今週の「マガジン9」

 毎日新聞が1月17~18日に行った世論調査によると、安倍政権の経済政策であるアベノミクスの効果が地方に十分浸透しているかとの問いに対して、「している」と答えた人は全体の6%にとどまり、「していない」が86%に上りました。マガ9のコラムニストの多くは、当初よりアベノミクスの国民生活に与える恩恵について疑問を投げかけていたので、この結果はある程度想定していたとはいえ、第2次安倍政権が掲げる「地方創生」についても、明るい展望を感じられません。

 昨年可決・成立した地方創生関連2法案である「まち・ひと・しごと創生法案」及び「地域再生法の一部を改正する法律案」のうち、前者の目的(第1条)にはこうあります。

「少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する」

 この目標を実現していくためには、地方が「自分たちのことは自分たちで決められる」ような「国のかたち」にしていくことが不可欠でしょう。しかしながら、昨年の滋賀、沖縄の両知事選に続き、先の佐賀においても安倍政権が全面支援した候補者が敗れたことは、「地方創生」を掲げる当の政権の体質が中央統制志向であることを示しているのではないでしょうか。

 上記の世論調査では、過去の植民地支配と侵略を反省し謝罪した村山富市首相談話の立場を安倍晋三首相は、「引き継ぐべき」と答えた人が50%に上り(「引き継がなくてよい」は34%)、憲法改正については、国民の理解が深まっていると「思わない」との回答が76%(「思う」は17%)、集団的自衛権の行使容認に「反対」が50%(「賛成」は37%)、九州電力川内原発の再稼働には「反対」が54%(「賛成」は36%)と、安倍政権への支持率(支持44%、不支持36%)と、同政権の基本政策に対する世論(地域の人々の肌感覚といっていいかもしれません)のそれが乖離しているのが現状です。

 このずれをどう読み、いかに自らの政策に反映していくか。先日、民主党代表に選出された岡田克也氏の、野党第一党トップとしての課題だと思います。

(芳地隆之)

 

  

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