第一原子力発電所事故が発生。事故後、国会前や首相官邸前には、多くの人たちが集まり、抗議の声をあげました。一人ひとりが自分の意思で集まり、それぞれ独自のスタイルで行う抗議行動が生まれていったのです。事故から数年が経ったいまも、毎週金曜日には脱原発を求める人々が全国各地で集まっています。国会前「希望のエリア」も、そうした「金曜行動」のひとつ。「希望のエリア」のスタッフが、そこに集まる人々の思いを連載で伝えます。

番外編

参加者からのメッセージ

 私が国会前金曜行動に初めて参加したのは、2012年6月1日だった。
 震災後初の再稼働が迫り、参加者が膨れ上がる頃だった。そしてその翌週、参加していた「パパママぼくの脱原発ウォーク(パパママ)」の仲間から、警備の手伝いをしてくれないかとの呼びかけがあった。
 当時から、私は多くの日本のおとーさんがそうであるように、仕事に追われて大変忙しく、終電で帰ることが普通といった状態だった。しかしその日に限り、ちょうど夜勤明けと重なって早めに行くことができたのだ。「今回は行けるけど、次からは難しいな」と考えていた。
 とはいえ、この国の緊急事態に仕事が手につくはずもなく、今週だけ、今週だけ、とその後もやりくりして参加するようになり、休日出勤の代休を全て金曜日に充てては準備から駆け付けていた。
 しかし、そんなことが長く続くはずもなく、今では終わる頃に駆けつけるのがやっとという状態となっている。
 それでも仕事を抜け出して駆け付けると、そこにはあきらめない人々がいる。
 そして、ともすると社会の波に飲み込まれてモノを考えないただの部品になりそうになるのを、何とか踏み止まることができるのだ。

(しいなまん)

 東日本大震災、そして福島第一原発の過酷事故、その中で何かしなくてはいけない、けれど何ができるのだろう?という葛藤を、当時の私は抱いていました。
 その時、「あ! これだ!」とサイトを見つけたのです。それがマガジン9でした。当時の私はTwitterなどのSNSを知らず、マガジン9に今でも掲載されている「全国デモ情報」が本当に役に立ちました。本当にマガジン9のスタッフの皆さんには感謝しております。
 掲載されていたデモの中で「パパママ」の仲間とも知り合い、スタッフとして活動することができるようになりました。あれから5年、月日が経つのは早いものです。平和な社会の中で誰もが安心して生活ができるように、熱い想いと優しい気持ちを大切にしながら、これからも人と人が出会う縁(えにし)を紡(つむ)いでいきたいと思います。

(佐藤真)

 希望のエリアへ初めて参加したのは、2013年12月の末でした。
 その年の9月に軽い鬱病と診断され、休養していた矢先の12月に、都内で行われた参議院議員・吉良佳子さんのイベントに参加したのが、希望のエリアを知るきっかけでした。
 以後、2015年に仕事に復帰するまで、ほぼ休むことなく通い続け、2014年の9月より、当日スタッフを務めさせて頂くことになり、現在に至っています。
 主催者である紫野明日香さんの優しく強い志が、足しげく通い、自分が様々な抗議行動に参加する原点になっているのではないでしょうか。
 辛い思いをされてる当事者の方、参加者の皆さんと常に同じ目線で物を考え、相手の気持ちを第一に、共に泣いて、共に笑って、共に声を上げる。
 毎回希望のエリアで合唱する「ふるさと」にはそんな心が込められている気がします。
 まだまだ人としても、スタッフとしても未熟ではありますが、これからも参加される皆さんの為、そして自分自身の人生の修行の場として、これからも励んで参ります。
 どうぞ「パパママぼくの脱原発ウォーク」、「希望のエリア」を、今後とも宜しくお願い申し上げます!

(和尚)

 出来ることを
 出来る人が
 出来る時に

 これが私たち希望のエリアのモットーです。
 原発をなくすにはこの先どれ程の時間がかかるか誰にもわかりません。
 だからこそ息の長い活動をしなければと思うのです。
 毎日の暮らしを大切にしながら、たまには息抜きもしながら、出来るだけ楽しく続けられるよう、これからもみなさんと一緒に頑張ります。ひょこっと時間の空いた時、たまにはあそこに行ってみようかなと、ふと思った時、そこに変わらず存在している実家のような場所、民主主義のふるさとのような存在でありたいと思います。

(紫野明日香)

 地元、武蔵野吉祥寺・ 三鷹から原発に反対する声をあげ始めて6年が過ぎました。
 そして官邸前、 国会前から原発に反対する声をあげ始めて5年の月日が経ちました 。
 毎週金曜日、午後6時半から8時まで、 雨の日も雪の日も寒い日も暑い日も、 ずっと休まずに声をあげてきました。
 私達は、かけがえのない「命を守ろう」 と今までもこれからも声をあげ続けて行くつもりです。
 この道すがら、たくさんの方々と出会いました。
 その方々中には、今も国会前に毎週足を運んでおられる方も、或いは各地で同じ思いを持ちながらそれぞれの地元で頑張る方もおられます。私達はその全ての方が「仲間である」と考えています。
 どこにいるかが問題ではありません。同じ志を持ち欠かさず続けて来られる全ての方が仲間なんだと考えます。一度でも声をあげたことのある方を仲間だと思っています。
 このページを読んでいらっしゃるあなたも、私たちの仲間だと思います。
 国会前は遠いからと思わないで下さい。あなたの心の中の思いと繋がることが一番大切な事だと思うからです。

 マガジン9の連載は、今回をもって一応終了となります。
 たくさんの方から励ましを頂きました。またマガジン9のスタッフの皆さんにも支えて頂きました。 毎週欠かさず読んでくださったみなさんにも、 この場をお借りしてお礼申し上げます。

 国会前希望のエリアは、憲政記念館裏門、 国会前北庭を桜田門方向に少し下がった所にあります。 その場所でこれからも毎週金曜日必ず声をあげています。 もしも一度行ってみようとお考えの皆さん、 どうぞお越しください。必ずあたたかい気持ちでお待ちしています。

(土肥二朗)

 

 

  

※コメントは承認制です。
番外編 参加者からのメッセージ」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    今回の「番外編」をもって、この連載も最後となりました。マガジン9のサイトから希望のエリアにつながったという方からのメッセージには、このサイトをやっていて良かった、と本当にうれしく思いました。ぜひ、みなさんも一度、金曜日18時半~の国会前「希望のエリア」に足を運んでみてください。

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マガジン9

希望のエリア:原発に反対する官邸前抗議行動として、2012年3月から毎週金曜夜にスタート。当初は、子ども連れでも参加しやすいよう「ファミリーエリア」として国会前の歩道横に設けられたスペースだったが、その後「希望のエリア」と名称を変え、幅広い世代が参加する独自の抗議エリアとして、毎週金曜の夜に活動を続けている。

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