今週の「マガジン9」

 先日、平壌で開かれた第7回朝鮮労働党大会において、金正恩第一書記が「自国の核武装の正当化」と「世界の非核化」という相矛盾する2つを演説で語ったとの報道に接し、同国の困っていることが見えたような気がしました。前者は、アメリカによって自分たちの支配体制が転覆させられてしまうのではないかという不安。後者は、アメリカに現体制を認知してほしいという願いの現れではないかと。

 いみじくも昨日(10日)、オバマ大統領が今月下旬に開催される伊勢志摩サミット出席の際、広島を訪問し、平和記念公園で献花する方針を決めました。2009年のプラハ演説で提唱した「核なき世界」の理念に近づく一歩として期待していますが、この機を利用して、日本は北朝鮮に対して、「アメリカに貴国の体制をひっくり返すようなことはしないよう進言する」と伝えたらどうでしょうか。加えて「だから貴国は核放棄すべき」と提言するのです。

 対北朝鮮の独自外交はアメリカから反発を買うかもしれません。しかし、太平洋の向こうで遠く離れているアメリカと、日本海を挟んで対峙する日本とでは置かれた状況が違います。そもそも北朝鮮の国家体制が一気に瓦解するような事態となれば、大量の難民を発生させる可能性もあり、近隣諸国にとって好ましくないでしょう。

 ならば、敵を味方に変えるような方策を講じてもいいのではないか。相手の「面子」を立てる代わりに、拉致被害者を帰還させるという「実」を得ることだって不可能とはいえないと思うのです。

 日本のサポートが北朝鮮政府による自国民への抑圧を助長してしまっては元も子もありません。しかし、日本が東アジアの平和のためにイニシアチブをとるといった夢は見ておきたい。

 なんだか『イマジン』みたいな話になってしまいましたが、ジョン・レノンの歌詞よりも現実味はあると思うのです。私たちがもう少し想像力を働かせれば。

(芳地隆之)

 

  

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