松本哉ののびのび大作戦

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 うわー、この間の参院選ではまた自民党がたくさん生き残って、都知事選では小池百合子だって。まだしばらくはいい世の中にはなりそうもないね〜。あんなやつらに誰が投票してるんだろ、まったく〜。

 さて、そんな選挙騒ぎの真っ只中の7月下旬、ちょっと中国の東北地方(旧満州エリア)に行ってきた。大連や瀋陽などの独立空間や地下文化圏のやつらが海外と交流したがってるというのを上海のこれまたオルタナティブスペースの友達に聞き、招待してくれるというのでちょっと行ってきた。ちなみに、その中国東北部、当初は中国の寒い方としか印象がなく、そもそもなんて呼んでいいかわからなかった。元々満州族の地域で、独自の意識もあるだろうから、中国の東北部というのも失礼かなと思いつつ、かといって満州満州いうと、なんだかかつて日本が半ば強引に作らせた満州国のこと言ってるみたいで、それもまた微妙だ。う〜ん、あのエリアは一体どうなってるんだ!? よし、これは行って確かめるしかない!
 で、大連、旅順、瀋陽などに行ってみると、まあパッと見は中国の他のエリアとあまり変わらない。でも、瀋陽あたりまで行くと満州人が本当にいた! おおー、すごい。こっちは愛新覚羅溥儀ぐらいしか知らないのに! で、その満州人たちと話してみると、自分たちの意識としては「いや、俺ら中国人じゃなくて満州人だよ」という。ただ台湾みたいに国家も違うって意識まではなく、「中国っていう国の一部分だけど、うちらは満州人の独自の文化を持ってる」という。なるほど、そういう感じか!

 ちなみに、この満州地域、戦後70年以上経ってもまだ当時の日本が建てた建築物などがたくさん残ってる。それも今でも使っていて、警察署は警察署に、郵便局は郵便局に。銀行は銀行に、ホテルはホテルに。それも、歴史的建造物として丁寧に保存するって意識はゼロ。戦前戦後とか誰が建てたとか別に関係なく、普通に荒っぽく使ってるのがまたいい。例えば韓国では日本時代の建物などは「負の歴史」としてほとんど破壊されている。まあ侵略されて勝手なことされたら頭にくるだろうから、いくら立派な建物だろうとぶっ壊してしまう気持ちはわかる。というのもあったので、満州人に「日本軍が建てた建物とか大量にあるけど、壊したりしないんだね」と聞いてみるも、「ええっ? いや〜、まだ使えるからねえ」と、そんなこと考えたこともないって感じでケロっとしてた。おまけに、「戦争はもちろん日本は悪かったけど、昔のことだし、特にこの辺の人は今はみんな日本大好きだからね〜」という感じ。おおー、なんと寛大な! 友好的にしてくれるのはすごい嬉しいんだけど…、いや〜、うちの安倍(首相)は全然過去を反省してないからな〜、本当、すいませんねえ。恥ずかしい政府で困るよ、本当に。ちゃんと日本も過去の悪事を認めて反省した上で外交したらいろんなことが前向きに進むと思うけどね。っていうか、アメリカも原爆落としたり戦争しまくっても謝らないし、中国政府も文革で大失敗したり天安門とかやらかしても謝らないし、まったくどいつもこいつも! おっと、話がそれた。

夜になると数百人数千人が街に繰り出し、博打を打ち始める。
中国東北人最高!

 さて、その満州地方、確かに人々の生活も他の中国とも全然雰囲気が違う。まず、みんな路上に机とか並べてやたら楽しそうに遊んでいる。あと、中国人ってなんだかんだ言って結構働いてるんだけど、こっちはとりあえず働くのがあまり好きではないらしく、昼間からみんな麻雀やってたり、路上でビール飲んでたりしてる。で、飲むのも好きらしくて、ものすごい量のビールを毎日のように飲む。この東北地方は中国でも最もビールの消費量が多いところらしい。ロクに働かずに、昼間から路上でくつろいで、ビールばかり飲んでる…。満州やばい!!!
 今回仲良くなった満州人も20代前半の若い奴なんだけど、「いや〜、マジメに働くのは好きじゃないね」と、公言し、インチキな場所を作るとか言い出して、最近「失敗書店」というふざけた名前の店を瀋陽でオープンした。この失敗書店の成り立ちがまたマヌケでいい。元々、あるオッサンが工場を買い取って商業施設を作ろうとしたものの、大失敗してニッチもサッチも行かなくなり、ヤケになって「もうなんでもいいよ! ここタダで使っていいよ!!」となったところをすかさず借りたとのこと。そう、事業に失敗したドサクサでできたから失敗書店。うーん、大家さんにバレたら怒られそうな名前! ちなみにこの店長、働くのが嫌いすぎて大量にヒマがあったのでフランス語を習得してしまい、その翻訳とかやって小遣いを稼いで、1円も儲からない失敗書店を経営している。「売上ゼロだけど家賃もゼロ。これはいい」だって。う〜ん、全てがインチキで最高だ!!!!

開店目前の作業中の失敗書店と店長(右)

 さて、実はこの時、大連と瀋陽で、中国国内のオルタナティブスペースを運営してる人たちが集まるイベントに呼ばれていったので、上海、広州、四川、北京を始めいろんなところから人が集まってきていた。すごい、結構中国内でもいろんなところにいろんなことやってる人いるんだね〜! さらに、せっかくなので韓国の釜山でスペースを運営している友達にも声かけて一緒に行ったので、なかなか今回も近隣諸国の間でアンダーグラウンド文化同士のいい交流ができた。いよいよ、近隣地域でのマヌケで面白い奴らは繋がる一方だ。

 で、みなさん!!!! 覚えているだろうか!? 以前ちょっと紹介した東アジア圏のオルタナティブ文化が大集結する一大イベントが、いよいよ開催目前に迫っている。前紹介した時は、まだ漠然として各地に呼びかけまくっていた状態だったが、ここ数ヶ月、着々と計画は進行し、気付いたら当初の予想をはるかに上回る、いよいよとんでもないことになってきている。各地のミュージシャンがやってくるライブイベントもあるし、上映、トークショー、展示などなど各種イベントもあるし、とりあえずものすごいことになってきてる。
 しかも、海外からこのイベントのために来る人たちには無料の宿泊スペースと無料の昼食、全イベントの無料チケットをあげるから、自腹で飛行機代を出して来てくれ〜!!! …と、呼びかけたところ、来るわ来るわ、台湾、韓国、香港、中国、マレーシアなどから続々と「行くよ!!!」という連絡が来るし、アジアじゃないアメリカやドイツからも来る人が続出し、日本国内からも来るというし、沖縄のバンドのやつらも大量にやってくる! もちろん、ミュージシャンでも芸術家でもスペース運営者でも研究者でもなんでもない、ただのマヌケなやつらも数百人規模で大量に日本に遊びに来るという! これが面白くないわけがない!!!!!!

今回の中国オルタナティブスペース集結イベントのスタッフの人たちと

 ニュースばかり見ていると、戦争やテロも絶えないし、国内でも何が起こっても自民党が選挙に勝つという謎の現象。唯一選挙で自民党の政策にNOを叩きつけた沖縄では、懲らしめてやれとばかりに高江のヘリパッド作りを強行したりしてる。いや〜、最悪だなー、本当に。そして、今回の一連の選挙でも結局前と同じで自民党が君臨…。よし、もう頭にきた!!!!! 今回のアジア圏交流イベント「NO LIMIT 東京自治区」、超重要。民衆文化が国内外を問わず無限に繋がって広がっていけば、各国政府のバカなプロパガンダに踊らされることなどなくなってくる。そう、最大の近道は、実は大きな政治や社会を語るだけでなく、「本当はこういうことやりたいんだよ」という、自分たちで実現できる生活スタイルや遊びを少しでもやらかしていくことだ。そして、それが国境もヘッタクレもなくなって、いよいよ超楽しいことになってきた時、自ずと各国の悪い奴らなど滅んでいくはずだ。
 金と権力にまみれたやつらとの史上最大の戦いがついに始まる。よし、勝手に遊ぶしかない!!!!! 


「NO LIMIT 東京自治区」公式サイト
http://nolimit.tokyonantoka.xyz/

 あ、そうだ。あと重要なこと! このサイトでも募集してるけど、期間中の一週間、みんなにごはんを提供するので、大量の米、味噌、海苔などを募集してます!!!! 詳細は公式サイトの米募集コーナーにて! う〜ん、何か事を起こす前に急いで米や味噌を集めに入るあたり、百姓一揆みたいでいいね。

 あと、資金集めに協力してもらえる方はこちら! クラウドファンディングも始まりました〜。
 今、いろいろ資金集めイベントやったり、グッズを販売したりしてるんだけど、当然のように赤字は必至!!!! 一人でも多くの海外のやつらを呼び、一つでも多くイベントをやるためにも、是非是非、協力お願いします〜!!!!

 さらに、9月7日には、久々の新刊『世界マヌケ反乱の手引書〜ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)が発売! 最近のアジア圏の交流と、ふざけた空間の作り方を詳細に書いてある。各地の面白いスペースの一覧表もあるので、この本を持ってウロつくだけで世界中のとんでもない奴らと仲良くなれるやばい本! この本の初版印税も全額このイベントの資金として提供するつもりなので、よかったら買ってください〜!!!! あ、できれば近所の潰れそうな小書店で。すべて滅んでいたらしょうがないからこちらで!

【スケジュール】

東京自治区目前! アジア圏大混乱前夜決起集会
8月28日(日)20:00~

大量の海外勢、国内地方勢が押し寄せてくる目前の景気付けBAR!

※イメージは、百姓一揆が始まる寸前に村の神社か寺に鍬とか持って集まって「エイエイオー!」とかやってる、そんな感じです。

場所は高円寺「なんとかBAR」にて

 

  

※コメントは承認制です。
第93回 ついに満州に交流圏拡大!! 東アジア地下文化交流イベント迫る」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    さてさて、またまたお久しぶりの更新となったのびのび大作戦…なのですが、なんだかどんどんスケールが拡大、あっちでもこっちでもつながりまくっちゃっているようです。政治を語ること、デモに行くこと、困っている人がいたら応援しに行くこと、そして自分たちで「こんなこと、面白いよ」と発信していくこと。どれも、これ以上嫌になっちゃうような世の中にしないために、重要です。東京まで行けないよ! って方は、上記「手引書」を片手に、まずは「ふざけた場所」を作ることから!

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まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

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