沖縄・ゆんたくるー便り

今、沖縄の人たちは複雑な事情を乗り越えて「新しい米軍基地はいらない」と一つになり、選挙や集会など民主的な方法で意思表示を続けています。そうした民意をまるで無視し、工事のための海底調査などを力尽くで進めていくこの国。「辺野古・高江」は、ぎりぎりの抵抗が続く最前線の場所になっています。その現場に赴き、カレーや鍋を囲みながら「ゆんたく」(沖縄の言葉で「おしゃべり」の意)をする、沖縄の学生有志団体「ゆんたくるー」。彼らはそこで何を見て、何を考えているのか。沖縄の現状や本土に向けての思いなど、さまざまなことを沖縄より伝えてもらいます。「ゆんたくるー」の学生たちが交代で、ほぼ毎週連載でお届けします。

 はいたい! 生まれ育ちは沖縄。現在は大阪の大学に通っている平良美乃です。よろしくお願いします。今回、「ゆんたくるー便り」を書く機会を頂きとても感謝しています。大阪にいるので、辺野古の現場に行ったり、沖縄でゆんたくるーのイベントに参加できることは少ないですが、他のメンバーとのLINEでのやり取りを通しての情報や意見を共有して、日々学んでいます。


○大きな叫びとはじめの一歩


「How unfair this society is!」
 この声が日本政府に届かないなら、アメリカに直接言うしかないのだろうか。

 私の心の中の大きな叫び。これまで基地問題に向き合い、学んでいく中で、じわりじわりと出てきた思いだ。

 私は去年の沖縄県知事選で初めて投票したが、選挙の無力さを感じてしまった。「普天間危険性除去のための唯一の解決方法」と言い続け、辺野古での新基地建設工事を止めようとしないことはあまりにもおかしすぎる。新基地建設を進めようとする人たちの言葉づかいには本当にうんざりしている。去年の4月、アメリカで留学中だったため、ネット新聞を通して、日本政府の辺野古基地建設を進めていく強い姿勢を感じた。多くの人が反対しているのにもかかわらず、仲井真前沖縄県知事の承認を根拠に進められていく工事。

 18年間も沖縄で生活してきたにもかかわらず、私が基地問題に真正面から向き合い始めたのはちょうど去年の今頃。たった1年前だ。
 それは、「考えは行動で示さないと相手に伝わらない」という考え方を、留学中に欧米の学生と生活する中で学んだからだった。小さなことかもしれないけど、できることからやろうと考え、「辺野古埋め立て反対」の声を沖縄県内の新聞に投稿したり、替え歌を作って現場で歌ったりして自分なりに表現し始めた。

○次へのステップ!

 最初は、ほんの少しの知識と、どうしようもないモヤモヤとした感情が私を動かしていた。ただただ「こんなにも反対をしている人たちがいるのに、強制的に工事を進めるのはおかしい」という政府の姿勢に対する許せない気持ちと、「沖縄の海を、自然を壊してほしくない! これ以上沖縄に基地を押し付けないでほしい!」という2つの純粋な思いだけで声をあげていた。

 しかし、去年の8月に沖縄国際大学でのシンポジウムに参加してから、情報や思いを共有し合える仲間とのつながりができ、この約1年間で、辺野古の基地問題の何がおかしいのかがさらに見えてきた。
 県民の意思よりもアメリカとの関係作りを優先する日本政府による辺野古への基地建設。いつのまにか「普天間の危険性除去のための唯一の解決方法」という言葉で、移設が前提の計画になっていること、そして抑止力には決してならないのに、その言葉のみを前面に押し出して工事を進めようとしている。
 ゆんたくるーのメンバーをはじめとする様々な人とのネットワークはこの1年で大きく広がり、時には私の頭がついていけないほど学ぶことが沢山ある。環境のことだけでなく、憲法、地方自治、歴史、安全保障など色々な面から基地問題のおかしさを学ぶことができる。
 何のための、誰のための辺野古新基地建設なのか。
「新基地建設の工事を認めるわけにはいかない」という想いは以前よりもさらに強くなっている。

○私が想い描く社会

 この「便り」を読んでいる方々は、どんな理想の社会を想い描くのだろうか。私は、差別の無い、お互いがお互いのことを尊重し合える社会を想い描く。それは、一人ひとりが楽しく生きることに繋がるのではないかと思うからだ。

 誰も未来を正確に予測することなんてできないけど、過去から学ぶことはできる。 過去は常に問いかけてくる。
 今の政府のように、多くの人々の声を蔑ろにして、工事を押し進めるようなやり方がどのような未来につながるのか。私は不安で仕方がない。

 戦後70年、沖縄が日本に「復帰」して43年。この間にどれだけ多くの人たちが苦しんできたのかを忘れてはいけない。基地の存在により、国を超えて沢山の命が奪われてきた。
 今までに起きてきた悲しいことがこれから先も続くようなことがあってほしくない。

 今私ができることは、やるべきことはなんだろう。
 人生経験はまだまだ短いが、でも、だからこそもっともっと学び続けたい。大事な時に、より良い判断をできるように。
 学べば知識が増える。知れば知るほど問題の恐ろしさや複雑さを感じるけれども、思考し続けることで、いくらでも解決への道は見えてくるってことを学んでいる気がする。そしてちゃんと意思表示もしていく。

 冒頭の言葉は、この社会の進んでいる方向への不安な気持ちだったが、最後は前向きな言葉で私からの「便り」を締めたい。

「未来への不安なんて沢山あるけど、向き合っている限り怖いものはない」

 私たちは、10年後、20年後、100年後の未来の子どもたちに何を残していくのか。
 基地の島、軍事化した島を残していくのか。
 これ以上沖縄に基地はいらない。新しい基地はどこにもいらない。

・お知らせ

辺野古でBBQ!?
〜ゆんたくバス・ピクニックツアーVol.4〜


【日時】2015年5月23日(土)9:00~19:00

【集合場所】
①沖縄県庁前(県民広場・那覇市泉崎9:00発)
②コザミュージックタウン音市場前(沖縄県沖縄市上地 9:30発)

【参加費】高校生:1000円、大学生:1500円、一般:2000円

【対象】高校生~35歳くらいまでの若者層。親子参加可。

【定員】50名

【持ち物】飲み物、動きやすい服装・靴(スリッパ)、着替え、沖縄への思い

【申込み】
参加ご希望の方はこちらのフォームにご記入ください。

【内容】大浦湾を挟んで、辺野古の対岸に位置する瀬嵩地区。瀬嵩の綺麗な海では、カヌー体験や浜遊びを通して、瀬嵩の自然を満喫してもらう。また浜では「ゆんたく会」を開催し、BBQを楽しみながら、若者目線で新しい基地について考える。

【日程表】
9:00 県庁前出発
9:30 コザミュージックタウン音市場合流
10:30 瀬嵩の浜到着
   東恩納琢磨さんのお話
11:00 カヌー体験・浜遊び
13:00 BBQ&ゆんたく
16:00 ゲート前移動、テントの方たちとお話
17:00 辺野古出発
18:00 ミュージックタウン音市場前到着、解散
19:00 沖縄県庁前到着
   一時解散後、県庁周辺カフェにて懇親会
【主催】
ゆんたくるー

ゆんたくるーでは活動のためのドネーションを募っています。ご支援よろしくお願いします。

銀行名:ゆうちょ銀行

●ゆうちょから
 記号:17070 番号:1196681

●他銀行から
 店名:七〇八 預金種目:普通 口座番号:0119668
 名義:ゆんたくるー(ユンタクルー)

 

  

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第3回沖縄の未来への大きな不安。でもそこにきちんと向き合いたい(平良美乃)」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    ゆんたくるーでは、5月23日に、辺野古新基地建設抗議運動の「カヌー隊」を発案した名護市市議会議員・東恩納琢磨さんのお話を聞き、ゲート前やテントにいる方たちと話す那覇から辺野古の「ゆんたくバス・ピクニックツアーVol4」を開催予定。ツアーではBBQや浜遊びの時間をつくり、誰もが参加しやすいような工夫をしているのが彼ららしいところ。また、6月20日には那覇・国際通りでのサウンドデモも企画しています。「戦後70年」や「慰霊の日」を若い人中心で考える機会をつくりたいと話します。ゆんたくるーの活動をフェイスブックなどでぜひチェックしてみてください。

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ゆんたくるー

ゆんたくるー: 2014年の沖縄県知事選挙を機に結成した沖縄の学生有志団体。沖縄県知事選挙前、衆議院選挙前にバスツアーを開催し、同世代の選挙や政治への関心を後押しする。衆議院選挙後は、15年1月15日深夜の辺野古での重機搬入以降、現場でカレーや鍋を囲み、ゆんたく(沖縄の言葉で「おしゃべり」の意)をして同世代を対象とした居場所づくりを行っている。→Facebook →twitter

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