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松本哉ののびのび大作戦

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これまで「高円寺一揆」や、「クリスマス粉砕デモ」など、
数々の脱力系にして最強の「運動」を繰り広げてきたカリスマ店主、松本哉のコラム連載です。
高円寺から世界へ「のびのび大作戦」、日本のみならず世界各地でも増殖中!
翻訳ツールもつけました。

まつもと・はじめ 「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)

※アマゾンにリンクしてます。

第19回「ワールドツアー韓国編 ~チュ・ドッカンの逆襲!~」

 さあ皆の衆、今回も前回に引き続き、ワールドツアー報告の続きだ。
 あ…、いま、ふと思ったんだが、よく考えたらこのWEBマガジンのメインテーマは憲法9条だったりもする。世界各地のマヌケな連中の話なんてなんか関係あるのか??? でもまあ9条ってのは、つまるところ世界平和だ。戦争っていうのは、金持ち連中の代表者と化した国家同士の揉め事だ。油断していると、各国の貧乏人連中は巻き込まれたりもするんだが、その貧乏人同士が仲良くなっていれば、国同士が揉め出しても、「そんなアホらしいことに協力しないよ! 金持ち同士で勝手に殴りあってろ、バーカバーカ!」っていう気分になってくる。たとえば、東京人ばっかりでつるんでいると「まったく、関西のソバの汁は色が薄くて困る!ダメだダメだ、あんな街は!!」みたいな、しょうもないことになってしまい、これが地域間の揉め事を生む温床になってくるのと同じだ(合ってる?)。つまり、お互い行き来したりしてたら、ソバの色なんかどっちでもよくなってくるってこと。ま、こういう交流が重要だってことでご勘弁していただいて…。さあ、今回はお隣、韓国作戦の報告!!(弁解してるけど、別に苦情が来たわけじゃないからね)

 前回、紹介したドイツの後、またアジアに舞い戻ってきて韓国のソウルに行ってきた。主目的は、柄にもなく大マジメな国際シンポジウムに招待されたのだが、この話はあえて割愛(!)させていただいて…。ソウルといえば、以前も少しご紹介した、貧乏人中の貧乏人=チュ・ドッカン氏だ。今回もヒマ人ぶりを大いに発揮して、ソウル到着とともに駆け付けてきて、滞在中の数日間はマヌケ貧乏人ぶりを炸裂させてくれた!

●先手必勝! 言い訳大作戦!

 ソウルに到着して宿に向かうと、さすがはヒマ人帝王のチュ氏、すでに宿の周辺で待ち構えており、こっちの予定も無視して「いま、近くにいる。おいしい韓国料理をごちそうするよ」などと連絡してきた。早い! そして、合流すると、まずいきなり「いや~、あのピンジップというゲストハウスがそういうところだとは知らなかったから…」と弁解しだした。何だと思ったら、チュ氏、以前このマガジン9条で紹介した部分を翻訳ソフトなどを駆使して読んだという(読んでない人はこの連載の第12回を参照)。「あの時、せっかくチキンとかピザをたくさん買っていったのに、みんなあまり食べないから変だなと思ったんだよ…。ぺクス連帯(チュ率いる韓国のヒマ人大軍団)の集まりにそんなものあったら、5分で全部なくなるのに」と、ああだこうだ言い出し、「そんなつもりじゃなかったんだけど…」と、先手必勝とばかりに弁解しまくっていた。
 挙句の果てには「オマエの文章は素晴らしい」などと、翻訳でしか読んでないクセに褒めだしたりと、相変わらずの適当さ加減がいい感じだった。ちなみに、その翌日以降も事あるごとに「いや、あのピザはムラカミ(前回ソウルに同行したうちのリサイクルショップの店員)が欲しいって言ったから…」と、微妙に人のせいにしつつも弁解していた。わかった、わかった! 悪意もないんだから別にいいって!! まったく!

●チュ式! 来訪者接待法

 さて、チュ氏の先制攻撃の後は、いよいよ韓国料理だ。おごってくれるなど珍しいこともあるもんだ、と思いつつ行ってみると、なんだかテレビ局のスタッフが数人来ている。 おや? 何だ?
 どうやら、こちらの訪韓に合わせてテレビ出演の話をまとめてきたらしく、その打ち合わせだという。その話は本当で、チュとの対談番組とのこと。で、チュはその打ち合わせの間、注文を頼む頼む! 酒・つまみから、フルーツの盛り合わせまで、どんどん来る。もちろん、打ち合わせなので会計はテレビ局持ち! うまい!!
 さらに、いよいよ打ち合わせもだいたいまとまった頃、終電の時間なのでそろそろ、というその瞬間!! チュは「じゃ、せっかくだから最後に一杯乾杯して」と切り出した! 「いや、私はお酒あまり飲まないんで」などと言うテレビ局の人にも「いや、まあここは形だけでも」とか言いながら、人数分(7~8杯)のビールを注文。で、乾杯してみんな一口飲んで、スタッフらはあわただしく帰って行き、その後に「これだけあるから、ゆっくり飲もう!」とのチュ氏のコメント! さすがだ、チュ。完璧だ! 相変わらず貧乏人の神業が冴えているな!!!!
 自分の懐を痛めずに、最上級の接待をするとは! こいつ、この技術なら世界チャンピオンも狙えるかもしれない!!

●大失敗! パン工房プロジェクト!

 さて、そんなチュが最近起こしているプロジェクトは、ベーカリー工房だという。以前から、いろんな人が集まれる店や場所を持ちたいと言っており、こちらも店をやっているので、「店やったほうがいいよ~」なんていう話をよくしていた。
 ところが、今回はついにその工房をオープンさせたという。「おお! やったねー。それはおめでとう!」と言うと、「いや…、まだそんなにうまくいってないんだよ」という。「パンを作るのはいいんだけど、売り方をあまり考えてなかったから、誰も買ってくれないんだよ」だって。せっかくヒマ人の軍団を率いてるのに、パン工房のおかげで、毎日朝から晩までパンを作らなくちゃいけないハメになり、おまけに収入がほとんどないんだって。「毎日が忙しくなっただけで、お金が入ってこない」と、アメリカのつまんないコメディ番組みたいに笑って見せるチュ。不安になって「で、その工房はもうやめちゃったの?」と尋ねると「いや、いまも稼働してる」
 おいおいおいおい!! オマエも働けよ!! 子分たち働かせといて、こんなところウロついてる場合か! と、聞くと、「いまは日本からの大事なお客さんをもてなさなきゃいけないから仕方がない」って。本当かよ。
 余談だが、前回ソウルに行った時の、とある事件を思い出した。街で普通にみんなで飲んでいたんだが、その時にかわいい女の子がいたせいか、急にペクス連帯の子分たちに「君たち、そろそろ終電じゃないか? 明日もあるから、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないか?」と言い始めた。その時はパン工房もなく、当然、全員ヒマ人なので明日もクソもない。子分らは「え? まあ、大丈夫ですよ」というのも無視して、チュは「いや、心配だ。やはり今日は帰ったほうがいい」などと強引に謎の説得して帰していた…。で、しばらくしてその女の子も帰ってしまうと、チュの野郎テンションが急落して、さっさと寝てしまった! こら! わかりやす過ぎるじゃねえか!
 う~ん、子分たちをねぎらう飲み会を開きたくなってきたな~。

●交戦権の放棄

 こんなことばかり書いていると、また翻訳ソフトを駆使して解読され、次にソウルに行ったときに「おい、余計な事書くな!」と怒られる可能性が出てきたので、今回はこの辺にしておこう。しかし、このチュのパン作戦失敗やナンパ未遂事件を紹介することが本当に世界平和に繋がるのかよくわからなくもなってきたが、お互いの技術やマヌケさを相互に理解し伝授することが重要なのだ!
 仮に翻訳ソフトの性能が悪くて怒って日本に殴りこんできたとしても、国際紛争を解決する手段としては永久にケンカは放棄したほうがいいに違いない!!!!!!

 ってことで、次回は中国へ!

国と国、政府と政府とは別次元で、
「マヌケ」なつながりがどんどん増殖していけば、
それがきっと世界平和につながる!?
というわけで、海の向こうのアノヒトに読ませたい!あなたは、
ページ左手の「翻訳ツール」、ご活用ください。

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