今週の「マガジン9」

 東芝といえば、世界に名だたる家電メーカーで、多くの就活生にとって憧れの企業でしょう。私が大学生だったのは30年以上前ですが、東芝への入社を決めた同じ学年の友人はとても誇らしげでした。

 その東芝、大丈夫か? というニュースが続いています。2年前に発覚した不正会計問題、2006年に買収した米国の原子炉メーカー・ウェスチングハウス(WH)による巨額損失と、大手企業の組織がぐらついているのです。

 そもそもWHという筋の悪い企業をつかまされたのが躓きの始まりだったのではないか。1979年に起こったスリーマイル島での原発事故以来、アメリカでは新しい原子力発電所はつくられておりません。1986年のチェルノブイリ事故によって欧州では原発建設に腰が引けるようになりました。

 そして6年前の福島原発第一事故。ドイツでは脱原発を国の方針として決めたのに対して、当事国の日本は再稼働に前のめりになっている。

 一度決めた方針を変えるわけにはいかない、ということが現在の姿勢に反映されているのか、あるいは原発マネーの誘惑に勝てないのか。とてつもなく高コストになった原子力産業に税金を投入し続けていく先には、日本経済の破綻がちらついています。

 にもかかわらず、原発を維持しようとするのは、「寄らば大樹の陰」ゆえでしょうか。福島原発事故に対する責任を誰もとっていないどころか、原発を保有・運転していた東京電力は税金で支えられています。東芝がにっちもさっちもいかなくなったら、同社にも税金が投入されるかもしれません。

 経営が危うくなっても、大企業であれば国が助けてくれる――そんな親方日の丸に頼る企業の末路は、かつての社会主義経済に近いものではないかと思えます。そういう組織でイノベーションが生まれるのはまれでしょう。逆にいえば、その構造から脱却することで、新しい経済の仕組みが立ち上がってくるのではないでしょうか。

 そんなことを想像していたら、関西電力や四国電力が住民への説明もなく、仙台市に自社の石炭火力発電所を建てて、その電力を首都圏に提供しようとしており、そのことに地元住民が猛反発しているというニュースが流れてきました。

 変わらない大企業がある一方で、「こうした大企業の論理はどこかおかしい」、そう考える人たちも現れてきています。

(芳地隆之)

 

  

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