今週の「マガジン9」

 なんとも慌ただしい中で走り出した東京都知事選。週末の世論調査によると、小池百合子さんが一歩リード。浮動票を最も多く取り込んでいるという分析結果でした。

 三代続いて任期途中で都知事を辞職した男性ではなく、ここは女性首長にリーダーシップを発揮してもらって、安定した都政を望みたい。世界を見ても女性リーダーが次々と誕生し、手腕をふるっているのだから、これまでのイメージを刷新するためにも、東京都知事も「女性を!」という都民の、特に女性たちの気持ちは、本当によくわかります。

 「オッサン政治を変えるために、女性の政治家を一人でも多く」「決定権のあるポジションに女性を」というイベントやコンテンツを積極的に企画してきた私としても、本来だったら、多少の“難”があったとしても、目をつぶって女性候補に1票を入れましょう、というキャンペーンを張りたいところです。

 しかし! 今回の小池百合子さんだけには投票できません。彼女だけには都知事になってもらったら本当に困る。その理由をざっとあげてみると、

●憲法違反の疑いの強い安保法制成立、立憲主義を否定する自民党改憲草案に賛成をした自民党議員である。

●「日本会議」の下部組織である日本会議国会議員懇談会の副会長(特別顧問は安倍晋三、麻生太郎)。
 *日本会議の問題点については、山口智美さんのインタビューに詳しく紹介。

●「親学」推進議員連盟に加盟。
 *「親学」は、日本会議系であり、男女共同参画やジェンダーフリーへの反対運動の急先鋒である高橋史朗氏が提唱し、伝統的な子育てに回帰するためにまず親を教育しなければならないとして考え出された。

「頼もしい男性が決定的に減っていることこそが、少子化の最大の原因というのが小池説である」とジェンダー感覚がまるでゼロ。

 立憲主義を否定し、復古主義的な右派思想を持ち、ジェンダー感覚がゼロ、ということだけでも、支持できない大きな理由になりますが、暮らしに直結する保育政策やインフラ政策を見ても(水道民営化を進める危険性を大田区議奈須りえさんが指摘)、規制緩和を持ち出し新自由主義的で、大阪府・大阪市で橋下徹さんが次々と行ってきた「人を切り捨てる非情なコスト主義」と似たものがあり危険だと感じています。「正義のためしがらみを捨て戦う女一人」のイメージが先行する小池さんですが、彼女が都知事になることで起こりうる大問題を早く多くの人に知らせないといけない、と少々焦っております。引き続き、小池さんの政策の検証を行いお知らせする機会を持ちたいと思います。

 小池さんは自らの政策ビデオの最後の締めで「たった一人のきびしい戦い。茨の道。大組織を相手に個人・女一人の戦いです」と強調されています。

 「女性だったら誰でもいいというわけではない!」とここで改めて言っておきたい気分です。

(水島さつき)

 

  

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