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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.064

鳩山政権の1ヶ月を振り返る

 鳩山政権がスタートして一ヶ月が過ぎた。明治以来続いてきた日本型の官僚制度を根本から変えて、政治主導の内閣を目指しているものの、まだギクシャクぶりが目立つ。それこそ日本初の「政治革命」なのだから長い目でみてあげるべきという見方もあるが、やはり最初がカンジンということもある。言うべき事はキチンと言わないとなし崩しで中途半端な政治革命に終わる可能性もある。せっかく、国民目線による国民のための政治をうたっているのだから、マニフェストやこれまで主張してきた方針がブレては困る。それじゃ、政権交代の立役者といっても過言ではないブレまくり宰相の麻生と一緒ではないか(苦笑)。麻生政権を打倒して政権奪取したのは、選挙に勝つための甘いエサを投げただけだったのかという国民の不満が高まる可能性が強い。そうなれば、現在の高支持率が低下して来年7月に予定されている参議院選挙の結果にも影響を与えかねない。それを避けるには、膨らんだ一般会計概算要求95兆円以上の大幅削減と政権公約で国民に約束したマニフェストを実現していくしかないし、その方向性だけは断固守り抜く決意が必要だろう。仙石大臣のいう3兆円削減目標の92兆円規模で納得する国民はほとんどいないはずだ。

 それと、やはり気になるのは、鳩山首相の外交や国連デビューはひとまず成功したものの、はしゃぎすぎのパフォーマンスが多すぎることだ。一国の首相として、日夜メディアに登場して国民に親しまれる印象をつくることも大事だが、官僚内閣制に対抗して政治主導の「政治革命」を断行するには、国家戦略室や行政刷新会議をフル稼働して、各閣僚の意思統一と意識改革を進める強い指導力が必要である。党運営は小沢幹事長や細野副幹事長にお任せでもかまわないが、内閣の運営は平野博文官房長官任せではなく、鳩山本人が前面に出て総指揮を取るくらいの指導力が必要ではないのか。閣僚たちの中にも、何のための政権交代であったのかがよく分かっていない舞い上がったダメ人間も散見される。少なくとも、麻生内閣時代以上に膨らんだ概算要求に対しては国民の誰もが納得するわけがない以上、徹底的に官庁の既得権益に切り込んで無駄を省くべきで、予算もゼロベースで根本的に組み替えるという民主党政権の国民に対する約束を貫徹すべきである。

 沖縄に対しても、新政権の約束は先送りの連続。泡瀬干潟の埋め立てに対しては、福岡高裁那覇支部の控訴審判決でも事業計画に経済的合理性がないとして公金支出の差し止め判決が出た。前原国土交通大臣(沖縄・北方担当大臣兼務)も中断の方針を打ち出しており、これだけは沖縄の貴重な自然環境が守られるだろう。ところが、カンジンの過重な沖縄の基地軽減負担に関しては、何の進展も方向性も見えてこない。鳩山総理は、普天間問題決着については来年夏くらいまで、先延ばしを示唆。日米地位協定の改定や在日米軍再編の見直しも、進展はまったくなし。鳩山総理としては、まずはオバマ大統領との人間的な信頼関係を築いてから、具体的な交渉に入るとしているものの、何一つ担保されているわけではない。しいていえば、インド洋における海上自衛隊の給油活動停止に変わるアフガン民生支援で実績をつくり、そこから米国と防衛や沖縄問題を交渉するという算段のようだ。

 しかし、その間に米国の国務次官補・キャンベルを中心に辺野古新基地建設は既定路線という言動が横行し、狡猾な日本の防衛官僚は鳩山政権の頭ごなしで米国との密議を密かに進行させているフシもある。外堀はどんどん埋められているのだ。どこが、政治主導なんだ!米国・オバマ大統領は「核のない世界」や国連中心協調型路線に踏み込んだことでノーベル賞を早々と受賞した。日本も米国と対等で緊密な関係を作り、米国一辺倒の関係性を見直すには絶好の機会到来である。にもかかわらず、鳩山政権の動きは鈍い。政権交代は日本、そして沖縄県民のもっとも重要な民意ではないのか。最近、沖縄ではこれまで辺野古新基地建設容認派だった仲井真知事や島袋名護市長も今や、「どっちでもいいから鳩山総理は早く決めてくれ」と言い放つ始末。自民・公明に支えられて当選した翁長那覇市長まで「普天間基地の県外移設」を主張し始めた。鳩山総理は意外に指導力がないのか、それとも選挙に勝つために沖縄県民にリップサービスしただけなのか。沖縄県民はそろそろワジワジしているゾ。

19日に来日したゲーツ米国務長官は、
新聞社のインタビューに「普天間移設」に他の選択肢はない、と断言したとのこと。
このままずるずると流されていく? との不安もわきあがります。
政権交代から1カ月半。新政権の真価が問われます。

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