今週の「マガジン9」

 先月末、大手予備校の代々木ゼミナールが17都道府県で展開する27の校舎のうち20校舎を来年春にも閉鎖する方針を固めたとの新聞記事を読み、軽い衝撃を受けました。

 1990年代半ば以降、18才の人口が減少する(1992年:205万人→2013年:123万人)と同時に、大学の数は増え続けた(1992年:523校→2013年:782校。ただし2012年の783校がピーク)結果、2013年時点で既存の大学の約40%が定員割れとなっている。こうした状況からみれば、必然的なことかもしれませんが、大学受験予備校の代名詞である代ゼミが事業を3分の1に縮小を決めたことに時代の大きな変化を感じずにはいられなかったのです。

 大学全入時代になって久しく、浪人生が少なくなったことも予備校には大きな痛手でしょうが、保護者の実質収入が減っていることも理由として考えられます。浪人によってかかる金銭的負担が小さくないからです。

 代ゼミのニュースの数日後の8月29日、日本政府は経済的に厳しい家庭の子どもを支援するために必要な施策をまとめた「子供の貧困対策大綱」を閣議決定しました。

 厚生労働省が3年に1回実施する国民生活基礎調査によると、平均的な所得の半分(年122万円)を下回る世帯で暮らす子どもの割合である「子どもの貧困率」は、2012年が16.3%(6人に1人が貧困状態)と過去最高を記録しました。なかでも、ひとり親世帯での貧困率は54.6%で、ともに先進国の中で最悪の水準といわれています。

 日本は先進国の中でも、子どもを大学で学ばせるためのお金がとてもかかる国のひとつです。「大綱」がいう「子供の将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう貧困対策は極めて重要」が本気であるのであれば、高等教育にかかるお金の負担はできるかぎり小さくし(たとえばドイツの国立大学は基本無料、イタリアは年間10万円程度といわれています。日本の国立大学は平均で50万円くらいでしょうか)、大学の門戸は多くの人たちに広げ、入学試験で受験生をより分ける(受験時点の学力を計る)よりも、卒業するためのハードルを上げる(卒業時点の能力を重視する)方向へシフトすべきではないでしょうか。

 そうすれば大学3年からリクルートスーツに身を包み、企業訪問をしなければならない現在の「就活」のあり方も、少しずつ変わっていくと思うのです。

(芳地隆之)

 

  

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