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やまねこムラだよりー岩手の五反百姓からー

070912up

つじむら・ひろお 1948年生まれ。2004年岩手へIターンして、就農。小さな田んぼと畑をあわせて50アールほど耕している五反百姓です。コメ、野菜(50種ぐらい)、雑穀(ソバ、ダイズ、アズキ)、果樹(梅、桜桃、ブルーベリ)、原木シイタケなどを、できる限り無農薬有機肥料栽培で育てています。

第五回

百姓は、武器を持つ

 「憲法9条」ならいいのですが、先日の「台風9号」の大風で、収穫まであと1週間、というところまで育てたエダマメが、半分以上倒れてしまいました。自然の中で仕事をする農業には、限りない喜びがあるのですが、同時に自然の厳しさに直面することもあります。

 400株ぐらいを、いちいち手で起こしたのですが、根もとからポッキリ折れてしまった株は救いようがない。五反百姓には、なかなかタイヘンな秋のハプニングでした。

 このような避けられない自然災害に対しては、「農業共済保険」という制度があって、それに加入していれば保険金がでます。

 ただ、果樹だけ、とか、コメだけ、とか、ダイズだけとか、作物別に細分されています。つまり、特定の作物だけを育てる「販売農家」向け制度です。

 たとえば、テレビのニュース番組で放送されたような梨畑などは、それなりの面積で経営しているので、共済保険に入っているとおもいます。

 しかし、わたしのような自給をめざす零細な小農は、作物別にいちいち共済保険に入っていられませんので、今回のような被害をうけても、補償金はありません。

 わたしの場合、ビニールハウスの保険(園芸施設共済保険)というのには入ってい て、これは大雪でハウスがつぶれたとかいう場合に、保険がでます。

 12.5坪(40平米)のちいさいハウスなのですが、1年間の共済保険金は、2436円です。(地区によって、保険金は多少ちがうようです)

 さて今回の表題について、誤解を恐れずに言えば、わたしは非武装主義ではありません。現に、武器を持っています。

 クワ、カマ、スキ、フォーク、スコップ、オノ、ナタ、ノコギリ、トビグチ・・昔ながらの、百姓やきこりの道具です。

 それに、チェーンソウ、草払い機など、エンジンつきの道具もあります。 どれも、2~3個から、5~6個、もっています。いざとなったら、これ、み~んな立派な武器になります。

 (映画の「13日の金曜日」でしたか、チェーンソウを使う殺人犯がいましたね)


百姓の持つ、道具たち。

百姓の持つ、道具たち。

 秀吉の刀狩以来、百姓は武装してはいけない、ということになりました。

 でも、江戸時代、やむにやまれぬ理由で、百姓が一揆をおこすことがありました。

 ムシロ旗を先頭に、クワやカマで、百姓たちは武装しました。

 本来、武器と農具は似たものだったのです。ですから現代でも、個人レベルでの武装は、銃砲を含めて、認められるべきだ、とわたしは思っています。(武装するかしないは、個人のカッテですよ)

 むずかしく言えば、国家への抵抗権を持つ、ということです。

 でも、現代の日本は、個人の武装を原則として認めず、暴力装置としての武器は、国家(警察と自衛隊)が独占することになっています。

 秀吉以来、オカミはシモジモをほんとうは信用していないのだ、ということがわかります。

 (この点、米国は国家成立の歴史的いきさつもあって、個人的武装を国民の意思に任せている、ともいえます。)

 となれば、われわれ国民も、ほんとうはオカミ(国家)を100%信用しないほうがよい、ともいえるかとおもいます。

 暴力装置を独占する国家は、ほおっておくと、その暴力装置をとんでもないことに使ってしまうもんだ、使ってみたくなるもんだ、と最初から疑っておいたほうがよい。

 国家の暴力が、しばしば、自国民に向けられることがある、というのは、歴史が証明しています。

 1945年の沖縄の住民集団自決を、日本軍(という国家)の強制でなかったなどと、よく言えるものです。

 暴力装置を独占する国家は、国民のためではなく、国家体制の存続のために暴走してしまう体質が本質的・本来的にある。(今の北朝鮮をみていても、そのことはわかります)

 だから、そういう国家の体質にシバリをかけるために憲法9条があるのだ、ということですよね、伊藤真塾長!

 暴力装置を独占する国家としては、自分たちにシバリをかける日本国憲法がジャマでしかたない。

 だから、そのシバリの元凶である憲法9条を変えてしまえ、そうして、自分たちが独占する暴力装置を使いたいように使わせろ、というのが、国家のホンネだろうとおもいます。

 安倍さんは、そういう国家のメッセンジャー・ボーイをしているんだ、とおもうと、なんだかわかりやすい気がします。

 だから、安倍さんには、もっとがんばって、総理大臣を続けてもらいたいとおもいます。内閣改造早々に農林大臣がカネの問題で辞めるなど、四面楚歌の安倍さんですが、ここは、しぶとく総理大臣の椅子に居座り続け、「戦後レジームからの脱却」を声高く主張され、「憲法9条を変えるまで、ぼく総理大臣をやめないぞ! ヤダヤダヤダ・・」と駄々をこね続けてほしい。

 その結果、あらゆる国民に、国家のホンネが見えるようになったほうが、逆に、世の中わかりやすくなるのではないかとおもいます。

がんばれ! 安倍。

 五反百姓のわたしとしては、国家にいらぬお世話をされることなく、井戸の水を飲み、田畑を耕し、自分の食い物を作っていければ、それでいいのです。手にはもちろん、田畑を耕すクワを、持っているのです。


国家を「100%信用」はしない。
本来、国民と国家の関係は、それくらいで「ちょうどいい」のかも。
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