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デスク日誌(44)

080227up

真実はどこにあるのか?

新たな真実は発見されたか

 突然、三浦和義氏が逮捕されました。それも、サイパン島で。しかも、1981年にロサンジェルスで起きた元妻殺害容疑での逮捕です。なんでそんな古い事件を今ごろ?と首をかしげた方も多いことでしょう。
 「疑惑の銃弾」というタイトルで、『週刊文春』が大キャンペーンを張り、それに他のマスコミも便乗して、ほとんど国を挙げての大騒動になったことを覚えているのは、もう相当のお歳の方でしょう。それほど昔の出来事です。
 でも、アメリカでは、殺人事件に時効というものがないのです。だから、事件後何十年も経っていたとしても、新証拠が発見されれば逮捕はあり得ます。
 ああ、あれは本当のことだったんだ、と私は思わず膝を打ちました。
 実は、最近読んだばかりのミステリ小説に、同様のことを題材にしたものがあったからです。

 マイクル・コナリーの『終決者たち』(講談社文庫)という小説です。
 ロス市警には「未解決殺人事件(コールド・ケース)捜査班」という組織があります。ここが、いったん迷宮入りになった事件を追い続けるわけです。
 『終決者たち』では、17年前に起きた少女殺人事件を再捜査して、犯人を追いつめていきます。17年前にはまだ普及していなかったDNA鑑定が、ストーリー上での大きなキイになります。(これ以上は、ミステリの種明かしにつながりますので、言及はしません)。
 つまり、かつては思いもよらなかったものが、新しい証拠になる可能性があり、その可能性が残っている限り、捜査は続けられる、ということなのでしょう。
 それにしても、この三浦事件で、何が新証拠として浮上したのか。あの事件そのものが、とてもミステリアスでしたが、この展開もまた充分にミステリアスです。
 いったい、真実はどこにあるのでしょう。

 「イージス艦事故」に、そろそろ手詰まりになっていたテレビのワイドショーにとっては、まったく嬉しいネタの出現。
 ほんとうに、いろんなことが起きるものです。
 

真実の隠蔽と恥ずべきウソ

 そのイージス艦の事故については、あきれてモノも言えません。次々に明らかになる情報の隠蔽や操作。ほんとうに、もういい加減にしてほしい。
 漁船「清徳丸」をイージス艦「あたご」が認識したのは、当初、衝突の2分前と防衛省は発表しましたが、実は12分も前だったことが、後に判明しました。
 このウソの発表も大問題なのですが、さらにウソにウソを重ねていた事実が判明しました。
 この衝突時刻を、石破防衛相は、事故当日(2月19日)の夜には知っていたにもかかわらず、それを正式に発表したのは翌20日の夕方になってからだったのです。
 いまさら何を言っても始まらないけれど、どうしてこんなにウソや隠し事をするのでしょうか。すぐにバレルのは分かりきったことなのに。
 

なぜ艦長は出てこないのか

 それにしても、私が不思議に思うのは、イージス艦の艦長などが、まったく表に出てこないということ。
 漁協の関係者や漁師仲間が、何度も繰り返し記者会見を開き、メディアのインタビューに応じて、なんとか真実を解明しようとして頑張っているにもかかわらず、一方の当事者であり、事故の重大な責任者であり、さらには、2名の方を行方不明にしてしまった加害者でもあるはずのイージス艦の艦長の姿も顔も、私たちは知らないのです。私たちの目の前には、まったく現れません。
 艦長はおろか、乗組員の誰一人として、その姿を見せないのです。
 おかしいとは思いませんか。

 少なくとも、イージス艦がふたりの漁民を行方不明にしてしまったことは事実です。その責任者が、きちんと表に出て、説明(釈明)や謝罪をするべきではないでしょうか。
 何か、それができない事情でもあるのでしょうか。
 「余計なことを話すな」と、上から圧力がかかっているのかもしれません。もしかしたら、口封じのために、どこかに拉致監禁されていたりして。(ミステリの読みすぎか?)
 しかし、しきりに言い訳を重ねる石破大臣や幕僚長よりも、事実を知っているのは艦長や乗組員のはずです。

 この艦長、事故発生の時間には眠っていたらしい。もしそれが事実なら、とんでもない人です。あの海域は、漁船が多く操業しているのは周知の事実だそうです。そうであれば、陣頭指揮をして横須賀港まで安全に操船する義務が、この艦長にはあったはずです。
 もうじき日本へ帰れるということで、気持ちが緩んでいたのでしょうか。
 いま、必死に言い訳のシナリオを作っている最中なのかもしれません。そんな人が、我が海上自衛隊の最新鋭艦の艦長です。

 「表に出て来て真実を明らかにしなさい」と、私は声を大にして言いたいのです。どうせすぐにバレるウソで固めた言い訳など考えずに。

責任転嫁と逆ギレと

 言い訳がうまくできずに、逆ギレする人もいます。
 石原慎太郎東京都知事です。
 石原知事の強引とも言える指揮のもとに発足した「新銀行東京」が、膨大な累積赤字を抱え、経営危機に陥っています。しかし、石原知事は、自らの責任を認めようとしません。

 <「石原知事は(うまく物事がすすまないと)いつも人のせいにしているが、新銀行は一から十まで石原知事の責任だ」。東京都の元幹部の一人は、石原知事の言動を、なかばあきれながらこう評した。>(毎日新聞2月22日)

 自らの責任を問われても「私は経営者じゃありませんから」と、自分が選んだはずの経営トップであった代表執行役(トヨタ自動車出身の仁司泰正氏)に責任転嫁。さらに、その任命責任を問われると、「その経営者は財界筋からの推薦だったから任せたんだ」と、今度は「財界が推薦した人間が悪かったんだ」と言わんばかりに、財界へ責任をおっかぶせようとする始末。
 自分が率先して作った新銀行であり、自分が任命した経営者であるにもかかわらず、石原都知事は、一切の責任を認めようとしません。イラクの人質事件の時には、先頭に立って「自己責任論」をぶちまくった人が、自分のことになると、まるで歯切れが悪くなるのです。みっともない。

 さらに石原知事、この危機に陥った新銀行へ、新たに400億円の資金を投入することを決めたのです。かつて自分でケンカを売った金融界に、今度は一転、頭を下げてみたけれど、銀行筋はそんなに甘くはありません。まるで相手にしてもらえなかったので、仕方なしに打った手です。
 もちろん、この400億円は都民の税金です。自分の失敗の尻拭いを、都民の税金を使って行う。
 この件を会見で突かれると、例によって逆ギレです。以下は、記者会見でのやりとりの一部です。

 <―400億円の出資の根拠は。
 「それは、これから議会が始まりまして当然それが議論の焦点になると思いますから、そのときあなたも傍聴してね、聞いてください」(中略)
 ―ここでお話いただくことは。
 「できません。議会で傍聴してください」
 ―400億で経営が持ち直すのか。
 「ですから、それも討論の対象になるでしょうから、議会を傍聴してください。それがあなた方の仕事でしょう」>(朝日新聞2月26日、都内版)

 こんな調子で、記者たちの質問をさえぎるばかりです。さすがに、「内部調査の結果は公表する」とは言いましたが、それも都職員と弁護士だけの調査だそうです。外部の人間の調査はしないのかと問われると、
 「その調査も、発表されたときに、議会がそれをもってどうとらえるか。足りない部分があったら調査しなくちゃいけないと思いますけども」(同)と、何を言っているのか分からない。
 そんなことで、果たして真実は明らかになるでしょうか。  

 責任転嫁と逆ギレの知事。
 もうどこかの府知事さんが、きちんとその系譜を受け継いでいるようですが。

(鈴木 耕)

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