今週の「マガジン9」

 「アメリカ中央情報局(CIA)の分析によると、ロシアはアメリカ大統領選挙で共和党候補ドナルド・トランプが勝利するようサイバー攻撃を仕掛けていた」というニュースが先日流れていました。私には、まことしやかな作り話に聞こえますが、冷戦時代はもとより、最近でも、ことごとく両国が対立していたことを思えば、こうした情報が出てくること自体、時代のフェーズが変わった証拠なのかなと感じています。

 それは、植民地を競い合ったかつての列強の時代を連想させます。クリミア半島の編入はロシアの事情、メキシコとの国境に壁をつくると宣言するのはアメリカの事情、互いの利益を損ねない限り干渉し合わないようにしよう――そんな約束を、両者が交わしてもおかしくない雰囲気なのです。

 この論理には、中国も賛同するのではないでしょうか。ロシア皇帝を思わせるような立ち居振る舞いのプーチン、ニューヨークの一等地に自らの名を冠した超高層ビルを所有するトランプ、全国人民代表大会において3000人近くの議員から万雷の拍手を浴びる習近平。領土の大きな国は、国家を維持するためにも国民の求心力が必要です。ときに強権的な政治手法も厭いません。ましてや、情報・通信・移動の技術が飛躍的に進化し続ける21世紀にあって、国土の大きさは、持続可能な社会をつくるための足かせになるのではないかとさえ思えてきます。

 そこで私たちの国、日本ですが、今後も従来のようにアメリカに寄り添う外交を続けるのでしょうか。私は、アメリカがその時々の都合で、日本の頭越しにロシアや中国と握手したり、言い争いをしたりすることで、日本が右往左往する姿を思い浮べてしまうのです。

 そうした事態を避けるためには、中規模国との連携を強化するしかありません。一見、大国が幅を利かせているように見えても、そこに共通の理念がなければ、世界は動きません。これからの世界を動かすのは、大国よりも一緒に力を合わせることのできる中小の国々だと思うのです。

 とすれば、日本はまず韓国との関係改善を進め、さらには北朝鮮との国交回復をめざす。

 そんなことは無理だと思われる方がほとんどでしょう。しかし、歴史は旧来の常識を覆すことで新たな転換期を迎えてきました。いま私たちがその時を迎えているのかもしれない。案外、歴史の渦中にいると、当事者はそれに気がつかないものです。

(芳地隆之)

 

  

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