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森永卓郎の戦争と平和講座:バックナンバーへ

森永卓郎の戦争と平和講座(25回)

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テレビの人気トーク番組に出演した森永さん。
放映時には「大部分がカットされてしまった」という、
ご自身の主張を語ります。

防衛費半減はなぜ必要か

 3月14日放送の日本テレビ系「太田総理」で、太田総理自身が「日本の防衛費を半分にします」という法案を提出した。(もちろん、模擬国会だが)。
 私も収録に参加していたのだが、番組全体は、イージス艦の事故や守屋元事務次官の不祥事、あるいは自衛隊のさまざまな無駄遣いを根拠に、防衛費は半額でよいというストーリーで編集された。その結果、私の発言は大部分がカットされてしまった。

 そこで、私の主張をここで繰り返しておこうと思う。太田総理の主張も核心部分で同じだったと、私は思っている。
 日本の防衛費は4.8兆円、世界第6位の巨額に達している。一般歳出の1割が防衛費に使われていることになる。

 それだけの経費をかけて、本当にいまの自衛隊は国防に役立っているのかというのが、私の最大の疑問だ。
 例えば1400億円もかけてイージス艦を買っても、北朝鮮や中国が日本に向かってミサイルを撃ってきたら、ミサイルを迎撃して破壊することは、ほとんど不可能だ。そもそも命中率が低いうえに、日本までの距離が短いため、発射直後のミサイルを日本海上で打ち落とすことは間に合わない。また、ミサイルは宇宙空間からまっすぐに近い形で落下してくるから、もし地上から迎撃すると、破片が日本の国土に飛び散る。弾頭に生物兵器や化学兵器が搭載されていたら、日本の被害は甚大だ。

 それでは、なぜイージス艦が必要なのか。それは、中国や北朝鮮からミサイルが発射されたときに、米国に向かうミサイルを少しでも減らすためだろう。つまり、アメリカを守るための盾の一つが、日本のイージス艦なのだ。

 また、多くの国民が内心、仮想敵国を中国や北朝鮮だと考えているが、本当にそれでよいのか。素直に振り返ってみれば、ベトナム戦争にしろ、アフガニスタンの戦争にしろ、そしてイラク戦争にしろ、すべてアメリカが仕掛けた戦争だ。また、世界で唯一核兵器を戦争に使用した国もアメリカなのだ。世界で最も凶暴で喧嘩っ早い国はアメリカなのだ。

 そのアメリカが日本に攻めてきたら、自衛隊は日本を守れるのかといったら、まったく無理だというのは誰が考えても明らかだろう。
 最大の脅威に対して、なんら力を持っていないのだから、そもそも莫大なコストをかける必要などないのだ。

 私のこうした主張は「極論」として、排除されてしまう。残念ながら、それがいまの日本の現状なのだ。

番組内では、10対8で可決という結果になった、「防衛費半減」法案。
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