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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 72年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.012

アジア一帯の自然災害緊急支援センターづくりを提言

 せっかく東京に来ているので、たまには沖縄以外の視点に立ってみたい。最近のトップニュースはもっぱら岩手・宮城内陸地震である。一足先にやってきた中国四川省地震は規模も被害の大きさもこの世の終わりという感じの凄まじさだったが、日本の地震もすでに死者は9人となっており、いまだ行方不明者も12名といわれている。死傷者も含めて被害はさらに拡大する可能性もあるはずだ。大被害をもたらしたミャンマーのサイクローン、米国南部を毎年のように襲うハリケーンといい、不可抗力的な自然の猛威は戦争なみの破壊力を発揮する。戦争じたいは明らかな人災による悲劇だが、天災も人類にとっては不幸すぎる出来事である。

 戦争はともかく、自然の天変地異は人間の科学技術や英知を持ってしても出来る対策には自ずと限界がある。その一因が地球温暖化だとすれば、二酸化炭素を減らす努力をするしかない。来月の洞爺湖サミットで福田総理が国際的レベルで、どれだけリーダーシップを発揮できるかどうか注目されている。しかし、永田町でも官僚と野党に牛耳られ、さらに環境問題には消極的な同盟国・米国のいいなりになるような総理では、支持率アップに向けたパフォーマンスと、せいぜい洞爺湖の地元観光振興につながるかどうかだろう。この洞爺湖サミットを決めたのは福田総理ではなく、安倍前総理である。テロ対策ということで過剰警備が最優先された結果、地元振興にはほとんどつながらないという見方が出ている。その反面、安倍に繋がる企業が利権をむさぼるのではないかとの憶測も囁かれている。結局、このサミットにおいては、お祭り騒ぎ以上の確たる成果は期待できないと見るべきだろう。

 となれば、日本が出来るお祭り騒ぎではない国際貢献とは何か、今一度真剣に検討すべきではないか。そのひとつの選択肢として提案すれば、アジア地域一帯のあらゆる天変地異的な災害に対して物資や人材の緊急支援を行う事後対策のセンターづくりである。沖縄ではすでに一部の間で議論されているが、下地島空港の未使用の3000メートル滑走路を有効活用したらどうかというものだ。日本の自衛隊もこの空港を使いたいという希望を持っているようだが、軍事基地にするよりは民間もしくは国連と連動する形での緊急アジア支援センターの方がはるかに平和的だし実効性があるのではないか。地理的にもアジアのほぼ中心部に位置していることも何かと便利ではないか。

 今回の中国大地震でも自衛隊機が支援物資を運ぶかどうかで問題となったが、結局民間機での輸送で落ち着いたのは、中国人の間に日本の自衛隊という名の軍隊が入ってくることを拒否する心情が働いたためである。救援はノドから手が出るほど欲しいものの、自衛隊には来て欲しくないというのが偽らざるホンネだろう。おそらく、中国だけではなく北朝鮮でもいいが、民間機による支援ならばOKというのはアジア各国におけるコンセンサスを得やすいのではないか。外務省も国連安全保障理事会の常任理事国を目指すならば、アフリカ支援ばら撒きもいいけど、こちらの方がより近隣諸国の友好のためには効果的だし、防衛省に対し軍事脅威を感じている中国においても何かとプラスに作用するのではないか。当然、失業率の高い沖縄にとっても人材雇用の一大チャンスとなるはずだ。中国四川省、岩手・宮城地震で感じたことを書いてみたが、はたしてどんなものだろうか。

「災害大国」日本の技術やノウハウを、
被災した国や地域にいち早く届ける。
それが実現できれば、軍事力だけに頼るよりも、
はるかに効果的な「国際貢献」となるのでは?
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