今週の「マガジン9」

 トランプ大統領の就任式前後には、きっと何かやってくれるだろう、その声に応えるように、エンターテイナー・マドンナは、ウィメンズマーチに集まった目の前のピンクの猫耳ハットをかぶった数十万人の人々に、そしてニュースや雑誌サイトのyoutube動画を通じて全世界の人々に、次のように呼びかけたのは周知の通りです。(ちなみに女性ファッション雑誌ELLE(USA)のサイトでは、マドンナのスピーチのノーカット動画・全文をはじめ、ウィメンズマーチの大特集を組んでいて、圧巻です。

(*日本語全文 ハフィントンポストより引用)

 ハローみなさん、愛の革命・反乱へようこそ。(略)
 今日は記念すべき最初の1日、革命が始まった日。これは、自由であるための、自分らしくいるための、平等のための権利を勝ち取る闘い。この暗闇の中を、一緒に行進しよう。そして、その一歩ごとに、私たちは何も恐れていないこと、私たちが決して一人でないこと、私たちが絶対引き下がらないこと、私たちの結束が力になること、そして例えどんな相手だろうと真の連帯には勝ち目がないことを、噛み締めよう。(略)アイ・チューズ・ラブ、選ぶのは愛。みなさんはどっち? ほら、一緒に言って! ウイ・チューズ・ラブ。選ぶのは愛。

 この姿、そしてメッセージに、私は久々にテンションが上がりました。かっこ良くない!?

 ワシントンDCをはじめ、全米370カ所で行われたこのマーチは、ベトナム反戦以来の大規模なものになったとの報道もありましたが、動画ニュースで見てもその規模とインパクトは圧巻でした。

 ここには、ハリウッドで活躍する人気スターやセレブたちも大勢参加したと注目されていましたが、大多数はごく普通の暮らしを営んでいる女性たちです。彼女/彼らは「愛と自由」のために、シンプルに声をあげ、パレードをして世界を驚かせました。そして排外主義のグレーな空気にうっすらと覆われつつある世界を、勇気づけたのではないでしょうか。

 そしてほぼ同日、圧政のただなかにいる日本の南の島、沖縄県宮古島でも、女性たちのまっすぐな「革命」の第一歩が始まりました。自衛隊の新基地配備を焦点にした、市長選挙と市議会補欠選挙が22日に行われ、市長選挙は僅差で現職の基地容認派が当選しましたが、市議会選挙には、基地配備ノーを訴えた石嶺香織さんが、初当選。この宮古島市議会選挙は、全国に約2割あるという女性ゼロ議会でしたが、彼女の当選によってゼロではなくなった、ということもまた画期的です。

 まったくの政治素人だという石嶺さんは、ピンクのスカーフをつけて赤ちゃんをおんぶしながらの選挙戦です。最終日に支援者と共に涙ぐみながら「最初はものすごく怒りを持って戦ってきたけれど、途中から楽しさに変わった」と語っていましたが、このフレーズもマドンナの「私はものすごく怒っていた。だけど絶望なんてしていられない。互いに愛し合うか死ぬかしかない」と呼応していて、私の中では「愛の革命の連帯」だと、三上智恵さんに送っていただいた動画を見つつ一人興奮しました。石嶺さんを当選させた宮古島市民は、まさに「愛」を選んだのだ、と。

 この選挙戦の模様については、「三上智恵の沖縄撮影日記〈辺野古・高江〉」で詳しく紹介されているので、是非こちらをご覧ください。
 「愛」「自由」「平等」「革命」「希望」という言葉を、照れずにかっこよく語れる社会を作りたい、それも2017年の課題です。

(水島さつき)

 

  

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